形態:ベース形式クライミング
日程:2018年 7/13〜7/17(前夜発3泊4日)
メンバー:ナベ(L・記)、高橋、長田、菅原、山崎
海の日の三連休のケツに有給くっつけて4連休。 不良オヤジが5人も集まって、「ボッカは金で解決」ということで、真砂沢ベースのチンネ登攀を目論んだ。 結果はオーライで、しかも色々勉強になり、体力もついた?ので良かったです。
短い仮眠を経てアルペンルートから室堂へ。 そういえばここにいるメンツはGWにもここへ来ている。
というわけで、2か月ぶりの別山乗越登り返し。何度やってもキツイ。 例年割れている真砂沢小屋手前の雪渓は、今年はまだ割れておらず、雪渓通しに小屋まで。 ここでサプライズ! 諸般の事情により小屋ではビールを激安販売していた。
菅原さん「生まれて初めてビールを1日1L以上飲んだ」
真さん「ありえねー、毎日そんくらい飲んでる」
それはともかく、熊の岩を目指さない理由第一が「小屋のテンバならビールが買える」という事だったのだが、まさかこんなことが起こるなんて…
ちなみに、今山行では1発目にチンネ左稜線登り、2発目はできれば八つ峰マイナーピーク東面スラブを登りたかったのだが、室堂の遭対協の親父から見せてもらった航空写真では、1・2峰間ルンゼの状態が悪そうだ。 かつ、小屋テンバから見える2の沢も雪渓がズタズタで、登った後の下降が大変そうだ。
まあともかくビールが美味かった!
まず、真砂沢から二俣まで下り、その後三の窓雪渓を登るわけだが、これが第一の核心。キツい!遠い!
幸い雪渓は繋がっており問題なかった。
チンネ左稜線は、先行パーティーの尻を追う形となる。全体に難しい所はなく、カムやナッツが決まり、核心のハングもいざとなればA0できる。
ルート情報もネット上に溢れかえっており問題ないでしょう。
下部は山崎さん、中間部をナベ、上部を真さんが担当。
ナベが核心の小ハング越えに挑んでいる最中にヘリが横でホバリングしながら救助活動を開始し、心乱される。
真さん:「ごめん、ナベちゃんが頑張ってるとこ、誰も見てなかったよ」
そりゃそうでしょう。
核心ピッチから先はものすごいナイフリッジで、地震で倒れないか心配。ランニングを取るとザイルが流れなくなるのでナベ、真さんともに基本的にノーピン。 後半からガスが出てきてちょっと残念だったけど、雨に降られなかっただけ御の字です。
チンネの頭からクライムダウンで八つ峰の頭との間のコル。ここで先行パーティが池の谷ガリーへの懸垂にもたついていたので、山崎さんのルーファイに従い、剱沢側をトラバースしてから登り、八つ峰の頭へ。このトラバースは落ちたら死ぬのにボルダー8級くらいのムーブが出てきて痺れる。
池の谷乗越へクライムダウンし、長次郎右俣の雪渓を下るが、凄い傾斜&100メートルほど下にクレバスが開いていて滑落したらヘリ確定という状況なのでここでも痺れまくり。山崎さん、管原さん、ナベはノーアイゼン(厳密には菅原さんは4本詰めの軽アイゼンだが下りではほとんど意味なし)。
山崎さんはなぜかスイスイ下っていくが、ナベ&管はバックステップで慎重に下る。そんなことが長続きするはずもないので、途中で右岸に取り付いて懸垂下降。下降中に下を見ると、クレバスを左岸から巻いている真さんが見える。なんか凄いムーブを繰り出しているように見えたが、行ってみるとやはり難しく、ここでも落ちたら死ぬかもしれないのにボルダー8級。いい加減にしてくれ。
クレバス二つ巻くと、そこから先の雪渓はクレバスが無いので滑落しても死にはしない感じ。とはいえ急傾斜で、熊の岩へと続くステップカットが無かったらどれだけ時間がかかったことか。 熊の岩から下はステップカットが無かったが、傾斜が緩むので問題なし。
アイゼン組&山崎さんは熊の岩の下で待ってくれていた。真さんはナベ&管のバックステップを見ていてマジで怖かったとのこと。 このあと、さっきまでの傾斜で雪渓歩きに慣れた菅原さんがぶっちぎりの爆走(この日も早かったが、翌日はもっと早かった)。
帰着が遅くなったので寒くなり、ビールは一杯目だけ旨かった。確か18時ごろ帰着だったか。 ちなみにチンネで常に前に居たパーティは20時ごろ帰ってきていた。
まず長次郎谷まで登り返し。そこからさらに6峰まで登り。キツい。 長次郎〜5・6のコル間の雪渓はクレバスが入っている。
真さん&管原さんでCフェース剣稜会ルート、山崎さん&高橋さん&ナベでDフェース富山大ルートに。Dフェースは貸しきり。Cフェースは先行が妙な動きをしている。(あとで分かったが、県警がトレーニングのため色々やっていたらしい)
※メートルはうろ覚え。
Cフェースとの間のルンゼには雪渓が残り、シュルンドの中からのスタート。気分は最悪。地面ではなく5メートル位上がったテラスから。出だしが濡れていて悪い。傾斜も強い。途中で右に行きたくなるがあくまで左端に沿って進むのが正解。
