2015年9月5日
メンバー:ナベ(記)、細谷
8:30本庄駅 9:50橋倉集落上のカーブ(駐車) 10:10 巨岩帯 10:35最初のゴルジュ 11:10幅広滝 11:15超巨岩トンネル 11:40第二ゴルジュ 13:20第二ゴルジュ上 13:25第三ゴルジュ 13:55二俣 14:05林道 14:45駐車場
上野発の高崎線始発で本庄駅を目指すが、人身事故で1h遅れる。この時点で遡下降は無理だったので、1本に絞る。 右俣はネット上に記録があったので、左俣を目指すことにする。つまらないと分かっているところに行っても仕方ないし、左も似たようなものだろうが、もし未知の何かがあってもこの方が林道も近いし、エスケープ容易だろうと思っていた、この時は…。
8:30ごろ本庄駅で細谷さんと合流し、一路神流町を目指す。 1hちょいで目的とする橋倉集落に着いた。意外と近い。それにしてもこんな所に集落があるのが凄い。昔は学校もあったようだ。 細谷さんはこの界隈を「群馬のチベット」と呼ぶ、と教えてくれたが、確かに落ち武者集落とかと関係があるのかもしれない。 集落内に駐車すると迷惑になりそうだったので、一段上の上の大きなヘアピンカーブの邪魔にならない所に停めて身支度する。かなり広いので1台くらいなら邪魔にはならないだろう。
下って、集落から入渓しようとしたが、すぐに堰堤が見えたので右岸の作業道から巻いて入渓。 最初は平凡な河原歩き。ゴミというか、林業用と思われるマーキングやテープが目立つ。かなり目障りである。そして回りは植林… やがて小さなダムに出くわし、右岸から巻いてダムの上に出るが、このダム、下降用のハシゴが付いていない。悪いことにダムの右岸側はけっこうな高さとなっており、巻くと結構なアルバイトとなりそうだったので、ダムの上に無理やり生えている灌木で懸垂してぬかるみに降り立つ。水は思ったより冷たくないが、泳ぎたいとは思わない水温である。
ダムの上では気持ち悪い立ち枯れの木が歓迎してくれた。気味が悪くて幸先が悪い。この先も作業用テープが目立ち、しかも植林で、どうにも盛り上がらない。たしかこの後石積みの堰堤がもう1つ出てきたと思う。 そのうち巨岩帯が出てくる。水線はCS滝となっている。巻けば簡単そうだったが敢えて水線を攻める。細谷さんにショルダーで上がってもらい、スリングでゴボウ。細谷さんはショルダーが初めてだったとのこと。
この後も平凡。このまま終わったらヤバい。焦って、「細谷さん、このまま終わったらお詫びに飯ごちそうしますよ、げへへ」と保険をかけ始める。結果的にこの保険は不要だった…
やがて大きな釜を持つ小滝に出合う。深いのは中心部だけなのでぐるっと巻いて滝の左側から簡単に登る。この沢、基本的に岩が順層で登りやすい。欲しい所にホールド・スタンスがある。一ノ倉にも見習ってほしい。この釜を越えると流水溝のようなミニゴルジュが続くが、ホールド・スタンス豊富かつツッパリも使えるので、簡単に水線をへつれる。
「いやあ、見せ場があってよかった」
正直、この沢はこれで終わりかなくらいに思っていた。この時は…(おそらくこのゴルジュが地図上の最初の屈曲点だろう)
このゴルジュを抜けると俄然渓相が良くなる。 チャートだろうか?赤い岩盤が印象的だ。小滝がポンポンと出てきて飽きさせない。植生も、天然林が少しずつ出てきた。歓声を上げながら遡行していると、印象的な幅広い滝(2m)が出てくる。簡単に越える。
おそらく地形図上の2か所目の屈曲点あたりで、大型トレーラーくらいの大きさの岩が沢をふさいでおり、その下のトンネルを抜ける。うむ、変化があって良い。
その後は相変わらずテープと植林が目障りだが、まあまあの渓相の沢を遡行。沢の真ん中に、燃えさかる炎のような形をした巨木が生えていたのが印象的。時折白い岩盤もあってなかなか。
地形図上で等高線が込み入った箇所には滝があるだろう(あったらいいな)と思っていたら、案の定滝が出てきたが、両岸ゴルジュなのは想定外。しかもすさまじくぶっ立っている。入り口に10m滝があり、その奥にさらに滝が見えるが、屈曲していて良くわからない。 入り口の10m滝は簡単に右壁を登れそうだったのでとりあえず登り、いい具合に台地になっている所から奥の様子をうかがう。 ゴルジュ内は小滝が2つほどあるがこれは簡単に処理できそうで、問題は一番奥の、左から落ち込んでいる滝。飛沫の上がり具合からして10m前後だろうが、あれは登れるだろうか。 とりあえずザイルを付けて、突っ込んでみることにする。ビレイ用にハーケンを1本ぶち込む。
