2020年6月12日 ナベ、イサミ
天気:小雨
時々大雨
6:50海沢園地駐車スペース→7:05入渓点(天地沢出合付近)→7:50堰堤(林道に上がる)→8:05三つ釜の滝下→8:35ネジレ滝下→9:10ネジレ滝上→9:30大滝下→10:00ごろ大滝上→10:35枠木滝下→11:15枠木滝上 →12:10奥の大滝下(連瀑帯)→12:40ごろ奥の大滝連瀑帯上→13:05大岳山→14:15海沢園地駐車スペース
「アメリカ村キャンプ場」を脇目に見ながら林道を突っ走り、海沢園地手前の路肩に駐車。
10分ほど林道を下り、「水利へ G-2」の看板のあるところ(天地沢出合付近、天地沢は鋸山東面・天地山南面の水を集めて落ちてくる沢)から、踏み跡を辿ると、立派な木製の梯子。これを下って沢に降り立つ。そして入渓して10秒くらいで泳ぎ。小雨とはいえ水温は高いので問題ないが、
イサミ「心の準備が出来てない!」
ほんまやでー。
以降所々泳ぐが、若干増水気味にもかかわらず水勢は弱く、貼り付いた所に都合のいいスタンスやホールドがあって概ね簡単。
素晴らしい内容だが、時々見える林道のコンクリート擁壁や、奥多摩特有の暗さが残念(いや、これが奥多摩の風味?)。
こんな感じで、楽しい。
巨大堰堤を右岸から巻くと釣人がいたので挨拶し、海沢園地までは林道を歩いて釣人に譲ることとした。
海沢園地から再び入渓。
流された橋やら、モノレールやらで荒れた印象。
すぐに三つ釜の滝。一段目は水流左から簡単に上がり、二段目を右のリッジから上がったらあっという間に歩道に出てしまった。
気を取り直して沢に戻るが、この滝、こんな近くに歩道があるなんて、観光資源的には美味しいだろう。
ここからワサビ田が出てくるところまでは滝が多く、大抵は登れるので楽しい。小雨が続くものの問題なし。
ネジレ滝は最初淵から取りついてみるもホールドが細かく断念。
一段目を右岸側壁のA0へつり。A0手前の、ハングに圧迫されながらのトラバース部分がなかなか怖い。イサミは躊躇なく行ったが、俺は5回くらい行きつ戻りつしてしまった。お迎えのガバがないのよ…。
二段目は左岸側壁~バンドトラバース~左岸ルンゼでザイルを出す。ナベリード。フリーで行けそうだったが、左足をフットジャムしながらキャメ決めてたら足の痛さが限界に達しあっさり残置A0。
そのあとのルンゼも、ヌレヌレなので若干難しく感じ、カム・ナッツはおろか苦し紛れにハーケンまで動員。イサミはリードの10分の1くらいの時間でフォロー。はええー。
ネジレ滝一段目のトラバース。左壁がハングしているので頭を押さえられて怖い。
対岸には不必要に厳重なビレイ点がみえ、何なんだろうなあと思ったが、こっち(左岸)に安全カン付ビナやフィックスロープや滑車的なものが残置されていて、おそらくキャニオリング業者の残置だろうと判明。
てか、体重をかける器具を山のなかに残置ってあり得なくね?滑車みたいな道具は既に歯車が回りにくくなってるし、グリベル製のスイベルはなぜか900キロくらいの耐荷重しかないし…これで人間吊ってるの?
一体何なんでしょうか?
大滝&不動滝は最初左岸の道に入りかけるが、あまりに立派なので滝見のための歩道だろうと判断(その通りだった)、右岸から高巻く。よく覚えてないがザイル出したんだっけ?この辺ルーファイ含めて奥多摩にしてはちょっと悪かった、というか頭を使った気がする。テープとか見落としただけか?
トラバースに入ると簡単。不動滝を拝みながら、左手から流入する支沢の滝の落ち口目指してバンドトラバースし、そのまま不動滝落ち口一段上からショートの懸垂。
不動滝を高巻き中に。ひょっとすると右壁のコーナーが攻めれるかも?
そのあとの枠木滝は、どうみても高巻きだが、
イサミ「ガイドブックに、執拗なほど詳しくラインが書いてますよ」
本当だ…
北国の、高巻きも楽じゃないよ的な沢なら、このライン、偵察くらいはするけど、ここ奥多摩やで?高巻けば楽勝やで?こんなラインわざわざ行くの?ハマりたくねーなー、等と思ったが、イサミが行きたいというので取り付く。
ナベリードで少し手前左手の傾斜の緩い泥壁というか凹角からそこそこ太い木まで。途中までハーケンやカムでランニングが取れたが、最後はゴボウくらいの木でエイヤ。こわーい。奥多摩にしては悪い。
ここからイサミリードでトラバース。
太い木の先のフレーク状ハングをあっさりフリーでトラバースしていった。ええ…俺あんなとこ行けるの?トラバースだから落ちると振られるんですけど…
フォローする。ビレイ点から一段下りてトラバース。簡単に太い木まで。
ここから厚めのフレークのハングをトラバース。足尾のスーパーフレークが傾斜をきつくして1.5メートルだけある、と言って分かる人がいるかどうか?
