■関越/小出俣川マチホド沢[溯行]

2012.8.4
鮎島、佐野
 いろいろあって、当初予定していた場所から転戦せざるを得ないということで、いろいろ相談。候補に挙がったのは…。
 @三峰川岳沢A黄蓮谷右俣B五十沢川下の滝沢C湯檜曽川抱返沢D小出俣川マチホド沢…。
 岳沢と黄蓮谷はなんか長そうだね〜ということで却下、下の滝沢はこれまた林道崩落により余計に一時間歩かねばならぬことが判明しトーンダウン。抱返沢とマチホド沢が残り、結局は佐野さんの意向もあってマチホド沢に行くことになった。
 マチホド沢は、記録を読む限り、前夜発で行けば日帰りで行けそうだが、われらはあまり無理する気もないので、朝発にして一泊二日の行程で計画。酒や食糧、泊り装備を担いで向かうことにしたが…


遡行マップ

オゼノ沢出合の大スラブ滝

コヒラナメのセン
 川古温泉まで。カーナビが壊れているので、適当に看板に沿っていくが、看板の案内が遅くて、途中迷いそうだ。

 林道を歩くこと1時間で千曲平橋。ちょっと歩いて適当なところで足ごしらえの準備。。。
 っと、佐野さんのスパッツに3匹のヒルがついていた…。小出俣林道にはヒルがいるというのは情報で知っていたし、実害はなかったのでよかったが、ドン引きです…。どこで付いたんだろ・・。

 さて、平凡な沢を歩くと10m滝。左から巻いて右岸から松ホド沢が入ると出てきましたオオヒラナメのセン。おぉ〜。すごいね〜〜。途中プールとかがあって、いいなぁ♪どうせ誰も来ないだろうし、いつか娘を連れてきたい気分だ。まぁ、ここに来るまでにヒルがいるけど…。
 お互い、ナメに飽きてきたころ8m滝が出てきて右から越えるが、ちょっと悪かったような。

 右に沢が折れてド〜ンと3段100m滝。
 1段目はロープ要らないんじゃないって感じで登るが、やっぱり欲しくなる。だって濡れてるんだもん。それにしても、あー、荷物重い。それにV+程度だけれど、確かに怖いっす。
 スラブをちょっと登って2段目。。。う〜ん。これ登るのかぁ、確かにラインは見えるけど、、、。オーブは登ったって??まじで〜。佐野さん。「キミがやるならついていくよ」という目線で見ないでください。やるしかない(やる気を見せるしかない)じゃないですか…。いちおうカムとかハーケンは持ってきたしね。
 というわけで、一応、気合を入れて取りついてはみる。。。が、近くで見ると案外ブっ立ってるのね…。う〜ん。う〜ん。いやはや、傾斜が強いところは苦手なのよ。体重、重いんで。それに荷物も重いしなぁ。佐野さん、逃げてもいいっすか?こういうところは守るべき何かを持っていない奴だからこそリードできるんですよ。
 佐野さんの許しを得て巻きのラインへ。まぁロープはいらないような気もするが、一応引っ張って45m。ここまでくれば、巻きも簡単だ。落ち口まで一直線にトラバースする踏み跡らしきものもあり、案外簡単に大滝上に出られる。

 ゴルジュの中の7m滝は突っ張って突っ張って最後は左から登れば、ド〜ンと2条のスラブ滝。これが、オゼノ沢との出合でもある。いやぁ、でかいわ。
 真ん中までは簡単も簡単。しかし、途中から立ってくる。確か、オゼノ沢のほうから登ったほうがラクという記録を読んだ気がするので、オゼノ沢から登るが、、、。こっちも結構いやらしいじゃん。ガバないし。私はもろにシャワークライミングをして水流左にわたって、あとは水流左を登って滝上へ。っていうか、佐野さん、水流右ですか…。いやぁ怖そうなところ登ってますね☆。いやはや、怖かった。

 尾根を越えてマチホド沢へ戻ると10m滝。ふざけんなよ。登れないじゃん。右岸を木登りするが、荷物も重いし疲れるぜ。
 簡単なスラブ滝を超えていくと、目の前に、スノーブリッジがあった。うげー。くぐるのかよ。やっぱ、今年は雪が多いんだなぁ。その前に休憩しましょ♪ちょっとバテ気味なのです。というわけで休憩して会話。

 「いやーまだですかね?幕営適地…。そろそろだと思うんですけど…」

 そう、1泊2日の行程で着ており、コヒラナメのセン手前にしかないといわれるマチホド沢唯一の幕営適地に泊まる予定であったのである。

 「たぶんね。でも、まだ12時半やしな〜。川場谷と同じ感じで昼から宴会やね〜。でも、めちゃ暑いんで、焚き火は夜まで勘弁やわ」

 なんて会話をしながら、その間に目前のスノーブリッジが崩れてくれることを期待していたが、まったくもって崩れる気配がない。しょうがない、意を決してくぐるか。一人ずつダッシュ!ダッシュあるのみなのだ。無事にくぐるとまたもやスラブ滝があった。あれ、これってコヒラナメのセンの最初の滝じゃん…。と思って何気なく、後ろを振り返ると、写真で見たような景色があった。。。

 「っあ、さっきのところが幕営適地だったんですね…。スノーブリッジの下じゃないですか…」
 「う〜ん。豊野さんたちの記録には源頭に泊まったという記録もあったよ。そこにせぇへん?まだ12時過ぎだし」

 というわけで、すでにバテバテだったがとにかく、進むことにする。でも、こんなバテバテじゃ、聖岳に行かなくてよかったぜ。

 このコヒラナメのセンはオオヒラナメのと違って傾斜がある。大滝1段目も2条の大スラブ滝も結局はノーロープで取りついて怖い思いをしたので、今度はロープを出しますか?と話はしていたが、結局は今回もノーロープで登ってしまった…。まぁ、そんなもんよ。でも逆相でちょっと怖い。

