北ア/焼岳・山スキー

【日程】

2015/4/12(前夜発日帰り)

【メンバー】

佐藤、佐野、森本

【ルート】

下堀沢右岸尾根〜下堀沢上部カール〜北峰南峰のコル〜南峰往復

【報告】

久々に仕事が忙しいし、マラソン大会も来週だ。疲れているし、ネタも無い。この週末は自粛かなんて思っていた。そんなときでも、「今週末どうするの?」とくれば、脳裏に今週末行くとしたらの山のイメージが浮上してくる。ここのところ毎週のように山を見てきたおかげだ。それで焼岳。毎週毎週季節は進み、山の状況はめまぐるしく変わる。今シーズンは特に雪解けが早いと感じている。また我々は混雑が大嫌いだ。その条件で焼岳ならばよさそう、と理由もついた。

だいたい話がまとまったころ、この冬、スキー修行を積んでいた森本さんから連絡が来た。山スキーをやりたくて仕方が無いという感じだった。それならばということで誘った。アイゼン、ピッケルも山スキーも初めてということで不安がなくはないが、ここをやっとけば今後ほとんどどこへでも行けるだろう。それにツアー型のロングランのルートと違って、登って降りるだけなので、どうしようもないときに引き返せるので調度いい。もちろんそうなっては悲しいので、しっかりと準備と覚悟はしていただく。

ルートは、中ノ湯温泉からの往復と、下堀沢の右岸尾根の往復が考えられたが、前者は登りが楽で、後者は下りが楽だ。ならば、中ノ湯温泉から登って下堀沢へ下降すればいいか、とタクシーで向かったが、中ノ湯温泉への道路は宿泊者でないとタクシーも入れなかったので、結局釜トンネルに戻ってスタート。ちなみに、この日、沢渡から上に行くタクシーはこの一台だけで、何往復もして登山者を運んでいた。下山も同じ。

下堀沢出合付近の梓川は全く渡渉できそうにないので、もっと上流の大正池ヒュッテへの橋で対岸に渡り、シール登行開始。下堀沢に入り、堰堤を一つ越え、二つ目の堰堤が見えるあたりから、右岸に取り付く。下堀沢はこの上で落石混じりの雪崩後で汚れており、とても進めそうにない。下降は下堀沢を下まで行けたらいいな、なんて少しは思っていたが、とても滑れそうにない。

急な登りを一登りで尾根上へ。ここまで登ってしまえばあとは楽だ。緩斜面を快調にとばし、下堀沢上部のボール状に入るあたりで、中ノ湯温泉からのトレースと合流する。このあたりは下堀沢の上部の谷形状が一旦消え、略奪点のような地形となっている。

右岸尾根には他のパーティーはいなかったのに、中ノ湯方面からぞろぞろと何パーティも上がってくる。それから左岸尾根からも1パーティー。こちらはなんだか強者っぽい。

中ノ湯から往復というボードの人の話では、そちらはアップダウンがあり、滑りは快適ではなさそうとのこと。やった!我々のルートが一番楽しそうじゃん。でも、きっと左岸尾根のパーティーも同じことを考えていることだろう。

ところで、このあたりから頭痛がして、山頂付近まで続いた。最初は高度のせいかと思っていたが、佐野さんも調子悪くなったことと、山頂付近で痛みが消えたことから火山性のガスのせいだったのかもしれない。

コルまであがり、スキーをデポし、山頂を目指すことにする。コルにいた緑の服の人が、南峰の方が高いと言っていたので、南峰を目指す。見上げれば、ちょっと嫌らしい感じの岩稜になっていて、先行していた二人パーティーが引き返してきた。うーん?悪いのか。森本さんは不安を口にしたが、せっかくなので是非と少し強引に誘ってしまった。取り付いてみると、だいたい見た目通りだけど、ミスは許されないので怖いかもしれない。とくに下降が不安。でも、登り初めは苦労していた森本さんも下降するころには格段に動きが良くなっていた。この南峰の往復はちょっぴり雪稜っぽくて充実して楽しかった。コルには次から次へと登ってくる人がいたが、南峰の山頂を往復するパーティーは僅かで、落ち着いてじっくり登ることができてよかった。山頂では我々のみで景色を堪能できた。登って本当に良かった。 滑降は往路を忠実に戻る。我々がコルへ戻る頃にはほとんどのパーティーは降りてしまっていたので、焼岳のハイライト「大ボール」を我々だけでのびのびと下降することができた。といってもボール状なので中心部の狭い範囲に落とされてしまう。雪質は適度な硬さで人間に優しく非常に快適。 大ボールを過ぎ、樹林に入ってもなかなか快適な斜面が続く、最後はGPSを頼りに往路のポイントから下堀沢に降りる。下堀沢も往路通りだが、堰堤の存在を忘れて突っ走しってダイブすることになればただではすまないので要注意だ。

道路に出るところで、左岸尾根パーティーが調度通過するところだった。沢渡に戻るときタクシーの運ちゃんから聞いた話では、5組ほとんど同じ時間に連絡してきたそうでパニック状態だったそうだ。しかし、我々が釜トンネルを出たところで調度タクシーがやってきて、いい具合にずれていたようだ。我々が最終パーティーだっだ。

雪質は良好だったしルートもこの雪の状況ではここが一番良かったんじゃないかと思っている。右岸尾根は他パーティ無しだったし。やっぱり山スキーは、想像力をフルに使ってルートを考えるのが楽しい。山頂の往復もアクセントになって充実したし、今回も予想以上に楽しめて幸せだ。

2015.5.15 佐藤益弘

【記録】

釜トンネル入り口07:15 - 下堀沢08:30 - 北峰南峰のコル11:45 - 山頂12:30 - コル(滑降開始)13:30 - 大正池 14:30- 釜トンネル入り口15:30

【装備】

全員スキー。南峰の往復はアイゼンピッケル必携。

【地図】

焼岳 GPS track

【写真】

穂高

1.雪少ないね

焼岳

2.大ボールが見えてきた

下堀沢右岸尾根

3.下堀沢右岸は明るい樹林

大ボール登高中

4.気がつけばぞろぞろと

南峰側からのデブリ

5.真新しいデブリ

南峰への登り

6.南峰への登り

南峰山頂手前

7.南峰山頂は稜線に出てから少し歩く

南峰山頂にて

8.南峰山頂にて

お鉢と笠ヶ岳

9.お鉢と笠ヶ岳

滑降開始

10.滑降開始

大ボールの滑降

11.快適な滑降だった

下堀沢上部

12.大ボールの滑降中

下堀沢右岸尾根下部

13.尾根下部はなんとか滑れるレベルの樹林