■尾瀬/笠科川スリバナ沢~楢俣川ヘイズル沢(下)~楢俣川狩小屋沢~笠科川ワル沢(下)

2013.8.29-.30
治田、田中






 8/29から9/1の4日間で、ハルさん企画の楢俣周回遡下降6本の予定であった。私にとっては、この夏のビックイベント。
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1日目:尾瀬のスリバナ沢遡行〜ヘイズル沢下降、
2日目:楢俣川本流遡行〜ススケ沢遡行、
3日目:奥ススケ沢下降〜楢俣川本流下降〜狩小屋沢遡行
4日目:狩小屋沢遡行〜ワル沢タル沢下降
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 私自身の記録としては、最長2泊3日、また、遡下降4本までだったので、1歩ステップアップする、かなり気合いの入った計画である。
 しかも、ハルさんとふ・た・り。ほんとにわたし、大丈夫かなぁ・・・。ううん、頑張るのだ!!

 突然、台風発生。日本列島をなぞる進行。ゲッ。記録によれば楢俣川本流が増水したらヤバいとのこと。もう出発日の昼間、まったく仕事に集中できない。頭の中は沢と台風のことだけ。
 4日目の9/1は絶対避けたい。3日間プランだなぁと考える。もし、2日目にススケ沢を遡行したら、3日目は楢俣川方向ではなく、尾瀬側に降りるエスケープだな。猫又川支流のワル沢を降りる予定で間違えてフタマタ沢を降りてしまった記録を見つける。


 いざ、前夜、ハルさんと駅にて合流。
 日程のことを確認しようと思っていたら、ハルさんから台風の影響を考慮し、ススケ沢をカットする2日間予定を提案される。2日間なら影響はなさそう。賛成!!安全第一。
 突っ込んだ場合のススケ沢からエスケープ尾瀬側下降は、私は1日で考えていたが、ハルさんは天候や増水の影響で2日かかるかもしれないと考えていた。なるほど・・・・。
 結局、
1日目:尾瀬のスリバナ沢遡行〜ヘイズル沢下降、楢俣川本流遡行〜狩小屋沢遡行
2日目:狩小屋沢遡行〜ワル沢タル沢下降
 に変更。


 0時半には、尾瀬のスリバナ沢入渓地点すぐそばのスペースでテント泊。いつものごとく宴会で2時に就寝。
 3時間睡眠で、5時起床。装備は4日間分持ってきているので、2日間分に減らす。朝から、ハルさんは昨日買っておいた牛丼をモリモリ。

 すぐの笠根橋から笠科川本流に入渓。タル沢を右に見送り、本流からスリバナ沢へと入ると沢は一段と小さく、3〜5mの小滝が続く。小さい沢の割には水量はあり、水は冷たく感じる。
 目指す稜線は笠ヶ岳と小笠の間の鞍部であるが、小さな沢にいくつも支流が入り、遡行図と地形図を見ていてもわからなくなった。
 笹薮が出てきても水がなくなっても窪があるうちはまだ歩きやすかったが、ついに前から刺してくる背丈も隠れる笹薮に突入。
 ただ、ハルさんの後姿のみ追いかける状態となる。う〜ん、自立への道は遠いのぉ・・・

 距離はそんなに長くはなかった。藪が薄くなり、斜度がゆるくなるが稜線は広い。
 平坦な登山道に出たので、予定どおりの鞍部ではないか?小笠の方からハイカーのオジさんがてくてく歩いてきた。
 時間にして、2時間40分。1930m、標高差では500mの遡行であった。

 さて、次はヘイズル沢右俣に入るための支流だ。
 登山道から反対側にそのまま藪を降りると、すぐに小さな沢筋にはいる。石がぬめぬめしていて滑りやすいので、慎重に降りる。
 アリキノ沢に合流してからは少し沢は広がり、石も大きくなり、左岸より支流が合流するころには白い花崗岩となり歩きやすくなった。
 右岸からシバ沢と合流後、すぐに左俣との合流になった。

