穂高屏風岩

2016年5月14日〜15日
伊佐見、酒井

【ブッシュドメメケール】

※本当は上まで抜けるパラノイアを目指したのですが。

1P目(酒井)

 

右手にブッシュの生えたコーナークラックがあるフェースを登る。フェース抜け口を右手にトラバースするあたりが核心かな。ボルトが錆びていて嫌な感じだが無事OS。酒井さん曰く、これくらいのボルトの腐食なら問題ないでしょとのこと。5.10-とは思えないシビアなクライミング。

2P目(伊佐見) 

出だしが遠く、かなーり逡巡する。交代してもらおうかと思ったぐらい。ボルトを追いながらフェース全体に散りばめられた小さなホールドを拾っていく。最後はやや左上気味に抜けて横断バンドへ。もちろんボルトは錆びていて、頭が飛び出して曲がったヤツなんてとても緊張させてくれる。5.11aか。体が硬く、だいぶ力んでしまったが、落ちなくてよかった。

3P目(酒井) 

右手のコーナーへ。チムニーを越えて脆いセクションを登る。

4P目(伊佐見)

目玉のコーナークラックへ。が、濡れている。なんて浸み出し!遠目には分からなかったのにな。しかも青くっさいヌルヌルの藻がクラックの中にびっしり生えていた。クラックだからと、(心を)ごまかして登る。キャメ5番サイズのセクションをレイバックで越え、ぐっちょりハンドジャムで一息ついたところでフォール。いやー核心抜けたのになー。まぁヌルヌル過ぎたということで。5.10d。そんなところか。

6P目(伊佐見)

2人してフリー突破を試みたが登りだしで断念。いやヌルヌルなんですよ、クラックが。こんな臭い中にシューズを突っ込む気にならず。エイドで突破。クラックも中が脆くて、苦労しました。5.11aだそうな。抜け口はかなり悪いと思われる。アルムテラスへ。

アルムテラスは真ん中に灌木がどーんと生えていてビレイすら不快なうえ、想像以上に狭く外傾していた。これじゃビバークはできないだろう。その先のパラノイアもクラックから木が・・・。

懸垂で取付きへ。横断バンドからの懸垂1ピッチ目は腐った支点しかないので要注意。

【オープンロード(東稜)】

本当は再度ブッシュ…を登って上まで抜けてパラノイアとする予定だったが、もう2度と触りたくないのでオープンロードへ。

1P目(伊佐見)

超快適なT3(ここに泊まればよかった)やや左から登る。出だしが遠く核心。他はガバガバで快適。5.10d。

2P目(酒井)

5.12aのピッチ。中間7mぐらいの間が核心か。最大核心はゴーフレットみたいな薄いフレークでランナウトしていくところかな。動いていて今にも割れそう。エイドで突破。

3-4P目(伊佐見、酒井)

左へトラバースして、右手にピナクルが見えるところまで直上。途中でピッチを切ってしまい修正した。

5P目(酒井)

5.11aのなかなか面白いピッチ。右上へジグザグにハングを越えていく。

6P目(伊佐見)

最初は快適だが、テラス手前はランナウト。

7P目(酒井)

トポ通り出だしのスラブが核心。シビア。中間部でホールドが剥がれて酒井さんが落ちてきたときにはビビった。終了点へ。

【備忘】

伊佐見


酒井所感

学生時代以来、十数年ぶりの上高地再訪。そしてその頃、縦走で眺めるだけの対象であった、憧れの屏風岩を10数年経ってようやっと登ることができました。

フリーに専念していた数年間を経ての、久々の日本の本チャン・「ジャ」ルパインクライミング。 グサグサの雪渓でびしょ濡れになったアプローチシューズを履いた時と、 (1日目のマニアック登攀で)濡れ濡れクラックでのエイドクライミングを強いられ時は 危うくアルパインクライミングが嫌いになってしまいそうになりましたが(笑)

2日目のオープンロード登攀では、快晴の穂高連邦をバックに乾いた壁で気持ちの良い登攀が満喫できたため やっぱりアルパインクライミングは良いなぁ〜、と改めて感じることができました。

伊佐見さん、本当にありがとうございました。 と同時に担当ピッチでは不甲斐ない成果しか残せなかったので、今度は改めてオープンロードをRP狙いで再訪したいという気持ちもあります。核心の12aピッチは時間の関係でムーブがあまり探れませんでしたが、十分RPできる可能性はあると思います。秋あたりにどなかた御一緒していただける方いませんかね。ちなみにオープンロード終了点から屏風の頭に抜けられるようなので、そのまま前穂北尾根に継続して岳沢に抜けるなんていうのも面白そうです。

酒井

【写真】