小川山/屋根岩4峰南稜RCC神奈川下部(末端壁)~トリプルダイレクト(+ショートルート)


2024/6/26 ナベ・篤・植田

谷川を検討してたが前日雨で濡れた石英閃緑岩は嫌だねえ、ということで小川山に。アルパインっぽいと噂の4峰南稜RCC神奈川ルートを一番下の末端璧からやることにした。
最初から核心3P目のイレブンははるみクラックでバイパスする計画だったが、結果として最終ピッチのワイドも右のボルトフェース(トリプルダイレクトのオリジナルピッチ)に逃げたので、南稜神奈川の下部(4峰末端璧)+トリプルダイレクトを登ったということになる。
確かに末端璧の1P目は岩が脆く、我々のようにアルパインの練習のつもりならOKだが、フリーのルートとしてはどうだろう、という感じだった。
上部のトリプルダイレクトは、多彩な内容のわりに手ごろでなかなかGOOD。最後をトリプルダイレクトオリジナルではなく南稜神奈川最終ピッチにした場合、相当奮闘的なので、このルートはありがたい。
※トリプルダイレクトは山下ガイドらが開拓したルートで、はるみクラック、南稜神奈川、本ルートオリジナルの3本を繋ぐ。ヨセミテにある「トリプルダイレクト」(こちらも既成ルートを繋げたルート)が由来の模様。

9:00ごろ 屋根岩4峰南稜RCC神奈川ルート取り付き 10:30ごろ「はるみクラック」取り付き(我々の3P目、「トリプルダイレクト」の取り付き)
13:10ごろ4峰「ぱお」エリア(我々の6P目) 13:30ごろ終了点


アプローチドライブの路面は若干濡れていてモチベが下がったが、大日広場のダートは乾いており、モチベ回復。
のんびりアプローチ&準備して登攀開始。なお、セカンドサードがテンションした場合を考慮しトップはシングルを2本引いて、1本はバックロープ。セカンドサードはシングルロープで同時登攀ということにした。

1P目(4峰南稜RCC神奈川ルート1P目を途中から左に外れる) 35m Ⅳ+級(4+級) ナベ
リッジ右側のフェースを、弱点を追って登る。傾斜が強く脆いが、ホールドは大きいのでとにかくチェックを厳重にしながら登る。カムはそこそこ決まる。
下からも見えていたリングボルトから上は岩質が若干マシになる。左上に木が生えていたのでとりあえずそこに向かう。
これが「小川山本」に出ている「リングボルトが2本のビレイ点」かと思ったが、ボルトが見当たらない。
このまま左上すると簡単なルンゼになっておりクライミング的に興味が浅いので右トラバースして岩登りをしたいが(右の小リッジを越えるとフレークで構成されたクラックがある)、右に向かうとザイルが重くなってしまう。
一旦切るか左を登るか迷うが、とりあえず左に行ってみる。やはりリングボルトはなく、さっきの木で切るべきだったようだ。さっきの木よりも細いもののまあまあの木でビレイ。

4峰南稜RCC神奈川ルート1P目取り付き 頭上右上の顕著なピナクルが目印
屋根岩4峰南稜RCC神奈川ルート1P目取り付き

2P目(4峰南稜RCC神奈川ルート2P目のバリエーション?) 20m Ⅲ+級(3+級) 篤
出だしのチョックストーンを左のリッジを使って越え右上したらすぐ末端璧の頂上だった。確かあまり太くない木でビレイ。

(2~3P目の間)
末端璧頂上からは4峰南稜RCC神奈川ルート核心3P目の岩壁が見えた。めっちゃ難しそう(笑)。
クライムダウンして3P目取り付きまで下り、さらに右手に向かってちょっとシビアな段差を下り、「はるみクラック」に取り付きに集結する。

3P目(はるみクラック、トリプルダイレクト1P目) 25m 5.8(ワンテン) 植田
クラックはあまり経験が無くて…と遠慮する植田氏、何のかんのリード。途中でピナクルにスリング巻いてワンテンしてレストしたものの、全然無難に登っていった。
フォローしてみるとほぼジャミングは不要だったが、スリング巻いていたピナクルをはじめとした各ホールドが思いのほかパカパカ言っており、プロテクションも欲しい所で取りにくかったりと、アルパインチックな内容。
ハンガーボルト2本でビレイ。

はるみクラックをリードする植田
はるみクラック

はるみクラックの取り付きは以外と3峰側が切れ落ちておりビレイ中はセルフビレイが欲しいが、探したらこんな都合のいいピナクルがあった。(はるみクラック=トリプルダイレクト1P目取り付きの目印にもなるよ)


