2015年8月9日
ナベ(L・記)、木村
車を東京トラウトカントリーに停め(1000円)、10分ほど歩いて川乗橋へ。ちょうど日原川本流へ下る朽ちたハシゴがあったのでこれを利用して本流へ降り、10mほど本流を下って川乗谷出合。そこから1分もしないうちに淵で3mほどの泳ぎ。簡単に滝の右から上がる。川乗谷全体として、淵・釜は一見深そうに見えて案外足が付くというパターンが多い。
以降、トマの風の記録によると平凡とのことだったが、ちょっとした小滝や淵が出てきて十分楽しいと言えるレベル。意外にも綺麗でもある。
途中、豪快に吐水するパイプを過ぎると、新しい堰堤(取水口)があり、一旦右岸に上がる。堰堤のバックウォーターが大渓谷みたいで面白かったが、その後右岸に謎のテント場が出てきて、遊歩道が左右両岸に巡り、木道の橋がかかるなど、一気に人臭くなる。水源地のすぐ上に斯様な人工物がたくさんあるのは違和感を覚える。(水源地という理由でクローズになった岩場は沢山あるというのに…)
やがて、不気味なくらい浸食された大岩が出てきて、「あ、岩が石灰岩になった」とすぐ分かる。その先にはゴルジュが待ち構えている。これが聖滝か。
淵&1m小滝。
淵の右側をけっ飛ばしながら巻き返しも利用しつつ落ち口の右手前あたりの足場に立つ。トマはこの小滝をフリーで越えたらしい。確かにものすごく都合のいいカチフレークがあるが、ワイには難しかった。なぜか打ってあるペツルを利用してA1で越える。越えた先も即F2の釜で全く落ち着かないが、先ほど利用したペツルの2m先にまたもペツルが残置してあり、ありがたくハンギングビレイ。ちなみにフォローの方が白泡に飲まれる恐怖があって怖い。A1したところに長いスリングをかけておくか、いっそA1のボルトでビレイしてもいいだろう。
落ち口は一見して無理。ツルツル過ぎ。しかも釜の中を白泡が渦巻いており恐ろしいことこの上ない。ロープを付けていれば(たぶん)飲まれても死にはしないと思うが、突破できる見込みが全然ないので無理せず巻き上がることにする。今ハンギングしている左岸のビレイ点でA1し、一段上の左側にあるペツルまで移動。なんとそうこうしているうちに、後続パーティが現れた。モノ好きがいるモンだ…
一段上がってビレイしたのち、さらにもう一段右上を目指す。 腐れ残置のA1で肝を冷やした後は、凹状の中のリングボルトでさらにA1(この凹状はフリーで行けると思う)。F3上の左岸に出る。立木でビレイ。F3は樋状のツルツルでこれまた相当厳しそうだった。このビレイ点から見るF4は、本流が二条の滝となって落ち込み、さらに右岸から滝をかけて支流が流入し、3本の滝と釜が美しい調和を見せており、来てよかったと思わせるところだ。しかし支流の一番上には洞窟が見え、「あれがひょっとして上智大の学生が潜ってそのまま25年冷蔵保管されちまった聖穴か…」と萎える。
クライムダウンで釜の脇まで降りて、F4の右側の流れから上がる。簡単。
これにて聖滝終了。
その後はちょっとした淵を泳いだりして楽しんでいると、すごい声が聞こえる。 なんと夫婦滝の大岩でキャニオリングしているではないか!。 8名くらいの若者と、水上あたりによくいる白人がキャッキャ言っている。 全員おそろいのネオプレンを着ており、客観的にはモジモジ君軍団であるが、こちらは土方ヤッケで濡れネズミなので人の事は言えない。 挨拶して、右の滝を登っても邪魔にはならないか確認して取り付く。
肩までの釜を渡って下の段に取り付くがこれは簡単。そこから先が激シャワーで上が見れない。水流右の側壁に台のようなところがあり、そこに上がれば買ったも同然と思っていたので、比較的信用できる残置にA1するが、台の上には何もなく、さりとてマントリングは恐ろしい。そうこうしているうちにシャワーの圧力に負けて滝の裏に逃げる。さっきA1した残置の左上の残置に立てば、台に上がれると思うが、左上の残置は完全に激シャワーの中である。…木村さんに交代。 木村さんも最初は激シャワーに戸惑っていた。そうっすよね、無理っすよね。 しかし、父は強し。それとも元D会だから強いのか。やがて意を決してナベが恐れをなした激シャワーに果敢に突っ込む。 マジっすか。水圧こそそれほどでもないものの、完全に水流の中である。すげー。巻くとなればおそらく右岸のルンゼで結構悪そうだが、それにしたって激シャワーである。壮絶なA1の2手で「台」の上に上がる。 ハーケンを1本決めてからフリーで落ち口へ。ナベは用意したアッセンダーとグリグリで「ユマグリング」して楽をさせてもらった(上を向かなくてもいいのだ!)。 ちなみに木村さんのカッパにはフードが無かった(!)
夫婦滝からすぐにまたチャートゴルジュ。竜王橋手前のゴルジュと呼ぶことにする。 空中にFIXがある。おそらくキャニオリング用だろう。目障りだが、こちらはケイビングのペツルでA1させてもらっているので相身互い身である。 しかし、キャニオリングと思われる車が林道を行き来しているのは「ズルい」としか言いようがない。歩きなさいよ。
これはトマの記録通り滝の裏をくぐるようにして登るが、いいホールドは水流側にあり、ナベ・木村ともに一瞬持っていかれそうになる。
階段状で簡単。
一見して水流左が傾斜が緩そうに見えるが、近づいてみると全然登れそうにない。 ちょっと降りて、左岸の草付から高巻く。奥多摩にしてはちょっと悪い。
これにてゴルジュは終了。このまま左に巻き上がる道があり、竜王橋に出れる。
だが我々はもう少し楽しもうという事で、目の前のちょっとした淵状をへつって橋をくぐるが、その先の小滝でキャニオリング軍団が滑り台を楽しんでいるのを見て撤退を決意。 さりとて、この滝を登らないと林道に上がれないので、彼らが一通り遊び終わるのを眺めてからこの小滝を登り、左岸側の踏み跡を辿って林道に出た。
7:50トラウトカントリー 8:00川乗橋 9:30取水堰堤 9:50聖滝ゴルジュ 11:05聖滝ゴルジュ上 11:30夫婦滝 12:45竜王橋ゴルジュ下
14:00林道(竜王橋) 14:45トラウトカントリー
とても楽しい1日でした。 水に関しては、逆川出合まではとても綺麗です。(出合から先はなぜか水が少し濁っていた) 渓相は全体を通じていいですが、取水堰堤周辺が今後どうなるか心配です。 それにしても、聖滝F1をフリーで登り、F2F3をショルダー等沢テクで突破したトマの風は本当にすごい。F1は確かに頑張ればフリーで行けそうな雰囲気はあったけど、F2に突っ込む勇気に脱帽します。俺たちは怖くて無理でした。俺にも守るものが出来たということか…
聖滝ゴルジュと夫婦滝以外はオーソドックスな沢、かつアプローチ至便で綺麗(取水堰堤周辺は今後分からないけど)。 水に浸かれる盛夏に、一日だけ空いてしまったら、お勧めです。 キャニオリングのFIXロープはウザイですが、彼らの打ったペツルを利用させてもらったので相身互い身ということで(このあたり、奥多摩ですねえ)。
キャニオリング軍団他、釣り人と思われる車も突破してきていましたが、車は金払ってトラウトカントリーに停めましょう。 たった10分の歩きと1000円で気持ち良く登れます。