■御神楽/御前ヶ遊窟
2012.11.4
田中、加藤、小坂
【会越国境の秘境、御前ヶ遊窟に遊ぶ。スラブ&紅葉は南仏プロバンスの如し】
いやー結構でかいスラブだと思いましたよ。ぱっと見で。こんなところホントに登れるの?と普通の人ならね思うはずです。はい。
そして終了点の岩峰が、これまた尖っているのですね。すごく。
で、わたし的には、石灰岩の白い岩峰は南仏プロバンスの岩場の雰囲気がちょっとあるなって思いました。行ったことはないのですが(笑)。
☆ ★ ☆ ★
早朝まで雨残ったが快晴。
駐車地から5分で鍬ノ沢の渡遡。ここで頑張るひとは助走ジャンプすればギリ濡れないが普通は濡れるのでアプは沢シューズがおすすめ。
シジミ沢の出合までは案内図には75分とあるがもっとかかる。アプ登山道なのにすでにハイグレードの雰囲気あり。
この道すがらそちらこちらに紅葉の越後スラブが見え隠れしてめでながら行くと、いかにも魚止めっぽい釜をもつ滝の10m下流側にシジミ沢出合がある。
対岸に小さなピンク色テープがあるがとてもわかりにくい。ここは要注意だ。
この先は薄い踏み跡程度のトレースを目を凝らせば追えるものの、登山道はなくテープに導かれる。
しばらくヤブをくぐる感じのルンゼ状を行くと、すぐに前方が開けて大スラブとご対面。
上部にはいくつもの白い岩肌の岩峰が尖がっている。みんな口を揃えてカッケー(カッコイイー)と。
水流がほんの少し中心部だけあるものの、快適なスラブ登りがここから始まる。
右端にとことどころクサリやトラロープが設置してあり安心。
快晴の青い空に石灰岩の白いスラブを直線的にノーロープぐいぐいいっちゃう。
簡単・眺望・フリクションの三拍子が揃っていてここは正直に気持ちいい。
ここはみんなが”ジンセイ最高!”って叫び思わず走りだしたくなるところね。
スラブは広大なんだけど、とにかくスラブの右端沿いにルートがあるってことで、右よりに行くとその先はヤブに捕まりヤブクライム化していく。
更に上部ではルーファイも全くわかりません状態になり、それはもうほとんど沢での巻きそのものの繰り返しで、足がなくてヤブ&草につかまりながらの小枝トラバースムーブに終始でした。
足下には大スラブが口を開けてるのでスリップは厳禁。ちょっと前までの快適さは微塵もなくなるルートのコントラストでした。
程なく尾根上のソウケエ新道に合流して、尾根上の岩塔(846m)直下にある洞窟で日本の秘境とされる御前ヶ遊窟に至った。気がつけばクライミングシューズは履かないままここまでアプ靴でした(笑)。
そこは明るく日が差し込み社内会議ができるくらいの広さのドーム状空間で、思ったよりも大きいものだった。
最奥部の岩棚には小さな仏様像が鎮座していて”今日も無事に下山できますように”と拝んで岩峰へ向かう。
遊窟上は垂壁なので岩峰の頂上へのルートは一旦左側の大スラブ側へ大きく巻いてから、傾斜の緩いスラブの弱点を思い思いに登る。難しくはないが、ここでのスリップは禁物。
一気に出合まで落ちてちゃう感じだし、支点はないしで、ちょっと緊張しながらの一歩々々。
下を見ると下っ腹がキュンってしましたね。20分程度で到着した頂上は無人微風。
切り立っているのでセルフビレイオンでしばし静寂を楽しみました。間近に見える飯豊の峰は冠雪してましたね。
下山はやせ尾根沿いのソウケエ新道。これまたハイグレードな登山道で懸垂下降のようなクサリが何か所もある。
尾根は時に狭く、眺望はいいもののスリップはハイ禁物です。タツミ沢出合に出れば程なく鍬ノ沢の渡渉点。
沢の浅瀬を150mくらい下流側に歩くのでまた濡れるよ。
”気が抜けない一日”それは充実と同義語です。まさにあっという間の一日が過ぎました。
【行程】
0700林道終点−0900シジミ沢出合−1110御前ヶ遊窟−1150岩峰頂上−1440林道終点
参考:前夜はワラビ園のあずまやでテント泊が適です。
記録:加藤
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