東北スキーツアー


西吾妻

【日程】

12/29 御在所温泉〜茶臼岳
12/30 乳頭山
12/31 森吉山
1/1 移動のみ
1/2 天元台〜西吾妻山〜若女平

【メンバー】

佐藤、佐野

【報告】

2014/12/29 御在所温泉〜茶臼岳

御在所温泉0840-八幡平スキー場跡-大黒森1020-恵比寿森1050-茶臼山荘1120,1140-茶臼岳1150-(滑降)-御在所温泉1340

GPSトラック

道の駅にしねにて仮眠。朝、御在所に移動。

他に数パーティーが入山しているものの、八幡平スキー場跡から登ったのは我々だけだった。 大黒森からは古くからのツアーコースのようで、いくつか標識を確認できた。しかしまだシーズンではないのか、人に会わないし、トレースもなく、しずかな山歩きができた。

茶臼山荘で休憩。小屋の中の温度計で気温は-7.5℃。このときは寒いなあと思ったけど、その後の山の方がずっと寒かった。 茶臼岳はハイマツに囲われており、まだ雪が浅いのでなかなか厄介。つまり、ハイマツの落とし穴におもいっきり嵌ってこけた。 すこし小屋に戻ってから滑降することにする。視界が悪いので方向に注意だ。しかし、あとで思い返せば、この日が一番視界は良かったかも。 1448ピーク付近をトラバース中、「人間発見!」と声が聞こえたので手を振る。御在所の駐車場にいた人だろうか。 そのまま東の下降した方がよさそうだったが、下部の恵比須沢付近の状況の想像ができず無難にもうひとつ南のピークから下降することにした。傾斜はゆるゆるだが、そこそこ走る雪なので苦痛というほどではない。

下山後、乳頭温泉をめざし車を走らせる。高速から見える岩手山が非常に見事だった。

2014/12/30 乳頭山

乳頭温泉孫六温泉0850〜田代平山荘1025〜乳頭山(烏帽子岳)1130〜孫六温泉1300

GPSトラック

出発したときからすでに雪が降っており、予報通りだがなんともよろしくない。稜線にでたらどうなることやら。トレースがしっかりあり、それを頼りに行けるかと思ったが田代平小屋までしかなかった。

この先は完全に真っ白の世界だ。視界がなくてホワイトアウトというより、地形的にだだっ広いところで、地面も空も真っ白なので、止まっているのか動いているのか、登っているのか下っているのかわからない。まるで真っ白な空間を漂っているようだ。振り返れば自分たちのトレースがあり、それだけで全然違って見えて現実に戻れるのだが、いやなんとも恐ろしい限りだ。なんども「こえー!」と口走ってしまった。

ともかくコンパスを頼りに進んでいき、最後10mくらいは雪が飛んでしまって岩ごつごつなのでスキーをデポしたが、どうにか山頂に立てた。風が強いし山頂の反対側はすっぱりと切れ落ちているしで、雰囲気はまさに冬山という感じだ。そのすっぱりと切れ落ちている方は、烏帽子岳南壁なんていう冬のクライミングの対象になっていたりすれば面白そうとか想像したり。

さて、下山だが、地形図的にも実際歩いてきた感じも尾根が細くて木が多いし急斜面もあるしで、滑降は苦労するだろうな、ということで、一本北側の尾根の下降を考えていたのだが、視界が悪くルートファインディングが難しいということで同ルートの下降とした。 途中、地元のスノーシューのご夫婦(たぶん)に会う。山頂まではいかないとのこと。この日にあったのはこのパーティーのみ。 滑降は、これが意外や意外、快適だった。やっぱり雪質がいいと違うねえ。あっというまに降り切ってしまった。雪の降りは次第に強くなってきており、早く降りられてよかった。 宿の旦那に「早かったね」といわれた。

2014/12/31 森吉山

阿仁スキー場〜阿仁ゴンドラ山頂駅1115〜避難小屋1215- 森吉山1310〜避難小屋1330-山頂駅1435-山麓駅1505

GPSトラック

これまた視界がありませんな、という状況でまったく余裕がない。最初なんとなくあったトレースはあっという間に消え、あとはコンパスを頼りに進む。一発目、1308ピークの神社方向との分岐はクリアしたとして、1308のピークから避難小屋間のルートファインディングが難しそうで、案の定、ちょっと間違えた。

森吉山の樹氷モンスターは名物らしいが、本当にビッグですばらしい。モンスターの手足が風に揺れて面白い。しかし、その足元にうねるように積もった雪の処理が、要注意だ。落とし穴もある。 片っ端からモンスターをぶっ壊すと、山頂の標識を発見。 同ルートの下降だが、部分的にトレースが消えており間違える。どうにかゲレンデに降りることができた。それにしても寒い。

ゲレンデをかっとばして下り、ゴンドラ乗り場に下山の報告をしに行くと、どうやら他パーティーも入っていたようだが、「早々に下山しましたけどねー」とのこと。少し怖かったけど、我々だけでやりとげた充実感がある。

2015/1/1 移動

大雪で移動のみ。悪天の予報から、どこに行くかいろいろ考えたが、西吾妻に思い至り、丸一日かけて移動する。 高速道路の積雪が見たこともないくらいだった。

2015/1/2 天元台〜西吾妻山〜若女平

天元台高原スキー場の一番上0940〜梵天岩1100〜西吾妻山1145〜西吾妻小屋1200〜若女平〜道路1520

GPSトラック

ロープウェイとリフト3本を乗り継ぎ、一気に標高1800mへ。ロープウェイは20分間隔。一番上のリフトは9:30開始で少し待った。

中大嶺へはあがらず、直接コルを目指す。トレース皆無でリフト上からいきなりラッセル。樹林は濃いが順調にダイレクトにコルに出た。またしてもホワイトアウトだが、コンパスを頼りに進み、梵天岩で道標を確認した。

西吾妻山へ向かう。途中スキーツアー向けの標識があったが、続かない。山頂は全く見えないがそもそも地形的にわかりにくい。山頂付近にたどりついたが、結局標識等は見つけられなかった。

コンパスで方向を決めて下りだすとじきに西吾妻小屋の屋根が見えた。と、同時に一瞬晴れ間が見えた。背の低い樹氷が並び、気持ちのよい景色だ。

小屋から若女平へ下る。ルートのわかりやすさと、ハイグレード山スキーを参考に、谷を辿るように下るが、なんとも滑りにくい。谷が狭すぎる上に、アップダウンがあるのと、ところどころ割れて水が見えているので、とにかくめんどくさい。視界があるのなら迷わず尾根上の夏道を下った方がいいだろう。 若女平付近で夏道に合流すると山スキー向けの若女平コースの指導票がでてきたので、上部にもあるのかもしれない。

このコースは、滑りの要素は少ないので滑り重視では楽しめないだろう。しかし、深雪の若女平はスキーでなければ踏破は難しいだろう。スキーを雪山での高機動性から利用するクラシックなスキーツアーという感じだった。

今回のツアーで西吾妻山が一番ハードで変化に富んでおり、楽しかった。想定していたわけではないが、今回、徐々にハードな山となっていき、技術的にも精神的にも慣らされていったようだ。ホワイトアウト状態でのルートファインディング、深雪の中での消耗の少ない身のこなし、悪条件の中でのわずかな滑りにも楽しみを見出す精神的な余裕が徐々に出来ていっていたように思う。 もしもいきなり西吾妻に行っていたら、満身創痍なハード山行となり、まったく楽しめなかっただろう。

記 佐藤