■南アルプス/北岳バットレス [雪稜]

2018/12/8-9 橋本、菅原、長田

 

初冬の北岳バットレスを大樺沢経由で登った。壁の状態が良く、非常に楽しい登山となった。


12/8(土) 夜叉神峠~白根御池小屋~偵察~白根御池小屋

 

夜叉神峠で前泊。夜中に結構車が増える。我々だけだと思っていたので意外であった。

暗いうちに出発して白根御池小屋まで登る。白根御池小屋は、冬季小屋が解放されており、毛布もあり快適。

 

広河原

 

偵察に出かける

 

明日に 備えて、偵察に向かう。C沢の出合まで登り、バットレスを見上げるが、ピラミッドフェース、下部フランケ、4尾根には雪が無い。

下部フランケを登りたかったので、若干残念であったが、Dガリーを登ることに決めた。

小屋に戻って宴会。出るは出るはのおつまみ、山のような食料。たらふく食べて、暗くなる前に就寝。

小屋の中は暖かく、冬用のシュラフだと熱いぐらいだった。


12/9(日) 3:00白根御池小屋~6:00登攀開始~16:00山頂~21:00夜叉神峠

 

3時に白根御池小屋を出る。霧の予報であったが晴れであった。

前日のトレースを登り返し、前日偵察したC沢とD沢の中間の尾根を登る。

どん詰まりまで登るが、暗い中、見上げる岩壁に は雪が無く、どうもDガリーに見えない。

左を見るとDガリー大滝があった。どうも登る沢を間違えたようで、B沢とC沢の中間尾根を登ってきたようだ。

容易な雪の斜面をトラバースして、Dガリー大滝の下、取付きに達した。

取付きで気温マイナス17度無風。晴天が3日続き、完璧なドライコンディションであった。

 

1ピッチ目:夏の取付きより下からロープをつける。5尾根の枝稜に向かうバンドを左にトラバースする。ピンは1本も取れなった。立木でビレー、Ⅱ、45m。

2ピッチ目:第五尾根に上がり、緩傾斜帯まで。立木でビレー、Ⅲ、50m。途中、アイゼンが外れたり、アックスの流れ止めの上からロープをクリップして身動き取れなくなったり、ミスが続く。

3ピッチ目:狭いルンゼを登る。ルンゼ右の残置支点でビレー、Ⅱ、45m。

4ピッチ目:スラブ状ルンゼをだましだまし登る。狭いルンゼ内でカム、アングルピトンでビレー、Ⅲ、50m。

5ピッチ目:ルンゼ、ビレーポイント直前が結構ランアウトして怖い。残置支点でビレー、Ⅲ、40m。

6ピッチ目:再び狭くなったルンゼを登る。残置支点でビレー、Ⅲ、50m。


上部フランケは雪あるかもと期待していたが、見上げると全く雪が無く、このままDガリーを登ることにした。

 

7ピッチ目:Dガリー奥壁の取付きまで。立木でビレー、Ⅱ、50m。

8ピッチ目:一応の核心。Dガリー奥壁の左手のガリーを登る、シュバルツカンテよりの残置支点でビレー、Ⅲ+、40m。

9ピッチ目:Dガリー奥壁と第四尾根の間のガリーを登る。立 木でビレー、Ⅱ、50m。

10ピッチ目:Dガリーを枯れ木テラス(今は無い)まで登り(25m)、第四尾根に合流。高度感のあるリッジをトラバースする。夏のビレーポイントは雪の下、カムでビレー、Ⅲ、50m。

11ピッチ目:城塞ハングのチムニーを登る。夏と打って変わって非常に難しい。チムニーが終わると雪壁になり終了点のテラスに出る。Ⅳ+、50m。

 

ここで、アクシデントが発生。いくら待っても2人が登ってこない。声も届かないため、何が起こっているか判らず不安になる。

20分くらい待って、ようやくロープを手繰れるようになった。後で聞いたところ、確保機の環付きカラビナが開かなくなってしまい、アンザイレンを解いて、結びなおしたとのこと。

 

終了点からは、15分くらいで山頂。稜線に出ると風速10m/s程度。草滑り経由で足早に山頂を後にした。


[参考ギア]

・ピトン2本(ノーマル、アングル)、ナッツ、カム(スモールサイズを多数使った)、ボールナッツ(複数回利用)

・アックス×2本、アイゼン

50mダブルロープ(60mの方が良いと思う)


取付きのシンさん

 

取付きのスガヤン

 

取付きのハッシー

 

緩傾斜帯

 

4ピッチ目(?)あたり

 

上部フランケ雪ない

 

 

8ピッチ目 Dガリー奥壁の左を抜ける

 

8ピッチ目 上から

 

10ピッチ目トラバースのシンさん

 

同じくスガヤン

 

サミット~!


 

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