出だしの2歩位が緊張させられるが、その2歩をこなせばゴルジュに挟まった木からランニングが取れた。 奥の様子をうかがうが、やはり一番奥は水量が多すぎてちょっと厳しそうだ(真夏なら行けるかも知れない)。 巻きを考えると、左岸側に、傾斜の緩い壁を挟んで何段かバンドがあり、沢から2段上のバンドがトラバースできそうだった。どん詰まりが不明瞭だったが、この沢の岩の性質から考えればおそらく奥まで続いていると思われた。そのバンドに上がるのもそれほど難しそうには見えない。まずは1段上の巨木まで上がる。ルンゼ状を直上した後、トラバース気味に登ったが、このトラバースがちょっと悪かった。支点は紫キャメがルンゼに決まった(気がする)。
灌木から一段上がると、今迄緩そうに見えていた壁が実はすごく傾斜が強いことに気付く。小ハングに頭上を抑えられた狭いバンド状を這いつくばって下流側にトラバースし、小ハングの切れ目を上流側にトラバース気味に登る。小ハングを乗り越える所が核心で、脚がない&ホールドはイマイチ。ガバさえあれば腕力で越えられるのだが…仕方なくハーケンを鉛直にぶち込み(打ってる時点で回収不能だろうなあと思った)、スリングをかけてA1。ハングの上も傾斜が強いが順層なので探せばホールド・スタンスはある。ハング下とA1ハーケンにランニングを取ってしまったのでザイルの流れが重いが、こらえて上流側にトラバース気味に登る。こえ〜。木の根っこも最初はイマイチ信頼できないが、やがて信頼できる根っこを掴んだ時はほっとした。巨木でビレイ。 細谷さんもA1の所で苦労したようで、案の定ピトン&スリングは残置してしまったとのこと。それは仕方ないが、なぜか1P目のビレイ点も残置したとのこと。ハーケンは打ったら抜きましょう。
案の定バンドは滝の落ち口までつながっていた。簡単なトラバースで落ち口の先の河原の一段上まで進む。この先また滝が出てくると進退窮まるなあと思っていたが、バンドからクライムダウンできそうな雰囲気(登り返しも容易な雰囲気)だったので安心してピッチを切る。
ここから下の河原へはクライムダウンできそうだったが、用心して懸垂。このゴルジュだけで1・5h以上かかってしまった。 この先も両岸立っているが、右岸側にはエスケープ可能なルンゼも見えて安心。おまけに作業用テープの巻かれた灌木もあり、林道に上がれる事を示唆している。安心して遡行を続ける(ザイルが2本あればこれほど慎重にはならなかっただろう) いくつかある小滝を越えると、すだれ状の幅広滝3mが架かり、その上で沢は右に大きく屈曲している。 簡単にすだれ滝とそれに続く樋状の滝を登ると、今度は沢は大きく左に曲がり、20mほど先で右に屈曲し、屈曲点では垂直の10m滝がうなりを上げている。遠目からでも一瞥して登れないと判断し、目の前の緩い側壁を簡単に登り、沢に戻る。 沢は白いナメとと天然林が断続的に続き、素晴らしい。よく見ると林道のガードレールが見えたので、そろそろ上がるかという気にもなるが、二俣までは行こうと決める。 休憩を入れて少し進むと、二俣となった。両門の滝と言えなくもない。右俣の滝は結構厳しそうだ。左俣の滝は簡単に登れた。 もう時間的にそろそろ下りたいし、この先は平凡そうだったので、右岸の作業道っぽいものを辿ると簡単に林道に出た。 おまけに林道も小一時間も歩かなかった。
右俣が平凡とのことだったので、左俣もせいぜい滝場が一か所あるくらいだろうと高をくくっていたら、その予想していた滝場(第二ゴルジュ)は結構難しかった。 アプローチ・下山とも便利で、赤い岩、白い岩、ナメとそれなりに見せ場があり、変化があっていい沢。しかし林業用のテープやゴミがなんとも目障りで画竜点睛を欠くといったところか。ハーケン・スリングを残置してしまった分ペットボトルを1本拾って帰った。 タンクトップに着替えた細谷さんは、組長という綽名にふさわしい迫力を醸し出していた。
細谷さんが骨折の病み上がりなのでなるべく易しい所を…というリクエストで当初はマチガ沢東南稜を検討していたのだが、天気悪く、前から目星付けていたここになった。 思っていた以上に悪かったが、下山が短く、骨的にはちょうど良かったのではないだろうか。こんな沢に付き合ってくれた細谷さんに感謝です。
下山後に神流町役場前の「うらさわや(浦沢屋)」で鍋焼きうどんを食った。 最初は「なんだかボソボソしたうどんだな」と思ったが、食べているうちに、太い麺に汁がだんだん馴染んできて、気が付くと汁まで飲み干してしまっていた(汁がまたいい)。もっと煮込めば最初から美味いのではないだろうか。小鉢とデザート(寒天)までついて580円。また行きたい。 細谷さんは親子丼を食っていて、ビジュアル的には微妙(卵を加熱しすぎ)だったが、手作りの紅ショウガなどが付いていて多分味は良かっただろうと思う。 ところで、今山行のドライブ中、細谷さんはやたらと俺の結婚や家庭生活に質問を出してきて、なんでそんな事聞くのかなあと訝しんでいたが、定食屋で女性週刊誌と思われるゴシップ誌を熱心に読んでいるのを見て納得。組長、そういう話好きなのね…