フレークの上の縁はドガバなのでモンキースタイルでぶら下がる感じとなり、スタンスあれば楽勝だが、ハングはのっぺりしていて足がない。ハングにスメア?沢靴でハングにスメアでこの傾斜耐えるの?いやーん、と思ったが、思いきって右足を思いっきりハイステップ(ハングの上のリップ部分)して踏み換えして右足送ったらあっさりクリアできた。ジムボルダー10級。見た目に反して超簡単。このラインに最初に目を付けた人はまじでスゴいが、あっさりフリーで抜けたイサミもすごい。
※ガイドブックでは、木から懸垂してトラバースするようです。
※ネット散策していたらキャンパシングで抜けたという記録もあります。ただ、上述の通りそんな難しいことする必要はないです。そもそも、全体重をかけるとフレークごと外れて落ちそうな雰囲気もあり…静かに登りましょう。それにしてもこの記録の方、ネジレ滝2段目を水線攻めするというストロングスタイル!いや~マジかよ…
枠木滝のトラバースラインを行くイサミ
少し進んで現役ワサビ田が出てくると、しばらく平凡な沢歩き。
※平凡区間が結構長いので、ここで打ち切るのも有りかも(まだ奥の大滝が面白く、そこまで行けば山頂も近いのでもったいないけど)。ここからモノレール沿いに降りている記録もある。
探せば探勝路が見つかるかも?下山の時に見たワサビ田と同じ田と断定できないが、もし同じなら、このあたりで探勝路が沢を横断しているので探せば見つかるはず。
平凡区間を小一時間歩くと奥の大滝周辺の滝場で、このあたりも登れる滝が多く面白い。奥の大滝は、ひろたさんの記録(その空の下で…)だと滝身を左上したようで、確かにそのラインは見えるが、モロシャワー…
ザイルを付けていると雨が激しくなり、みる間に増水し、
ナベ「無理っす…」
右岸から高巻き。確かノーザイルだったと思うが、ちょっと悪かった。メンツによってはザイル出すべきだろう。
ここ以外はほぼ攻めラインだったので、もったいなかったが、まあこの天気で沢登りしてること自体「ガンバ」って感じだし…
奥の大滝。左斜めに走るバンドを登りたかったが、雨強く気持ちを折られる。写真でも分かるほどの雨。
奥の大滝周辺の滝場。面白い。
最後は洞窟くぐり。
ひろたさんの記録通り速攻で水が枯れたので、右手の尾根に適当に取り付くと、五分もかからずに海沢探勝路に出た。荷物を置いて大岳山をピストンし、下山。
探勝路は厳密には管理を放棄された廃道。今のところ橋が流出している以外は踏み跡はしっかりしており問題ないが、ワサビ田(これが登りの時にあったワサビ田なのか、支流のワサビ田なのか分からない)を抜けて左岸に渡った後、道がかなり高巻き気味につけられている部分の一部桟道が崩壊には時間の問題という感じだった。下山中も時々大降りとなる。
三つ釜の滝辺りで測量みたいなことやってる人たちがいて「こんな天気でもか~」と感心したが、駐車スペースに戻ると、群馬ナンバーの商用バンが止まっており「彼らが残置してるキャニオリング業者か…」と判明(水上の業者が奥多摩に来るのがパターン。ただし、残置物の所有者が彼らかは不明)。
バンには「他県ナンバーですが、奥多摩在住です」ステッカーが。
ホンマかいな…と人を疑ったせいか、サンダルが若干流されていた。
帰りは「お食事処 日本亭」。
俺は満腹セットを頼んだが、小鉢が若干適当。とはいえラーメンはもっとダメかと思っていたら、ちゃんと出汁をとったあっさり醤油で、汁物の代わりとして全然イケる。炒め物は水準以上。そして何より米が大盛気味でうれしい。イサミもカレーを頼んだら、米多めでルーが危なかったらしい。
※最初は「味里」を目指したが休業中…
これコロナの影響かな、とか話していたら、やっぱりそうらしい…悲しい…
【コメント】
色々出てくるので楽しい沢です。
倉沢谷、川乗谷ほどマニアックでないので、ベテランの足慣らし、新人のトレーニングと多用途に使えます。
暗いのと、林道や釣り人、ワサビ田、キャニオリングなど色々うるさいですが、駅からこんだけ近いんだから譲り合いの心を持ちましょう。
無責任なキャニオリング業者に譲る必要はないと個人的には思いますが…
(こんないい加減な道具の取り扱いに起因して事故って、もし入山禁止になったらどうすんだ?)
下山について、現時点での探勝路は、日が出ていれば問題ないし、ヘッドランプでもまあなんとかなるレベルですが、これ以上荒れると日没後の探勝路下山は厳しいと思われます。
早立ちを心がけ、無理ならワサビ田で引き返すか、鋸山~天地山経由の登山道下山がいいんじゃないですかね。
電車利用なら林道歩いて車取りに行く必要がないし。登山道下山ならヘッドランプでも問題ないはずなので、電車利用の方がゆっくり登れるかも。
【地図】