 遡行記録の多い左俣は、広く明るく階段状の滝が優雅にかかっているのに、振り返れば、我々の下降してきた沢は、薄暗く小さな滝。遡行してきたら右俣には入らないようなぁ〜。
 フゥー。やっと天国だぁ。出合いから二俣まではヘイズル沢の見所と記録で見ていたので、ウキウキ♪。
 開けた明るい沢に白い花崗岩が視界全体に広がる。百戦錬磨のハルさんもこの景色を喜んでいる。
 ナメもフリクションが効いて快適に歩けるし、なんといっても沢の水の色がキ・レ・イ。エメラルドグリーンとは違う、透明な若葉のバスクリーンの色。初めて見る色。
 けっこう大きな岩魚が何匹も走っているようで、竿をもっていない私達には残念でならない。あ〜ん、食べたいよぉ。

 3段の滝が優雅につるりとした岩肌を滑る。3ヶ所あったような?傾斜のある滝は、1ヶ所懸垂して、いくつかは巻いた。
 楢俣川本流に近づくと、トロが出てきた。かなり深そう。左岸を巻く。
 ハッキリした踏みあとがなく、先頭のハルさんが沢を確認しつつ、沢筋だったり、笹薮をつかんでだったりしながら沢床に降りる。
 ヘイズル沢下降の記録は見つからなかったけど、やはり遡行が主流だろうね。ホールドが上から確認できる小さめの滝は慎重にクライムダウン。


 楢俣川本流に合流すると、もう「ヤッター! やっとここまできたよ」ってな気分。すでに14時すぎで下降5時間。1000m下降。
 合流した楢俣川本流は、私のイメージの本流よりは小さかった。しかし、水量は膝ぐらいであるが、なかなか抵抗力があり徒渉ではなく、前進なのに疲れる。
 1本隣の狩小屋沢へ行くだけなのに、本流はあなどれない。


 ようやく、狩小屋沢の出合に着く。小さい沢でホッとする。
 視線はもうキョロキョロ。あぁ、はやくテンバを見つけたい。その思いだけで前進する。

 少し先の右岸、1mぐらい高台にちょうど1張り分のスペースがあった。ちょっと工事して、平らにならし、ツェルトを張る。
 薪は結構集まり、さぁ、焚き火して宴会だぁ〜。 ごはんのおかずはないけど、軽量化の割には、おつまみはいろいろあるよ。
 軽量化用の乾燥野菜を大量に入れたマルタイラーメンを食べる。
 ご飯は今日の夜と明日の朝、昼のおにぎり分を炊くと、ジップロック2袋にご飯をそれぞれ入れる。なるほどねぇ〜。袋の上から握り、これにふりかけをかければ明日のお昼、立派なおにぎりだ。
 暑いぐらいの炎で濡れた服はすっかり乾く。ハルさんもお酒に酔いしれご機嫌な様子。
 明日も早く出発ということで、21時には寝る。



 朝5時起き。ハルさん一人の朝は早いらしいが、二人の朝も早いよ。だって焚き火なしだもんね。
 昨日の残りのご飯にトマトスープでリゾット風。あとはマルタイラーメンで仕上げる。


 狩小屋沢は、百名谷。前深沢の下降としての記録が多い。
 滝がとにかく多かった。詳細は覚えていないが下降より遡行のほうが楽しい沢だと思った。
 10mぐらいの滝がいくつかあったが、釜が結構、大きくて深かったような。

 源頭部が開けてきたあたりからだろうか?
 傾斜のある滝の連瀑となり、一気に標高をあげる。遡行図の10m、15m2段とかあたりだろうか?
 ホールドはあるので特にロープは使わずにどんどん上がる。水がなくなると大岩だけがゴロゴロ視界に広がる。振り返ると、おおっ、絶景!急斜面のカールを登っているようだ。

