幽ノ沢滝沢

2017/8/27 (日) 曇り
高橋・鈴木

21時水上のセブンイレブンに入るとヒデさんがレジで精算中だった。すぐそこの道の駅で泊まることにする。土合といわずともせめて湯檜曽までは行かないと気分が出ないところだがトイレと車中泊に快適な平らな路面があるということでまあいいか。4時起きから逆算して23時にはお開きにしたかったがヒデさんが”(そんな早くに終わるって)うそでしょ!”とでかい声で真剣に驚くものだから”マジ!”とも言えずアラームを5時にセットしなおして落ち着いて飲む。風が肌寒い。

翌朝一台でロープウェイPまで移動。ヒデさん、ここをヘッデン点けないで出発できてる時点で終わってますよ!

8月末というのに一ノ倉沢は出合すぐのところから雪渓。雪が多かったのか、雨が少なかったのか。幽ノ沢も不安になってきた。が、出合から眺めた限りでは無くて一安心。そういえば空のほうが心配だ。天気予報から焼かれるほどの日差しを怖れていたのだが、曇り空の下、大滝は白い一筋となって懸崖を静かに滑り落ちている。

沢沿いに遡行し二股。左股の出合のナメ滝は高橋は右から巻き気味に。秀さんはウゥェオゲッと吐きながら。胸焼けが大変そうですね。5年前に秋の中央ルンぜを登ったときは、すぐに右岸の踏み跡をたどった記憶なので、今回はカールボーデンまで遡行してみたかったのだが、ゴム底の沢靴は案外に滑り、小さな巻きが何回か入って面倒なので右岸に突入。踏み跡が見つからず沢の高巻き状態から延々とトラバース。敗退かと思いながらも歩を進め、やっと藪が開けたところは中央ルンゼの取り付きのあたりで、5年前はクライムダウンしたのか懸垂したのか覚えてないが、とにかくその下流は最近崩壊したと思われる雪渓が崩れて谷を埋めていた。出合から見えなかった部分だ。そのままニラとイタドリを掴みながらトラバースしていくと岬状のところからカールボーデンの上部に歩いて降りていけた。時計を見たら思ってたより時間が経っていなくてまだ8時過ぎ。これならいけそうだとクライミングシューズに履き替えて快適なスラブを傾斜が立ってくるところまで上がって、腐りかけのリングボルト2本あったのでロープを結ぶ。

1P(高) 45m V

お願いします!とスタートしたものの出だしのちょっとした高さの垂壁帯のどこを越えるかでうろうろ。どこも登れそうだがどこも滑りそうで踏ん切りがつかない。ガスが下りてきて視界が怪しくなってきたのでこれ以上時間をかけるわけにもいかなくなって、滝身に近い方の濡れたガチャガチャしてるところに決めて、エイヤッで3mくらいで越えればあとは快適なスラブ。ロープ伸びきったところでピン2本打ってビレイ。リスが細すぎて浅打ち。

2P(秀) 40m V+

上方にハング帯が見えるが左右どっちを越えるか悩んだ。簡単なのは明らかに左だろうが越えた後に滝のほうに戻ってくるのが大変そう。というわけで右端の凹角に向かう。一番岩登りっぽいピッチだった。ビレイポイントは残置1本にピン1本追加。

3P(高) 45m W

ますます濃くなってきたガスの合間に滝の水流が右手に見えているので、このまま登ればいいはず。傾斜が立ってきてるので残置がありそうなもんだが相変わらず皆無。どうなってんだか。慎重に少し登ると青エイリアンがバッチリ決まったのでそれを心の支えにして登っていくとスラブになったところでリングボルト発見!。そこから右に出て草付きに挟まれた地帯を左手細柴、右手濡れた岩、足時々草付きで根気よく登る。終わってみれば確かにW級を越えることはないのだろうが、足が滑ったり、柴が折れそうで緊張する。あとわずかで傾斜が落ちるというところでロープいっぱいになり無念ながら左の草付きに乗り移り、小指太さの柴2本と利きがいまいちのピンを打ってビレイ。セカンドビレイとは言え、勢いよく落ちたらビレイ崩壊しそうで怪しい。

4P(秀) 45m V-

狭いステップでビレイヤーと体を入れ替え一段登ると、ヒデさんから”ここからは平和です!”のお言葉が。滝沿いに快適に登り落ち口で水流を左岸に渡りロープ伸びきったところで終了。

すぐ先にも滝が見えているが、右壁を楽に登っていけそうなのでロープを畳み、沢靴に履き替える。

一ノ倉岳に続く奥壁ルンゼは概念図を見る限り幽ノ沢本流本筋と言え、大滝を越えたらここをたどっていきたかったのだが、沢筋は水流がある本谷が断然立派。一方、奥壁ルンぜは判然としなく、且つガスってて上部が伺えないこともあり、且つ出だしのスラブが大変そうに見えたこともあり、且つもう早く終わらせてしまいたい気分になってたので、本谷をたどり上部で左股に入る。抜けたのは堅炭尾根1,800mあたりか。一ノ倉岳は遠くない雰囲気があったが高橋は充分へばっているので迷わず下方へ針路をとる。心配した芝倉沢は雪がなくて助かった。ここで高田さんがクレパスに落ちたことがあつたので。

記録によると2年前の佐藤・ナベ隊は曇り時々雪、前日雨。 雪ってなんだよ! そんな条件下で絶対行きたくありません。よく戻ってこれたことよ。核心と言われたチムニーはどこにもなかったぞ。

好きだな、谷川。夏の間に登れてよかった。

ロープウェイP 0530 - 幽ノ沢出合 0630 - 左股カールボーデン 0800 - 堅炭尾根1800m 14:00 - ロープウェイP 1630

メモ

記) 高橋