2018/7/21-22(1泊2日) 橋本、篠崎
広河原まで自家用車で入れなくなった今、バットレスを登攀する標準タイムは、御池小屋ベースで3日となっている。
バットレスを2日で登攀するには、少し戦略を練る必要がある。
今回我々は全装備を担ぎ、4尾根終了点でビバークする形式を採用し、2日間で登った。
2018/7/21
朝東京を出発して、広河原に入り。
広河原からは、大樺沢を登るのが通常であるが、前週の大雨で橋が流されており、通行禁止の看板があるので御池小屋のコースを登った。
大樺沢の雪渓で、2日分の水を汲み進むが、Cガリーの沢にも水が流れており、こちらで汲めばよかったと後悔した。
下部岩壁は、第5尾根の枝稜を選択。枝稜から、Dガリーに入る。
Dガリーは、慣れた 人ならロープ不要と思うが(Ⅱ級程度)、我々は、すべてロープを出して登攀した。
だいたい30m毎にビレーポイントがある。上部フランケは、顕著な凹角になっており、晴れていれば迷うことはないと思う。
Dガリーを離れて、上部フランケ取りつきまでの傾斜が緩い草付きスラブが結構悪く、ハーケンを打って登攀した。
上部フランケ1ピッチ目が本日の核心であるが、ガバガバの凹角を気持ちよく登ることができる(Ⅳ+くらい)。
2ピッチ目も凹角を行くが、結構草が茂っており、草を掴んでいけば、全く優しい。
篠崎さんは、草を避けて頑張って岩登りをしており、「やるな~」と思った。
旧版の「日本の岩場」には、3ピッチあると記載されているが、4尾根 合流点(マッチ箱の懸垂点)まで2ピッチしかなかった。
合流後は、4尾根のノーマルルートを登った。初日は、合計14Pロープを出したと思う。
上部フランケ2P目
第四尾根の終了点は、いい感じの広場になっており、テントのフライシートを張ってビバークする。
ここまで担ぎ上げた、食材と酒で、夕ご飯。伊藤さんからもらったα米が美味かった。
夕日を見ながらのビバークは、山に来て本当に良かったと思える至福の時間であった。
ビバークサイト
2018/7/22
北岳バットレス中央稜
翌日22日は、中央稜を登った。松濤明が初登した日本の名クラシックだ。
第四尾根終了点のCガリー側の這松に、懸垂用のスリングがあり、ここから、45m程度で中央稜の旧1ピッチ目の終了点に着く。
途中、ルンゼが走っており、これを跨いで下降する必要がある
。
中央稜1ピッチ目
1ピッチ目は、リンネを登り、途中からトラバース。ルート図よりも下のバンドをトラバースした。優しいが、剥離しやすいホールドが多く、緊張する。
2ピッチ目は、ハング越えの核心。ハング自体は、ガバガバで優しいが(Ⅳ+くらい)、その上が若干迷いやすい。変な箇所に残置ピトンもあるので、惑わされないようにラインを読む必要がある。
中央稜(マッチ箱にクライマーが見える)
ここから先は、優しいリッジを2ピッチ登れば、這松地帯に入り登攀終了。
登攀終了点のすぐ上が頂上であった。写真を取り、足早に山頂を後にした。
中央稜は、名クラシックといった感じで、もっと多くの登攀者を迎えてもよいと思った。
【留意点】
・全体を通して、カム類使える箇所が意外と少ない。特に中央稜。一方でハーケンは有効であった(2本使用し、すべて回収)。
・一人水4リットル担いで登ったが、ギリギリぐらいであった。夏で日差しが厳しい場合は、バットレス下部でビバークした方が良いかもしれない。