 10時、高度1950m。ちょっと休憩。
 稜線に向かって視界の右手、左手には地形図にも記載されている岩場がどぉ〜んと並ぶ。
 そのうち大岩はなくなり、草原状でハイ松の中、歩きやすいところを選んで登るが、窪んでいたりちょっと歩きにくい。
 右手にまた石が現れたのでそのルートに移動して登ると、前方に矢印マーク。昔の登山道のなごりだそうだ。3〜4ヶ所のペンキマークを通り過ぎ、まもなく登山道に出た。そこは間違えて降りないようにと木の杭でロープが張ってあった。


 11:15、稜線の登山道に到着!
 遡行5時間、高度2194m。標高差1200m。ヒィー、ちかれた。
 すぐ前方に至仏山。行ったことはないので、(まぁ、行ったことがあるとしても当然行くんだろうが)んじゃ、休憩する前にとりあえず行くかー。と歩き出した途端に雨。我々が到着するのを待っていたかのように、ホント突然降り出した。夕方までもつかなぁと思っていたのだが。

 雨の中、至仏山山頂へ向かうと、ファミリーのハイカーともう1組がいた。
 尾瀬の湿原地帯は見下ろせたが、マジな雨になってきたのでゆっくりもできず急いで戻る。
 もう休憩どころではない。雨の稜線はなかなかつらいなぁ。小至仏山を通り、とにかく早く高度を下げ、谷に降りたい。
 そのうち、木の階段となり、木道がでてきて、とにかくガンガン降りる。気づけば時々雨が止んだり、小雨になったり。
 悪沢岳、オオヤマ沢田代の分岐で鳩待峠方面に入り、木の下でようやく休憩。お昼。12:15。
 あー、お腹すいた。ふりかけをかけたおにぎりがシンプルでおいしかった。


 少し先でワル沢に入るのだが、薮が背丈までボサボサ。
 少し戻り薮が薄くなった1940mのところから、12:40頃、ハルさんが突入。私はただ、ハルさんの姿を見失わないように、後を離れないようにくっついていくのみ。
 大きな木の下は薮が薄かったりするから、薮漕ぎは木と木をつなぐといいことを今更ながら教わった。ははは。

 背丈の薮をガサガサ、斜度を落としつつ降りていると、そのまま沢筋に入った。スゴい!ふーむ、さすがである。
 しっかし、この沢も雨のせいなのか?小さい割に水量はあり、ぬめぬめすべる。
 稜線のような風がなくなって、いつもまにか雨も止んでいた。  ワル沢からようやくタル沢に合流し、小さいながらも深そうなゴルジュ帯が出てきた。巻いて降りる。

 1ヶ所だけ懸垂した。ホールドがある小さめの滝はクライムダウン。疲れが出ているので一歩一歩慎重になる。
 15:00に笠科川本流に合流。ふぅー。ハルさんから休む?とのお声があったが、休んだらもう動けなくなりそうだったので、疲れていたけどそのままこの勢いで入渓点の橋に辿り着く。
 すぐ先に見える車。あー、終わった。終わったよぉ〜。

 15:10、500m下降に2時間半。
 車に到着すると、なんと、また雨が降り出す。
とにかく、充実感一杯の大満足の2日間でした。
 巻きのルーファイや薮こぎルートなど、基本的なことが勉強できました。
初日、10時間行動。500m遡行、1000m下降。翌日も9時間行動。1200m遡行、500m下降。ロープは下降で2回のみ使用。

【記録】
8/29(木)
 尾瀬のスリバナ沢入渓6:20〜小笠稜線9:00〜ヘイズル沢右俣支流〜楢俣川本流合流14:20〜狩小屋沢下部16:10幕営
8/30(金)
 狩小屋沢幕営地出発6:15〜至仏山稜線11:15〜至仏山〜オヤマ沢田代〜ワル沢〜駐車地15:15



【写真】


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