■頚城/焼山温泉〜昼闇山〜焼山〜火打岳〜焼山北面台地
2014.4.12-.13
鮎島、佐藤、山崎
妻と娘が1泊2日で旅行に行くらしい。そうなりゃ、私も計画を立てるしかない。
4月中旬となれば、行き先はやはり旬な焼山北面台地だ。やっぱり、山スキーをやる上では一度は行きたい場所だからね。
しかし、ただ行ったのでは面白くない。やはり、山にいける機会がある以上、「いい山」をやりたいからね。
私の中で、「いい山」とは、計画の段階で「多少なりともビビる」もの。私の経験としては、そういう計画をまっとうできたときは大きな達成感がえられ、それこそが「いい山やったなぁー」という充実感につながる。
だから、計画の段階で安全パイの計画をしても楽しくはなく、子連れでなきゃガイドブックに書いてあることなんて、まぁ興味ない。
それに、焼山北面台地ってガイド本を読めば読むほど中途半端だ。1泊2日をフツーにやれば取れるピークは1個。頑張れば2つ取れるが、東京からはるばるいく割にはなんかなーという感じだ。なにより、2014年の個人的な目標は「100ピーク奪取」。1泊2日でわざわざいくのに1つか2つなんてもったいなさ過ぎる。
というわけで、数ある記録をつなぎ合わせ、昼闇から焼山を経由し、火打に登った後、焼山北面台地に滑り込むという、「ロングラン&ライド」という計画を考えた。こうすれば1泊2日で影火打ちを含め4つのピークが取れる。
もちろん、ビビる。
2日で3000mのアップ。最近、重荷を担いでこんなに登ったことないぜ。しかも、好天に恵まれないと確実に不可。
でも、やる価値はある。私にとって、この頚城の山域は始めて行く山域だ。しかし、この計画を踏破できれば山域の把握も完璧にでき、過去の経験上、把握さえできれば、想像力も広がり、次への展開も容易になる。
問題は、参加者。
こんなの流行のスタイルじゃないからね。やっぱり軽荷で短期速攻というのがスマートな考えで、重い荷物を担いで縦走して、フル装備を担いであえて滑ろうなんて考える人は少ない。それにスキーヤーって滑り重視で、ピーク重視の人は少ないからね。
しかし、山登魂はピーク重視をわかってくれる人がいるんだなぁ。ありがたや、ありがたや。まぁ、古株の人たちだけだけど。というわけで、今回も入会10年以上の皆さんが集まって向かうことになった。
梶屋敷駅で山崎さんと合流。暗くならないこの駅で高橋組と同じく寝て、4時45分起床。
移動して6時に焼山温泉の駐車地へ。すでに車が2台置いてある。
1時間ほど林道を歩くとアケビ平。烏帽子山・阿彌陀山方面がかっこいい。今度はそっちの雪稜とセットのクライム&ライドも楽しそうだなぁーと思う。やっぱり、いろんな山を見ると想像力が広がるよね。だからお初の山域って好き。
昼闇谷をわたって、そこから昼闇谷左岸尾根を登る。ここは、すでに雪が切れかけていて、今週が最後かも。
ただ中腹でも沢は渡れるようで、先行パーティーはそのまま沢をつめて途中から左岸尾根に行っていたようだ。
雪面が固く、逆走することもしばしば。クトーを持っていけばよかったなぁ。まぁ、日帰りならともかく泊まりの山でクトーは持っていかないよね…。
ともあれ、途中からスキーを担いだほうが早い。先行者がいて、トレースがばっちりなのでアイゼンはいらないけどね。
とにかく、焼山温泉の標高が400mしかないので、1000mの標高を登ってもまだ鉢山との稜線にもたどり着かない。
標高差はもちろん、寝ていないこと、炎天下(でも気温は低いのかそれほどは暑くない)が重なり、山崎さん以外はヘロヘロです。
山崎さんも前日、黒姫山を登ったというから連日の1000mのはずなんだが、どうなってるんだろうね。
そういえば、山崎さんは来週の日曜日(4月20日)に47歳になるらしい。こんな炎天下なのにまったく水を飲まないし(500mlも飲んでいない)、きっと、この人はいつか腎臓か膀胱が病気になるね。まぁお大事に。
天気は無風快晴。先行パーティは2〜3パーティだったが、振り返ってみると10数名が登ってくることにはびっくりだ。
スキンヘッドむき出しで登っている方もいらっしゃったが、ちゃんと日焼け止めを塗っているんだろうか・・・。気になる…。
ようやく、昼闇山と鉢山の稜線までついても、標高は1600mなので昼闇山まであと200mの登りがある。ほとんどのパーティはこの稜線から滑降するみたいで、ここからは一気に減る。
この200mの登りで一気にバテバテだ。全装備を担いで1400mを上るのは疲れる。やはりコースタイムどおり、6時間半ほどかかってしまった。
昼闇山から山座同定。
東海谷山稜ではぴか一に鬼ヶ面がかっこいい。でも駒ケ岳はこちらから見るとかっこよくないなぁ。根知から見ると迫力あるんだけれどね。そういえば、昔、ワニのついでに登ったなあ・・・なんて過去を懐かしむ。
さて、昼闇山からはスキーをつけて滑降。
しかし、2〜3個小ピークがあり、その都度はずしてちょっとの登り返しが必要。それでもCo.1680mのコルまではスキーを使え、それなりに快適だった。
コルから120mの上り返しで坊々抱岩裏の沢状平坦地に幕営。14時ごろにはついた。
案外早くついたなーとは思うが、とはいえ、山崎さん以外はみんなヘロヘロである。あーつかれたー。。
