北ア/前穂高岳北尾根(登攀)
2013年5月3日-5日
伊佐見、他1
「前穂北尾根に行かないかい?」
3月末山岳部時代の先輩である黒岩さん(鹿児島黒稜会)から誘いがあった。
「あー行きますよ。ヤマトにも声かけてみます」
と軽々しく返事をしたのだった。
GWはどこか雪バリと決めていたし、パチンコのための第一歩だと思っていたからだ。それにたぶん以前敗退した高橋さんとか参加してくれるだろう、車があれば交通費もかからないだろうなんて簡単に考えていた。
しかし、たった3日間の予定のせいか、ふたを開けてみればヤマトからも黒稜会からも参加者無く、結局ふたりでいくことになってしまった。
まー久しぶりに2人で行ってみるか。晴れそうだしー
5/3
ムーンライト信州が満席となってしまって、さわやか信州号で上高地へ。繁忙期で7000円ほどだったけどかなり便利だったのでオススメ。
羽田からギリギリ来た黒岩さんは80L近いザックなど4つも荷物があって重そう。共同装備はほぼ全部僕が持っているのになぜ?
朝の上高地は登山者だらけで、早朝すぎたのか観光客はいなかった。上高地から横尾までは雪がないのでスニーカーでアプローチ。
涸沢までは夏と違い沢通しで登る。快晴の涸沢は、白い!まぶしい!そして暑い!
X・Yのコルを偵察してから晩御飯。
「持ち寄り鍋の予定でしたが、具は?(イサミ)」
「コレ、かな(黒)」
ん?2本?ソーセージ・・・2本!!しかもあと6本ぐらいあるのに、あとは明日のレトルトカレーに使うんだと断固として譲ってくれなかった。
結局、僕が持ってきた分で足りたし・・・いっか。
今思えば、初日の鍋の準備は全て僕がやるもんだと黒岩さんは思わせてしまっていたのかもしれない(現に2日目のレトルトカレーは2人分準備してあった)。
5/4
曇ってて星が見えない。風まで強い。どうなってんだ。大学時代と同じくもーたもた準備。
北尾根X・Yのコルまでの雪壁で息が上がってしまい、ちんたら登る。
尾根上では風が強く、X峰手前のナイフリッジで煽られ、ヒヤッとする。
W峰手前の1セクションの露岩を右から登った。
「ここ行くの!?ヤバイ・・・ヤバイって!(黒)」
と言っていたが、ノーロープでアイゼンをカリカリやりながら頑張っていただいた。
V・Wのコルにテントがあったのでよく見ると、大部と書いてあるスコップがあった。
なんだ高橋さん達まだ寝てたんだ。聞くと風が強かったから諦めムードだったらしい。いや起こしてすいません。
ちょうどこの頃後続も来始めたので、急ぎ核心V峰に取付いてスタカット開始。
本来はV峰フェースのつもりだったけど、すでにビビりが入っているのでノーマルに登る。
1P目(伊)
高橋さん達のロープFIX通りに左側面へ。一番難しいピッチかも。キャメ0.4が2個キマり安全に突破。
2P目(黒)
ビビる気持ちを奮い立たせて真上の廊下状下へ。
3P目(伊)
廊下の雪面から雪の付いたコーナーを上がる。手袋をしていてもハンドジャムが効いてサイコー!ここから少し歩く。
4P目(黒)
3峰右側面をトラバース気味に登った。
すぐ先の2峰からは雪面をクライムダウン。その下も谷までずーっと急な雪面だから怖いよー。懸垂下降のほうがオススメ。
T峰である前穂高岳はケルンがあるだけで感動薄く、吊尾根入口で休憩。前穂北尾根登っちゃったよー。
こっからいざ奥穂高へ。
早朝は晴れていたのに、ガスが出始めた。おー、GWなのに吹雪いてるぞー。
吊尾根自体も帰り道気分でお気楽に歩ける感じではなく、なんだか気の抜けない感じ。1箇所懸垂下降も必要だった。
途中、涸沢側へ懸垂下降できるような支点があった。最低鞍部かな?ここから下りても良かったんだけどよく知らないし、そのまま歩いた。
南稜の頭付近になると、ますますガスが濃くなって、奥穂高南稜PTのトレースも無くなってしまう。雪と空の境が分からなくなるほどだ。
黒い露岩をたよりに慎重に進んでようやく奥穂高岳到着。意外と標準的なコースタイムだった。
その先の白出のコルから涸沢までは安全なので疲れている黒岩さんを残して先行してBCに向かった。
BCで園部さん岩田さんに出会う。二人とも予定通り穂高で遊んできたようで何より。あれ?酔ってる?
「イサミさーん、よくやった!(園)」
とか言って、強烈な抱擁ならぬ絞め殺しを食らう。ちょっ、痛いっス!
泣き上戸の岩田さんとの絡みコンボでハーネスも外せず。
「イサミさん、早くハーネス外しなよ・・・しかし、よくやった!ギュー!!!(園)」
あーもう好きにしてください。
黒岩さんが戻ってきて、明日予定の北穂東稜をあきらめることに決定した。しょうがない疲れちゃったんだもん。
5/5
涸沢から上高地に下山。
高橋さんの車に乗ることができてラッキー。助かりました。
記)イサミ
【記録】
5/2 さわやか信州号で新宿から上高地へ
5/3 上高地0630 横尾0848 涸沢1230 北尾根偵察
5/4 起床0300 BC0450 X・Yのコル0550 V峰基部取付0820 前穂高岳1215 奥穂高岳1545 穂高岳山荘 BC1845
5/5 起床0700 涸沢0822 上高地1500 東京
【メモ】
・キャメ0.4、0.3、エイリアン黄色以下、ハーケンが使えそうでした。
・X・Yのコルに泊まればよかった。
【写真】
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