穂高岳周辺/錫杖岳前衛壁/「ラ・カンパネラ」

期間:2023年9月17日、24日、10月7-8日
山域:穂高岳周辺/錫杖岳前衛壁/「ラ・カンパネラ」
メンバー:マッシー、伊佐見(記)
形態:マルチピッチクライミング

 

9/17(日) 暑い日

初トライ。
前日Little wingから下降の際に偵察しておいた。
1-2ピッチは1ルンゼ左を辿る。3ピッチ目は途中まで深夜特急11aを登り、立木から左へクライムダウン気味にトラバース。さらに上部のコーナークラックを登る 必要があるがロープが屈曲しすぎて出てこなくなるので、コーナー基部で一旦ピッチを切る。4ピッチ目としてこのコーナークラックを登り、核心の13bピッチ取り付 きへ。
ほぼボルトルートだが部分的にカムが必要で、カムサイズを確認しながらムーブも確かめてトップアウト。
トップロープでお互い登りあってこの日は終了。
核心は中間部トラバースだろうか、という感触を持った。



 ルート概要



焚火もした
 

9/24(日) 晴れ

9/23土曜日は予想外の雨が降りトライできず。日曜日に各々2トライ。
前回同様1-2ピッチ登り、今回は3ピッチ目途中の立木から核心ピッチ取り付きにつながる残置フィックスロープを利用してアプローチ。
この白壁は東向きのため、朝一は暑く、1便目(通算3便目)は思うように登れなかった。
別パーティに一旦譲り、深夜特急のテラスへ移動して休憩したのち、もう一度トライ。
思っていたより随分上まで登れ、終盤のマントリングに差し掛かったが、ホールドを1つ見逃したためにマントルを返しきれず空中に投げ出されてしまった。
惜しかったのでもう一度トライしたかったが、下山にも時間がかかるのでこれで終了。
今シーズン、忘れる前にもう1回来られればいいかなという気持ちだった。

 

10/7(土) 寒い寒い日
3連休にまた錫杖岳へ。10/6に親知らずを抜歯したため中一日空けて10/8-9にトライ予定だったけど、最初の10/7-8しか晴れないという天気予報により 前倒しで入山。
平日に結構雨(雪?)が降ったようで1ピッチ目は水が流れていた。
背面の穂高は冠雪していて素晴らしい景色。
前回通りフィックスロープを利用してアプローチして通算5便目のトライ。
ものすごく寒い。クライミングシューズに入れた足先の感覚が無く、件のマントリングの最中に右足がスリップして落下。嫌なイメージが付き始める。
マッシーのトライ後、今回も別パーティに一旦譲り、深夜特急のテラスで休憩したのち、通算6便目のトライ。
午後になり気温は上がってきたが、太陽が出ずに岩肌が冷えたままだったせいか若干結露しているようなヌルっとした手触り。そのせいかなのか、最初のトライで疲れて いたのか、今まで以上に前腕がパンプした状態でマントリングに差し掛かってしまった。嫌なイメージが頭をよぎるが、かき消すように気合を吐き出して乗り越え、 RP。
マッシーも同じく気合のトライであったが、落ちてしまった。

 

10/8(日) 曇って寒い日
朝のふもとの気温は8度。
乾いた澄んだ空気、なんとなく良い雰囲気を感じた。
二俣のテン場で北大山岳部OBがたまたま数名揃い、談笑。みんな若くて、勢いがあって、ストイックながらも楽しげで良い雰囲気。
今日はマッシーが核心ピッチをトライするため、その他の負担が大きいところは私が担当することにする。
1-2ピッチはマッシー空身でリード。3ピッチ目は私のリードで初日とは異なるカンパネラオリジナルライン(5.11c R)を登ることにする。昨日懸垂しながら確認していた通り、クラックから離れ、左のカチフェースを登る。トラバースのランナウト後にプアプロといった具合で落ちたら結構危 ない感じ。後半のルーフからコーナークラックは初日に経験済みだったけど、結構力を使ってしまった。荷揚げしてマッシーを迎える。
核心ピッチには11時頃に到着したが、まだ寒く湿度も下がりきっておらず、マッシーの気持ちが整っていなかったので待機。結局、1時間もハンギングのまま待ち、ト ライ開始。深夜特急のテラスから北大OBの方が見守る中、最後のマントリングも失敗せず、あっさりRP。パンプしなかったとのこと。私もフリーでフォローできれば いいなと思ったが、荷物があり、マッシーはビレイデバイスを持って行っておらず(期待して持って行かせるとRPできない気がしたので…)、諦めてユマール。引き上 げたロープを振り下ろしてもらい途中から荷揚げしてもらったが、荷揚げの様子から改めて傾斜を感じた。
結局「出し切った」と言うマッシーに代わり、5ピッチ目11bを登る。ラインは不明瞭だが、ビレイ点から右にトラバースし、途切れ途切れのクラックにカムを効めな がらカンテをワシワシ登った。出だしが難しい。オリジナルは後半左のクラックを登ったらしいが、そのまま右のクラックでトップアウト。図らずもチームでノーフォー ル完登。薄々期待していたが、良い結果となって嬉しかった。
上部バンドを回り込んで深夜特急のラインで下降。


ラ・カンパネラ 3P目前半


 
ラ・カンパネラ 3P目後半

 

ラ・カンパネラ 4P目



4P目荷揚げ



4P目ユマーリング




 ラ・カンパネラ 5P目

【感想】
追いかけRPできるマッシーに感心。結果として4日間で2人ともRPできたこと、最終日は落ちずに上まで抜けられたことが何より嬉しかった。
カンパネラは遠方にあり、マルチピッチの途中が核心ピッチで、そのピッチの最後のマントリングが落ちポイントのため、落ちるたびにその全てがパーになったけれど、 悲観的にならず全ての過程を楽しむことができた。ナーバスになりがちな自分がこんなマルチピッチを楽しめたことは意外だった(マッシーに先を越されていたら違った と思うけど)。
今、小川山の地面で休んでトライできる環境はとても快適に感じる反面、なんだか物足りない気もしている。
どこを「一番上」と設定するか次第だけど、歩いて下から取り付いて一番上まで登って下りることは、登山にある充実感を感じてとても幸せだった。
 
【備忘】
・埼玉からだと現地へのアプローチは非常に迷う。関越道か中央道か。どちらも4-5時間くらい
・シーズン中、駐車場は込み合う。駐車しきれないことも
・砂防館のトイレ閉鎖のため使用不可
・幕営適地は少なく、結局駐車場から往復していた。片道1.5hかからないくらい。瑞牆の弁天岩と時間は同じくらい・風呂は荒神の湯を利 用。石鹸は持参が必要だが、脱衣所あり・トイレあり快適。露天だけど冬も利用したい

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