甲斐駒ヶ岳尾白川下部ゴルジュと黄蓮谷右俣
期間:2025/9/21-23
メンバー:近堂、重富、鈴木(記)、上荒磯
利根川本谷の計画がダムの渇水で渡船が出ないとなり、紆余曲折あって黄蓮谷右俣となった。
3日あるので、ならばと尾白川ゴルジュを加えることにしたが、ゴルジュ全部をやると今度は3日では足らないので、ゴルジュは下部のみとした。
しかし、尾白川から黄蓮谷を繋いで甲斐駒ヶ岳頂上に谷のラインからのみで登るのは美しいラインであり、たまたま出た案ながら良いものだと思う。
そうして始まった初日、下部ゴルジュは前日までの雨で水量多めながらもサクサクと進み、このままではお昼には終わってしまいそうなペースだったこともあって積極的に滝に挑むことに。
結果、大西良治さんの「渓谷登攀」では巻きになっている百合ヶ渕の滝と神蛇ノ滝(奥の7m滝を除く)を登ることが出来た。

百合ヶ渕
右側の苔むしたスラブをトラバースし、滝の横のクラックを使う。鈴木が釜に2度落ちるも3度目に成功。
近堂さんが滝の上から釜へと飛び込んで2度登ったのには驚きました。

神蛇の滝 中段の8m滝
滝の裏を潜って右側に出て横のもろいルンゼを鈴木がリード。続くバンドからスラブを重富さんがリードで完登。

大西さんの「渓谷登攀」
今回登った百合ヶ渕も神蛇ノ滝も巻いている。下山後調べると百合ヶ渕と神蛇ノ滝中段8mは巻いたが奥の7m滝を登攀しているパーティーの記録あり。奥の7m滝は我々も探ったが大きめのカムが必要で次回持ち越しとしていた。
なお、ゴルジュの中にエンジンの残骸を発見した。液冷エンジンのよう。日本軍の液冷エンジン搭載機で可能性があるのは陸軍三式戦闘機「飛燕」と海軍艦上爆撃機「彗星」(空冷エンジン換装の型以前)だが両機種ともこの辺には展開していない。米軍機では硫黄島から来たP51が山梨の奥秩父側で山間部を機銃掃射した記録があったので調べてみます。でも、林道工事用の何かかも。
下部ゴルジュ遡行を終えて林道に上がり、錦滝前の東屋で快適な一夜を過ごす。打ち捨てられた道路用立て看板の骨組みを焚き火用三脚に転用したところとても便利だった。
2日目は林道終点まで進んで黄蓮谷に入渓。花崗岩が輝いて綺麗だが歩き沢な感じが続くのでスタスタと進む。
気温が低く、お昼過ぎに2000mを超えると吐息が白くなる程であり、全員ネオプレンの上着で正解であった。

リードするハルカさん
寒い中、叫びながら流水を浴びつつ高度を稼いでいくと、幕営予定地の奥ノ千丈滝には午後2時に到着。当初は前進も考えたが、寒いのでそのまま焚き火大会となり、火に当たり続けながら寝たりもした。
3日目は寒さから出発を午前7時半と遅めにする。谷の水は結構早く枯れ早々に水を汲む。
午前10時過ぎに甲斐駒ヶ岳に登頂。9割は北沢峠からだが、大勢の登山客で賑わっていた。

ハルカさんにかしずく重富さん
前後の説明は省きますが、こんな雰囲気で終始楽しく過ごしました。
黒戸尾根の下降では先行した鈴木が途中からトレイルランナーと一緒に走る形になり、2時間45分で下山。無論、ランニング装備の彼らに対してこちらは泊まり沢装備に上下ネオプレンだったが、鈴木が2分程早くゴール。いいダイエットでした。
総括として、山ヤとしてはいつか尾白川ゴルジュを出来るだけ滝を登攀しながら下部上部両方を登り、そのまま黄蓮谷から頂上へと抜けることをやりたいものです。大きな甲斐駒ヶ岳を完全に谷筋からだけで登るのは美しいラインが引けそうであり、今回はその可能性を見出せた山行となりました。
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