■北アルプス/穂高岳/梓川中又白谷~前穂高岳東壁「都立大ルート」[登攀]

【場所】北アルプス/穂高岳/梓川中又白谷~前穂高岳東壁「都立大ルート」

【メンバー】丸山、伊佐見(記録)


8/11 晴れ

沢渡→上高地→徳沢

 

前夜集合ができなかったため、当日朝発。

もともと徳沢までの予定だったので、計画が変わらなくてよかったが、お盆初日の渋滞はひどかった。

沢渡の駐車場も列に並んでなんとか駐車できた。

着いた頃には、徳沢キャンプ場はテントでいっぱいだった。


8/12 晴れのち小雨

徳沢5:00→中又白谷F1 7:30→奥又白池12:00

 

新村橋建て替え工事中のため橋が撤去されていたので、一つ下流側の仮設橋から梓川を渡渉。新村橋対岸の白い石の押出しから中又白谷の遡行を開始。1時間も経たないうちにF1出合となる。暑かった。

伊佐見は昨日から体調が思わしくなく、丸山君にリードしてもらう。中間バンドから直上が難しかったようで、右から巻いて元いた場所の上に出てさらに直上。2P目は伊佐見が落ち口までトラバース。

 

F1の1P目

 

2P目

 

F1は水が流れていたので、てっきり中又白谷にも水流があるものと思い込み、持参した水も捨ててしまったが、F1の水流は支沢からのもので本流は水が枯れてしまっていた。

F2を過ぎ、F3はそれぞれ空身でボルダー突破。F4をいつの間にか越え、ルンゼをまっすぐ登っていくと沢が尾根に消えてしまった。左の小さな沢が本流だったのかなと探ったが、さらに左手前の右岸の壁が本流だった。これも水流がなかったから分からなかったのかも。この右岸の壁がF5とのこと。

F5から先は最後のF8黒滝まで見通せる。思ってたより序盤に滝が連続していて、「コレで終わっちゃうのか」とやや残念な気持ちになる。F6は気をつけてロープなしでそれぞれ登り、F7はロープを結んで右岸草付きから登った。F8黒滝は丸ちゃんに譲ってもらい、左岸から中央を登った。摂理が乏しく残置は上部にしか残ってないので、自ずとランナウトすることになる。ハーケン1、カム#0.3使用。

 

F7

 

F8

 

F8を超えるとあとは緩傾斜帯を登るだけ。距離的にはまだ半分も来ていなかったので、結構歩いた。最後の最後まで水流はなく、喉が渇いて我慢できず虫が浮いている水を何度か飲んだが、動物園臭いものもあり、満足するほど飲むことができなかった。

 

中又白谷源頭にはチョロチョロと冷たい水が流れており、水分補給で生き返る。奥又白池は目と鼻の先。他に4張ほどテントがあり、クライマーで賑わっていた。


8/13 晴れのち雨

奥又白池5:00→前穂高岳東壁Dフェース基部7:00→前穂高岳11:30→奥又白池13:30

 

奥又尾根の遭難碑上のケルンからC沢に向かって斜面を下りる。小規模な雪渓がありアイゼンを装着したが、この時期軽アイゼンで十分な程度だった。

C沢出合では勢い余って、C沢右のルンゼを登ってしまう。4峰正面壁基部へ出てしまいそうだったので、途中でトラバースしてC沢へ復帰。堰堤状の岩場を右から越え、3・4のコルから伸びてきているルンゼに出合ったら、そこからもう一段尾根を越えてB沢へ。B沢を詰めた先が東壁Dフェース。

 

B沢にて堤状の岩とDフェース(赤白い崩壊地があるフェース)

 

Dフェース都立大ルート】

1P目 Ⅳ(伊) ハンガーボルトのある取り付きから右上ぎみにクライミング。浮石多め。ハーケンは最後の一本がグラついている。終了点直下でキャメ0.75を使用。スラブ下のアンカーへ。

 

都立大1P目

 

2P目 5.10+(伊)草付クラックに沿ってスラブを直上。出だしはスラブに散らばったカチを拾っていき、段々とクラックにホールドを求めることになる。草むしり、ホールドの掘り出し、泥々で滑るスタンスに難儀した。ガイドブックにあるⅥ+とはこんなものなのかもしれないが、5.11くらいの気構えは必要と思う。草付きクラックの真上のアンカーへ。

 

都立大2P目

 

3P目Ⅳ(丸) ハング下を右のアンカーまでトラバース。出だしが核心。キャメ0.75から1当りが効くが岩は動くものが多かった。

 

都立大3P目

 

4P目 5.10b(丸) 小ハングから最後の大きなハングを越えていく。小ハングが核心か。丸山くんはドローを掴んでしまった。

最後のハングは大きいが岩も安定していて思い切って登れる。この壁は上部ほど岩が安定しているように感じた。

 

都立大4P目

 

前穂高岳山頂を踏み、A沢経由で奥又白池へ。A沢はこの時期雪渓が残っておらず、ひどいガレ場だった。

 

A沢(丸山くん下降中)


8/14 曇り

奥又白池6:00→上高地9:40

 

15日以降台風の影響で天気が悪いという理由で槍ヶ岳は諦めて下山。

そもそも自分の体調が戻らなかったことが大きいのだが…。

下山路はブッシュの生えたガレ場で、ゴロゴロしていて苦労した。バランスを崩したタイミングで手をついたら掌が切れて流血。無理せずゆっくり下ることにした。

新村橋で電波が入ったが、下界で色々起きており、ゆっくりする間もなく上高地からバスで沢渡へ戻った。


【備忘】

・中又白谷は日帰り可能。入山時間次第かも。

・お盆の沢渡駐車場は非常に混雑していてなかなか駐められなかった。

A沢の雪渓を期待する場合は7月上旬から中旬までが良いらしい。

 

【感想】

山行中体調戻らず、力を出しきれませんでしたが、それでもアルパインルートにフリークライミングで対峙し、残置にエイドではなく岩そのものに集中できたことは、山という環境も相まって無上の喜びでした。やっぱり山のクライミングがいいな〜


 

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