道具魂 Vol.3 土方ヤッケ
<治田氏、土方ヤッケについて大いに語る>
<土方ヤッケとは…>
土方ヤッケというが、別名500円ヤッケともいい、さらにイカヤッケともいう。
土方ヤッケとは、当然まち場や山奥でも作業中のオッちゃんが着ているから言うのであり、500円とはその安さから、それを表現したものであり、またイカとはプルオーバー型のそれを床で広げて見ると、フード部分の雰囲気がスルメに似ているから言うものである。
<ワイとヤマトと土方ヤッケ>
このヤッケは大昔のハイキング時代から長年愛用していたが、なぜが会員には浸透しなかった。強く宣伝せずにほどほどに「良いもんだ」ぐらいな言を発していたワイにも原因があるが、こんな良い物をなぜ?みんなは使わないのか不思議でいたものだった。
大きな転換は、寺本三代目代表がワイの言葉を信じて使用したらお気に入りとなり、大宣伝してくれた。いわく「500円ヤッケ着ねえ奴は山登じゃねえ」ぐらいな勢いがあったものだ。氏は大渓谷の冷水に、このヤッケを2枚重ねで着てニコニコしながら行動していたものだ。記憶では佐藤現代表も昔からの愛用者の一人者であって、当時の爆腕小浜会員や入会した高橋元代表も続々愛用し絶賛?されはじめて今に至るわけだ。
<土方ヤッケの長所>
さて、そのアイテムとしての性能をさまざまな角度から分析をしてみる。
@軽く小さい
…山で着るヤッケとして再軽量と思もえる。また、たためば手の平サイズで収納にも困らない・薄くて丈夫、速乾…ペラペラで薄い割には、岩のこすれやヤブに案外強い。雨や沢で浸かって濡れても乾きが速い。前面チャック型でなくプルオーバー型なのでチャックの壊れがなく長持ち。
A風と水からの保温
…驚くなかれこんなものでも寒風や冷水から体を保温してくれる。もちろんゴツイ専門のウエアーにはかなわないが、ペラペラで極薄な割りに期待以上の守りを演出してくれる。
B安い
…物によっては500円以下で入手でき、万一破れても、買い替えができ経済的に非常にありがたい。
さまざまな角度とは言ったが、こんな程度のものか?つまり簡単にいうと使わない奴は馬鹿じゃないかと思えるほど山で重宝する重要アイテムに位置づけられる品物だ。
<土方ヤッケの短所>
弱点を一つだけあげよう。それはまったくもって色とカッコから超ダサい、ということ。
地味な色が多いし、着ているだけでカッコ悪い?体にフィットした洗練されたデザインが流行る中、ヤッケはあまりにオッちゃんすぎる品物だ。特に女性陣には実質的にいくら良いといっても、着こなすには相当の気合と覚悟が必要?だろう。これだけはワイの言葉で補いカバーすることはできない
(編注:金物屋ではまず間違いなく紺色しか売っていない。ワークマンでは赤やオレンジ、迷彩カラーも売っているが、それがオシャレかと言われれば…)。
<土方ヤッケの下>
さらにみんなには大声で言ってはいないが、推したいものがある。それはヤッケの下だ。つまりパンツ。これも実に優れものだ。行動着でもいいが、着替え用やビバークにも使用範囲は多方面だ。
ただ条件がある。必ずチャック付きのものを購入してね、ということ。山ではハーネスをつけることがほとんどなので装着しても用足しに便利な面からそれを勧める。
<購入にあたり…>
上記を読み購入したい人は、山道具屋に行ってはいけない。少しカッコよくて似ているものがあるが、大体10倍以上の単価で売っている。ワイが言うそれは作業服屋や金物屋に売っている。ワークマンやカインズなどそんなところでも入手できる。どうぞご試着を。
―――END―――
<編集より>
編集部としても、土方ヤッケは素晴らしいと思う(だから今回テーマに取り上げたのだが)。
ちなみにかの故・新井裕紀氏もR&S31号にて土方ヤッケを評価している。決して山登魂のみがむやみやたらに評価しているわけではない(笑)。
しかし土方ヤッケにもいくつか弱点があり、まずは「使ってると速攻で撥水性がなくなる」という点がある。まあ沢では最初から土方ヤッケの撥水性など期待していないのでこれはどうでもいいが、無雪期縦走や冬シーズンの山で使う場合には、新品やそれに準じたものを使うべきでと思われる。
また、沢で使うと泳ぎ終わった時に胸ポケット(通称ドラポケ)と肘に水がたまってうざい。ナベは、ライターで軽く炙るなどして水抜き穴を作って対応している。500円なので全く心が痛まない。お試しあれ。
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