■奥多摩/日原川本流[溯行](完敗)

2012.7.7
高橋、伊佐見

溯行マップ
現在位置を見失い道迷い!
目指した稜線まで到達できず!
本流遡行完遂できず!

 自分達を買い被ってました。
 添付地図のピンクマーカーラインが自分たちの進んでいる行程だと本流に戻ってくるまで信じてました。伊佐見の分析による実際の行程が赤鉛筆のライン。そうだな、間違いないよ。俺は唐松谷も巳の戸谷も大雲取谷も遡行したことがあるってのに。”高橋さんが行ったことがなければ間違わなかった”って、伊佐見が言うことに完全に同意します。


<前夜……………>
伊 ”明日関東も100MMの豪雨の可能性があるそうですよ・・・・。本流は避けて唐松谷はどうでしょうか?”
高 ”日原本流は増水気味の方がいいだろ!それに唐松は登ったことあるから勘弁だ。午後はカーネルロックっていう被った石灰岩を登るからフリーの用意も持って来いよ”
 秘かに石灰岩のあとはは知り合いが最近オープンした西立川のボルダリングジムにも寄るつもりだった。


<楽しく遡行してた頃……………>
伊 ”高橋さん攻めますねえ”
高 ”攻めないとあっという間に終わっちまうだろ!”


<真実は日陰名栗沢出合にて……………>
高 ”おお、唐松谷だ。よく覚えてるよ!”
伊 ”ちょっと早すぎませんかねえ・・・”
高 ”早すぎるってことはないだろ。とにかく俺は唐松谷来てるんだから間違いない。余裕あるから稜線まで登るか。雲取登ったことがないのか?じゃ、いい機会じゃないか。俺は途中までな”
伊 ”そうですかねえ・・・”


<本流左岸に出合う謎の切れ込みを前にして……………>
伊 ”これはなんですかねえ”
高 ”うーん、なんだろうなあ。地図がまちがってるのかなあ”


<本流を塞ぐ大滝(8mくらい)出現……………>
高 ”こんなの聞いた事ねえよ。大雲取谷まで来ちまったかなあ。そういえば見覚えがあるような気がする。マジで”


<ゴンエ沢を詰めて富田新道から小雲取山を目指していたと思い込んでいた頃。真実は高丸山直下……………>
伊 ”雲取までは95%無理です”
高 ”俺は100%無理だ”
伊 ”コンパスありますか?”
高 ”ほらよ。コンパスもねえのか。お前も舐めてんな”
伊 ”南に向かってますよ”
高 ”コンパスが狂ってるのかなあ”
伊 ”現在位置を見失うなんて山岳会員と言えるんでしょうか”
高 ”そこまで言うことじゃないだろ。まあ戻ろう”


<本流を目指し沢を下降中に本格的に雨が降り出して……………>
伊 ”早く降りないと本流が渡れなくなりますよ”
高 ”足が攣って動けない・・・”


<夕闇の中、漸く本流に帰還……………>
伊 ”つり橋があります・・・・”
高 ”助かったなあ。無事これで生きて戻れるな。ん、これって唐松谷か・・・・”
伊 ”・・・・。ギャー、本流さえ完遂できてないですよ”
高 ”は、はは、ははは、完敗、完敗。今日の成果は 「無」だな、「無」。”
伊 ”僕、あそこで「ほんとに唐松谷ですか?」って3回聞きましたよね?”
高 ”正直ムカついたよ、登ってるって言ってるのによ。まあ、悪かったな俺の間違いだ。でもよ、そんなに自信あんだったら説得してくれないとな!”
伊 ”僕が悪いってんですか。舐めてたことは認めますけど”


 お互いに笑うしかなかった。
 いい谷だった。砂にも埋まっておらず、岩は固く、思ってたよりずっと奇麗だったし奥に進むにつれて典型的な日本の渓谷美が展開した。寒くなるほど泳げる。だからこそせめて本流だけでも完遂したかったぜ。今日、水線に糸を這わせて計測した結果、八丁橋-唐松吊橋間の10分の9は終わっていた。だから自分の中では日原川本流は登ったことにしようと思う。いいよな?伊佐見。いつか10分の1に何があるのか教えてくれ。

高橋 記

【記録】
2012年7月7日
八丁橋発08:45 - 八丁橋戻り18:45 (一応10時間ほどがんばりました)

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