 その後も草原にナメ?スラブ滝?という感じが続く
 ナメとスラブの違いが、カカトがつくのがナメ、つかないのがスラブ滝と定義すれば、そこはスラブ滝だ。要は、ふくらはぎが疲れるということ。あー、ふくらはぎ痛ぇー。もっと曲がってくれ、足首。翌日、筋肉痛決定だぜ。
 それに微妙なぬめり。ラバーソールの我らには手をつかねば怖くて登れないぜ。そうなると自然、中腰になるわけで…。なんだ、この微妙な体勢。あー、泊り装備が入った荷物が腰くるぅ〜〜。あー、腰、痛ぇ〜。
 そんな感じでフツーであれば綺麗だね☆という感じのところだが、もう勘弁してくれよ〜という感じになる。水がやたらヌルいのも憎たらしくなる。冷たい水を飲みてぇ〜〜!

 ナメで出会う二股を右に進めば、さらに源頭の様相。この先に幕営できる場所なんてあるんですかね〜なんて話していたら、案の定、水が枯れた…。しかし、水が枯れた10m先に泊まれなくはないところを発見!すでにバテている私としては「ここで泊りましょう」オーラを出したつもりだったが、さらっと無視されてしまった。確かにまだ13時半だしなぁ。

 最後は炎天下の藪漕ぎを10分ほどで小出俣山に到着。最後は、さりげなく佐野さんに藪漕ぎを任せてしまった。ごめん…。
 長居してもしょうがないので、GPSを頼りにさっさとオゼノ尾根へ。記録ではオゼノ尾根は歩きづらくはないと書いてあったが、この炎天下ではつらいっす。ちょっと間違えての藪漕ぎトラバースがさらにいやらしい。もういい加減いやになったので、Co.1450あたりから左へ行って沢筋に降りることにした。もう、この時点でばてばて、ほぼ脱水気味である。
 オゼノ尾根から適当に沢筋に下ると、うまい具合に水流に出る。あとは小滝程度で懸垂下降も必要がなかった。オゼノ尾根から1時間半で右俣本流に出ると一安心。あー長かった。稜線から1時間半ほどでついた。このあたりでは幕営適地はいくらでもあるが、もうここまで来てしまったら、林道もすぐそこだし、帰っちゃおうということになる。重い幕営装備・酒なんかも担いでいるのに何やってるんだろうね。

 あとは10分ほど右岸を歩いて林道へ。あとはフラフラと1時間歩いて川古温泉の駐車地についた。。駐車地で、足をチェックすると、私の両足から1匹ずつ血を吸ったヒルヒルちゃんが出てきた…。不覚…。どこでやられたんだろう…気づかなかった…。さっそくハンマーでつぶすと、私の鮮血が飛び散り、佐野さんの白いヘルメットについてしまった。。。ごめん、佐野さん。
 そんなわけで、今回泊り予定だったのが日帰りになったことで「おかわり」をしようという話もあるにはあった(ある程度日帰りになりそうな気がしてきたときには、西黒沢とかどうですか?と話していた)が、とにかく疲れたのと、ヒルで意気消沈したのが重なり、結局帰ることに。
 しかし、とにかくまったく血が止まらないので、「ヒルに血を吸われて血が止まらないんだけど、どうしたらいいの?」と妻に電話で聞けば「足首に輪ゴム巻けば?」なんてつれない返事…。まぁ、いずれ止まるさと、そのまま温泉にいくが、全く止まらない。結局、湯船に入れなかった…。(最終的にその翌朝にようやく血が止まりました…)
 「隠れた名渓」と書いてある記録も読んだことがあるが、そうかもしれない。個人的には、笹穴沢よりもいい沢なんだろうなと思う。オオヒラナメのセンは確かにすばらしいナメだし、大滝もアクセントがある。スラブ滝で出会う二股なんて始めて見る絶景だ。コヒラナメのセン以降飽きるほど続くナメ(スラブ滝)もよい。そんでもって秘峰の小出俣山に登れる―――。内容は西ゼンなどに見劣りしないと思う。
 しかし、なぜか感動は少なかったなぁ。それは、なにせ西ゼンなどと違ってけっして「癒し系」じゃなかったからかもしれない。ヒルもいるしね…。
 とにかく、大滝を直登しようと思えばワンランクアップだ(オーブすごいなぁ)し、その後の大スラブ滝も微妙にいやらしかったりする。下山道もはっきりしないし、なにげに足がそろっていないといやらしいのよね。一言でいえば、「ガイド向きではない沢」だと言えると思う。
 それ以上に我々はたぶん行く時期を間違えたんでしょう。あんなクソ暑い時期に行くのは失敗!脱水になりながら登ってましたからね。ぼくが思うに7月下旬から8月頭の記録が多いが、秋の紅葉を愛でる時期に行くのがきっと正解なんでしょう。その時期に行けばきっと違う印象があるに違いないと思います。
 それでも、いい沢であることは間違いないので、季節を選んで行ってみても損はしないと思います♪いや、なんだかんだ書きましたが、いい沢でしたよ。そして、行ってよかったですよ、佐野さん。また、今度はぜひ抱返沢に行きましょう!ありがとうございました!

2012.8.8 鮎島 筆

【記録】
8月4日(土)快晴
 川古温泉0800、千曲平橋0900、大滝下1000、大滝上1100、コヒラナメのセン下1230、小出俣山1430、オオビノ尾根Co.1450、右俣本流1730、川古温泉1830

【装備】
50mロープ
※大滝を登らなければ30mロープだけで十分だった



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