小川山/ヨバリ沢岩塔群(巨人ゴーレムの頭、右岩峰、左岩峰)


日程:2014年10月25日〜26日
メンバー:荒井、渡邊功
形態:フリークライミング

数ある小川山のエリアの中でも「ヨバリ沢岩峰群」はかなりマイナーな部類。ルート解説的なトポはほとんどなく、アプローチも過酷、そして安心できるボルトがあるはずもない。現代ウケする要素を見出すことが難しいこのエリアが開拓され、忘却されるまでにそんなに時間はかからなかっただろう。
しかし、その忘却をかろうじて繋ぎ止めているのが「巨人ゴーレムの頭」だ。廻り目平から金峰山の方向を見ると、稜線上にポコッと突き出ている。ヨバリ沢岩峰群は、巨人ゴーレムの頭、巨人ゴーレム右岩峰、巨人ゴーレム左岩峰、バベルの塔、ノアの箱舟、ネッシー、海底魔王ネルコンなどで構成されているが、この手のネーミングに極端に弱い私には、アプローチの長さはさほど苦でない。

〈アプローチ〉
9時に廻り目平駐車場を出発。今回はヨバリ沢を遡行してアプローチを試みる。(前回は会外山行で、フェニックスの大岩から一直線に巨人ゴーレムの頭を目指してヤブを漕ぐ。)踏み跡の確認をしながら進み、10時に西股沢とヨバリ沢の分岐。右岸を中心に沢沿いを遡行し、11時30分に「巨人ゴーレム」と「バベルの塔」の下と思われる場所に到着。ヨバリ沢から岩峰群が視認できると想定していたが、樹木に遮られ、目論見はハズレ。ヨバリ沢が北に大きく湾曲した地点がそこにあたる。その地点から北北西へ斜面を上がると「巨人ゴーレム」へ着く。しかし、かつてはあっただろうアプローチ道は完全に自然に帰っているので、オンサイトでお目当ての岩場に行くのはかなり困難。岩がたくさんあって、どれがどの岩なのか見当がつかない。唯一自信を持って確認できる「巨人ゴーレムの頭」を目指して稜線までヤブを漕ぐ。

〈巨人ゴーレムの頭、お子様ジャム(5.5)〉
巨人ゴーレムの頭の東面が取り付き。一見してそれがルートなのか判然としないが、隣のルート「肥満大敵チムニー(5.7)」が目印となる。
核心は岩茸に覆われたワイルドなハンド・クラック6mほど、グレーディングは適切。

【ギア】
マスター(#3or#4)、キャメ(#1)
【終了点】
リングボルト2つ、RCCボルト1つ、スリング、ビナ2枚が残置


〈巨人ゴーレム右岩峰、仙人の家(3P、5.6)〉
【1P:荒井リード、5.8】
ブッシュを漕いでスラブでスタート。ムーブは特に悪いところはないが、プロテクションはとれないので、ランナウト。その後、凹角を経由してオフウィズス・サイズのクラックへ。側面にホールドがあるので、ワイド登りにはならない。終了点は快適なテラスにある立ち木。
【2P:渡邊リード、5.7】
テラスをブッシュを漕いで進み、チムニー・サイズの凹角へ。側面にホールドがあるので、ワイド登りにはならない。終了点はテラス。巨人ゴーレムの頭方面へ歩いて下降。
【3P:荒井リード、W】
岩稜のちょっとしたクライミング。終了点はテラス。
【総評】
トポには5.6となっているが、プロテクションのセットやテクニックを総合すると、5.8が妥当。
【ギア】
マスター(#1〜#6)、キャメ(#2〜#3)1セット


〈巨人ゴーレム左岩峰、縁とゆかり(5.9+)〉
【1P:荒井リード、5.9】
ブッシュを漕いで小さいテラスへ。テラスからハンド・サイズ・クラックに移る一歩が悪い。クラックにはズルにも使えない木が生え、土が詰まっている。終了点は安定したバンド。
【2P:渡邊リード、5.9】
バンドを左にトラバースして、シン・サイズ・クラックへ。プロテクションはしっかりとれる。終了点は小さいテラス。
【3P:荒井リード、5.9】
木の生えた凹角。左の側面にホールドがあるが、スタンスが悪い。その後、チムニーを登り、終了点はテラス。
【4P荒井リード、10a】
テラスから3〜4mのフェイス。行けなくはない感じだが、プロテクションがないため、かなり躊躇する。渡邊さんに踏み台をお願いして、トップアウト。終了点は快適なテラス。下降は、西面から捨て縄を使って懸垂下降。
【総評】
グレーディングは概ね適切。1Pと2Pは継続して登るのが本来のルート。3Pはテラス右側の凹角にラインを取ったが、左側に回り込んでチムニーに入るのが本来のルート。
【ギア】
マスター(#1〜#6)、キャメ(#2〜#4)を1セット

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