天気がよく、16時ごろまでは外で宴会。
今回の参加者が、どれも入会10年以上の古株だけなので、昔話に話が咲いた。ついでに岳人がモンベルに売却される話にはええーまじかよーという感じだが、まぁそんな感じで20時くらいには寝たと思う。
翌日は6時出発を目標に4時半起床。
幕営地からシール登行で30分ほど。そこからアイゼンに履き替え、スキーを担いで直登する。
でもスキーって担ぐと重いのよ。その点、フリートレックにすればよかったかなぁーと思うことしきり。
途中からトレースあり、また山崎さんがずっと先頭を歩いてくれた。まぁ、ラッセルというわけではないけれど、先頭を歩くと気分的に疲れるからね。少し楽できた。
そんな感じで、焼山へは幕営地から2時間ちょっとでつき、予定通り8時。
いろいろな山が見渡せる。今日も天気がよい。
焼山からの下りはけっこうな急傾斜。
雪が緩み始めており、スキーでも??とは思わなくは無いものの、部分部分で雪が固い。アイゼンで無難におりる(山崎さんはツボ足)が、ダンゴになるため逆に怖い。
コルがすぐそこに見えて、シリセードで下ったほうが早いなぁーなんて思った(実のところ、全員そう思ったらしい)が、やらなくてよかった。急傾斜だし、あとでみるとかなりの距離だった…。
とにかく、このくだりは慣れてないとダメだね。そんなんで、それなりに時間がかかってしまった。
そこからの影火打への登り返しもたいへん。
なんと、焼山から400mもくだってしまったのだ。焼山と影火打の標高はほぼ同じということは、下った400mをそのまま登り返さなければならないし、ここにはトレースなんか無い。
まぁ、体力番長の山崎さんがいるからね。その分は助かったけれど。この上り返しで2時間かかってしまい、影火打の山頂に11時過ぎ。予定は10時だったんだけれどね。まぁしょうがない。
影火打と火打岳のコルに荷物をおく。あとは火打岳の山頂だ。
実際のところ、みんな(山崎さんを除く)はヘロヘロでかつ、私以外は火打岳には登ったことがあるらしく、山頂はどうでもいいという感じ。
でも、空身なら行ってくれるというのはうれしい限りだ。
一踏ん張りして、皆さんと一緒に登り、記念撮影。
コルまで戻って、一段下ったところまで下ってから、スキーをつける。
ここからは楽しかったなぁ。意外とたくさんのシュプールがあり、また同時期にほかパーティがたくさん滑っていたこともあり、心配していたルーファイはまったく危惧することなくいけた。
(後で聞けば、高橋さんがファーストトラックだとか・・。よくルーファイで着たなぁ)
まぁ、上部は雪面が固く、またボコボコでフリートレックの2人は苦労していたようだけれど。でも途中からは雪も緩み、快適な滑降だった。楽しかったね。
シュプールについていって、初見ではたいへんだろうなぁと思う火砕流跡の沢筋の横断も、シュプールのおかげで見事なルート取りでかわし、賽の河原の台地で休憩。
山崎さん以外は焼山北面台地は初めてだが、確かにスキーの別天地だね〜と思うようなところで、ここで一泊できたらさぞいいだろうと思う。
でも、ピークは全部とったので、当分は来ないけどね。ジジィになったらまたくるぜ。
ここから2〜3時間かかるという話だったが、テレマークガイドパーティの後ろをたどったら、1時間程度で笹倉温泉についた。すいません。
さて、笹倉温泉から焼山温泉までの車の回収で30分ほどの歩きを覚悟していた。
が、高橋さんの車を笹倉温泉で発見。おそらく、高橋さん自体は温泉に行っているのか、いなかったけれどね。っで、ためしに、ドアを開けると、鍵が閉まってない!
そして、車の中においてあったポーチを無断で探るとなんと、車の鍵も発見!
さすが、高橋さんだぜ!。あまりに無用心だが、この際、感謝の気持ちしかない。ありがたやーー。
というわけで、無断借用させていただき、車の回収に楽せてもらった。
温泉で、高橋さんに事情を説明し、了解してもらった。イヤー助かった。
今回の参加者で、実は私だけがこの頚城山塊がお初だったようだが、とにもかくにも新鮮。好天に恵まれ、美しい景色が一目瞭然。海谷山稜・雨飾・妙高を、実際に見てみると、予想通りさらなるイマジネーションが膨んだ。
やはり、烏帽子はかっこいいし、鬼ヶ面もいい。いつか、行きたいね。
そんなこともあって久しぶりに縦走をすると「山っていいなぁ」とつくづく思う。山の基本は縦走だぜ。
なかなか時間は取れないけれど、基本に忠実にそして、創造的な山を志すなら、やはりいろいろな山を見ることがとても大切なことなんだな。
ともあれともあれ。本当に「いい山」やったなぁ。
あえて縦走して最後に滑降するなんて、流行のスタイルから逆行しているが、このような計画に乗ってきてくれた皆さんに感謝したい。
天候とパートナーに恵まれ、計画をまっとうでき、私にとっては確実に思い出深い山行になった。
2014.5.2 鮎島 筆
【記録】
4月12日(土)快晴
焼山温泉0600、昼闇山1230、幕営地1400
4月13日(日)快晴
幕営地0600、焼山0815、影火打1110、火打岳1200、ドロップイン1230、笹倉温泉1450
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