4P目(トリプルダイレクト2P目、南稜RCC神奈川の4P目) 40m 5.8 ナベ
出だしのクラックを越え、スラブを右トラバースしてクラックを登り、コーナークラックからミニ石門に抱き着いてリッジを登り大木でビレイ。
スラブのトラバースは1歩だがイワタケだらけなので痺れる。コーナークラックはフレアしている奥にハンドが効くタイプで若干ワイドムーブ的な要素があるため5.8としては難しいが、ロケーション、岩質、プロテクションすべて良好で☆☆。 こういうのをオンサイト出来るようになって嬉しい。

コーナークラックを登るナベ。写真だと傾斜が無いが、登るとそこそこ傾斜があり、内容もある。


5P目(トリプルダイレクト3P目、南稜RCC神奈川の5P目) 40m 5.8 篤
大岩の弱点を縫って登る。小川山本どおり、風化がいやらしいスラブチックな箇所がある。ここもフリーというよりアルパインチックで、弱点を縫うセンスが問われる。一旦頂上的な所に出る。確か太い木でビレイ。

(5~6P目の間)
ビレイ点からは最後の「ぱお」エリアが見え、4峰南稜RCC神奈川ルート最終ピッチのワイドクラックが圧倒的な迫力でブッ立っており、当初はこちらをやろうと思っていたがとてもではないが登れそうではない。
というわけでトリプルダイレクトに転進。簡単なクライムダウンでコルに出る。なぜか小川山本はここをピッチに入れているが、はるみクラックへの下りの方がよっぽど悪いので違和感がある。

6P目(トリプルダイレクト最終ピッチ) 30m 5.9  植田
ボルトが3本打たれたフェースを見事オンサイト。そのまま南稜神奈川の終了点の大木まで10mほど引っ張って若干無理やりビレイ。フォローしてみると、植田氏のムーブを見ていたので楽勝だったが、OSだとグレードなりの苦労があると思う。あと、日が当たっていたら結構苦労するかも(今日は曇りだった)。とにかくこのルートが無ければ最後稜線手前で引き返して画竜点睛を欠いていたわけで、開拓した山下ガイドらに感謝。

オンサイトする植田
トリプルダイレクトオリジナルピッチ


南稜神奈川のワイドクラックも偵察してみるかね…ということで、南稜神奈川の終了点から懸垂して確認してみる。
なんとか50m1本で懸垂できたのでほぼ25m のスケール。オフィズス部分は左壁が色々使えそうで、木から上は左に逃げれそうだが、ワイドの入り口がちょっと被り気味で足が無く、左のフレークからレイバックで入る感じか?
ちょっとこれは無理やね。。。 やるなら5・6番を各2は欲しい(各1個はあったが…)。

屋根岩4峰南稜RCC神奈川ルート最終ピッチのワイド全景。核心はおそらく下部か?
屋根岩4峰南稜RCC神奈川ルート最終ピッチのワイド

ということで終了。岩壁基部をちょっと5峰方面に下った小広場で靴を履き替えて、そのまま5峰方面に踏み跡をトラバースしていくと(途中FIXあり)、大きなルンゼに出た。
これが4・5峰間ルンゼだろうか?
適当に降りていくと4峰南面のノイズイノ(5.10b)の脇に出た(ひょっとしたらふんころがし、サラダ虫を見落としたのかもしれない)。 これは☆4つなのでやろうと思っていた。各自1便ずつ出す。みんなテンション。次やればRPできそうだが立ちこみの気合核心なので気合が足りなくなってしまった。
次回来るときは、トキオ83に継続するつもりでやってみるか。
このあと「ロスト・ワン」エリアに移動し、タジヤンハング左(5.10c)と寒天(5.9)に取り付く。タジヤンハングはそれぞれ数テンション。寒天は全員OSまたはフラッシングまたはノーテンで登ったが、ちょっと初登者に意図しないムーブを見つけてしまったらしく、植田・篤両氏はとても簡単に登っていた。 (ナベはおそらく初登者想定通りのムーブで登り、かなりパンプした)
このロスト・ワン、川の横の側壁という感じで、朝から行くほどのエリアではないが、屋根岩方面マルチの帰りにはちょっと寄り道すれば「おかわり」できるので、グレードの低さも相まって、我々のような本チャン系山屋にとっては大変有用性が高いエリアだと思う。開拓した北山夫妻に感謝。

ロスト・ワンのタジヤンハング左(10c)。
ロスト・ワンのタジヤンハング左

ロスト・ワンの寒天(5.9)
ロスト・ワンの寒天

使用プロテクション
キャメロットC4 0.3~4番相当 2セット(4番・3番は1個ずつか、どっちかだけ2個でもいいかも)
ナッツは1回使ったがなくてもいい
最終ピッチ以外ほぼカムで登れるので、そういう練習にいいルート。

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