2020/06/07 武井
十字峡から中ノ岳へ登る途中、一合目あたりで左手を望むと、山の中腹から大量の水が噴出しているのが見える。
こちらは自然の滝ではなく鉱山の排水口で、すぐ近くギリギリ稜線の陰で見えない位置に、かつて鉱石運搬の列車が行き交った巨大な鉄橋があるらしい。
産業遺産探訪として、現地調査へ向かった。
十字峡からすぐに黒又沢へ。藪道を10分ほど進むと、砂防ダムのバックウォーター。
広々とした河原歩きを開始。まもなく、明らかな人工の採掘跡あり。鉱山の試掘跡だろうか。
土砂が流れ込んで埋まっており、立ち入りは遠慮した。
次の砂防ダムは、右手から乗り越えた。「建」の字が潰れた建設省標識が目印。
両岸とも切り立った岩壁。渡渉はだいたい膝くらい、時折腰まで浸かりながら遡行した。
正面に、登山道の一合目から望んだ、山の中腹から噴き出る滝が見えて来た。
左岸の中腹には、鉱山道と思われる痕跡が見えた。
同様の鉱山道跡である佐梨川・金山沢鉱山道や早出川ダム湖岸歩道を思い出す、資材や鉱石を担いで歩くなど考えたくもない、危なっかしい道だった。
途中のゴルジュは右岸を高巻きして通過。帰路は流れに任せて下った。
左岸の鉱山道沿いには、また鉱口らしき穴が見えた。
適当なところで対岸へ渡り、鉱山道まで攀じ登った。
更に進むと、また別の鉱口があった。結構深そう。水が深く溜まっており、立ち入りはやはり遠慮した。
例の崖の真ん中から噴出する滝が正面に見える位置まで進むと、ようやく赤い鉱山鉄橋跡が見えた。
鉱山道の足元は狭くて滑りやすく、高度感も凄い。危険度が高いので、しっかり確保しながら歩を進めた。
対岸にも、同様の鉱山道が見えた。こちらと同様、あるいはそれ以上に危険と思われたので、わざわざ行く気にはならなかった。
鉄橋のそばには、鉱山からの排水口あり。大量の水が鉄橋下のゴルジュへ流れ出ていた。
鉱山トンネルはコンクリートで厳重に封鎖されており、立ち入りは不可。
通気口にカメラを突っ込んで撮影したが、奥深くまでは見えず。採掘現場までは、まだ相当な距離が有りそう。
地底の鉱山は、日向山の下辺りに有ったのだろうか。
同様に鉄橋も、鋼材と錆びついた有刺鉄線で厳重に封鎖されていた。
予想以上に大規模な遺構だが、トンネルの向こう側の出口は何処か、まだそちらにも遺構や痕跡は残っているのか、何を採掘していたのか、いつ廃坑になったのか、全然情報が無い。
上流側の鉱山道へ進んでから沢へ戻ろうとしたが、只でさえ狭い崖っぷちの踏み跡が怪しくなり、身の危険を感じたため、50mザイルで懸垂下降してゴルジュへ降り立った。
鉄橋真下のゴルジュは、鉱山からの排水が大量に降り注いでおり、ずぶ濡れになって通過した。
最後にもう一度、鉱山鉄橋を振り返って、ゴルジュを下降。まだ泳ぎには冷たかった。
往路では気がつかなかったが、右岸にも鉱山道跡があった。試しに攀じ登って歩いてみたが、やはり足元が悪くて、早く沢へ戻りたくなった。
対岸を見ると、さらに高い位置に鉱山道跡らしき線が見えた。あまりにも危険そうで、攀じ登って確認する気にはならなかった。
往復と見学、約4時間の行程で十字峡へ戻った。