傾斜がゆるんたバンド状を進み、途中で右手のルンゼに入り、ロープが無くなりそうなので残置を強化してピッチを切る。狭く、しかも残置は腐れており、次のリードの時に肝が冷えることになった。結果として、ルンゼに入る前にピッチ切るのが正解だったようだ。
出だしでランナーが全くとれず、ビレイ点は腐れ残置主体なので、山崎さんが落ちると全滅の可能性が高く、相当緊張した。ビレイ中、Cフェースのナイフリッジを登る真・菅コンビが見えたが、そういうわけで写真撮る余裕なし。
ルンゼ内は傾斜強いがホールドは多く、難しくはない。しかし若干脆い。
ルンゼを抜けて短いスラブの先にはハング帯が広がっている。新版・日本の岩場で「カンテ越え」とか書いていて混乱する。 山崎さんは迷った末に、ハング帯下のブッシュの左からスラブを上がっていって見えなくなったが、ロープ一杯まで伸ばしてもビレイ点が見つからず、クライムダウンで戻ってきて、結局、ハング帯の根本にあるブッシュ左のビレイ点にてピッチを切る。
高橋さん「見通しは立たないかもしれないけど、山ちゃんがクライムダウンしてきたってことは、クライムダウンできる程度ってことだろ?」
つまりそういうことでした。ビレイ点すぐ左からスラブを上がってバンド状へ。 古いトポだと「上昇バンド」と称されるピッチ。そもそも、ハング帯をフリーでぬけられるラインはここしかないように見えるので、ロープさえ足りていれば 迷うことはないだろう。
高度感が素晴らしいリッジ。美味しい。
残り20m程度のリッジをこなしてDフェースの頭。
全体として、ガメラ菊池さんの「新版・日本の岩場」のグレーディングは甘め。 ムーブグレードとしては4級以下で簡単。
ただし、ハング帯・垂壁帯がそこらじゅうにあり、間違えると即ハマりパターンでルーファイが難しい。 しかもチンネと比べて残置は少なく、なんとなくカム・ナッツも決めにくかった印象で、シリアス度は高い。 おそらくシリアス度を反映したグレーディングなんだろうが、ムーブの問題ではなく、「初登ルートである」ということを念頭において(つまり登山靴でのクライミングで、多分ハーケンと腰縄スタイルだったはず)、丁寧にルーファイするのが大事で、そういう意味ではジムに通うよりも残置の少ないクラシックルートや簡単なクラックの登り込みの方がモノを言うと思う。尚、一番ハマりやすいのは1ピッチ目。適当に登っていると右のほうに行ってしまいハマると思う。 他のピッチはトポを見ながら弱点を突いていけば自然と導かれていくはず。
八つ峰稜線上は踏み跡が複雑に交錯しているが、とにかく5・6のコルを目指す。ピーカンなので何の問題も無し。 ガスっている場合は、 基本的に「三の窓雪渓側には寄らない」「なるべく長次郎雪渓側へ」という意識で進むしかないだろう。5峰のフェースがほぼ5・6のコルからそびえたっているので、ガスの切れ目からそれを目印にする手もある。
5・6のコルへの懸垂下降点を見つけ、狭いので高橋さんがザイルの用意をし、ナベ・山崎さんが一段上でぼーっとしていると、ルンゼを1〜2本隔てた三の窓雪渓側の尾根になぜか菅原さんがいる。
良く聞こえないが、間違えて下降してしまったらしい。 ロープを下してくれとか何とか言っているが、そんなもん登り返すしかないと返答。 とはいえ心配なので、上から回り込んでロープをFIXし山崎さんが下降。モタモタしていると、真さんがザイルをつけて登り返してきた。 踏み跡を辿って行ったら立派な残置支点があり、「これだ!」と思って懸垂したら、次の懸垂点が貧弱で「アレ?」と思い、でも懸垂したらズタズタの雪渓(5・6のコルの三の窓側の雪渓)が下に見え「やっちまった〜!」と思っていた所、我々の声がしたらしい。凄い所を懸垂したので登り返しなど不可能と思っていたけど、登り返してみたら意外とそうでもなかった、とのこと。ヤケクソになって5・6のコル三の窓側ルンゼへ降りてしまわないで良かった。
雪渓は切れていたが、うまい具合にシュルンドと側壁の間をAフェース基部へトラバースできた。
下りは菅原さんが「小4」化し、滅茶苦茶早かった。
この日は昨日よりは早く帰れたので、ビールも気温が高いうちに飲めた。 (夜は薄手ダウンがあるとありがたい程度には冷える。テントの中なら不要だが…)
ハシゴ谷乗越経由という話もあったが、そもそも劔沢本流が激流過ぎて、「多分十字峡まで行っちゃいますよ」(by小屋の兄貴)とのことだったので、おとなしく室堂経由。 まだ真砂沢小屋の下や二俣周辺に雪渓が残っており、これで右岸側に渡ってへつっていければハシゴ谷乗越へいけるが、へつれるかどうかは不明。
山崎さんと菅原さんは「別山の岩場」(劔沢テント場の対岸にある岩場。文登研でよく練習に使っている)をおかわり。いや〜すごいですわ…
待っている間みくりが池温泉へ。入浴料700円、ハンドタオルも格安。狭いが何しろ高度2500mですからね、温泉施設があること自体がすごいですわ。硫黄が強烈。
下山後は大町温泉郷に立ち寄ったが、こっちも700円。う〜む。しかし露天は開放感があって素晴らしい。 飯は信濃大町駅前の「三洛」。出てくるのが早く、盛りも味も良し。いい店見つけた。