2020年9月13-14日 メンバー:山崎(記)、うっちー(会外)
※以下滝の名前・大きさ等の記述は「日本の渓谷’97」(白山書房)に準拠しています。
9月13日
1130出発-1545取水堰堤-1630林道
ここのところ天気が安定しない。
日替わりで予報が外れる。
一番悪い(ように見えた)土曜日が好天で、なんとか持ちそうだった日曜日が明け方から雨模様なので泣きそうだ。
なにしろ今日は関西最難最右翼の池郷川ゴルジュに挑戦するつもりだったのだから。
池原ダムの駐車場で待機しながらの「今日は沈殿で明日は下部ゴルジュかな。増水していたら下部も無理かもしれない」という弱気を相方のウッチーは豪快にはね飛ばしてくれる。
「この程度の雨じゃあ大して増水なんてしませんて。行っちゃいましょう」
「行っちゃいましょう」が「逝っちゃいましょう」に聞こえるのは気のせいか?!
発電所先の広場に車を停め、右岸を歩くと程なく広い淵。奥には3mほどの小滝。
そして、その奥には池郷最初の関門である不動滝が潜んでいる。
右岸の側壁(釘が大量に打ってある)を登ると全貌が見える。
数メートルほどの流心を真っ白に泡立てて落下する水流は圧倒的。過去の写真を思い浮かべるに増水しているのは間違いなさそう。
側壁には下降点が整備されているが、降りて登り返そうという気にはまったくなれない。
本日の不動滝
登るどころじゃない今日のエコの滝
さらに高巻いて懸垂30mで沢床に降り立つ。
すぐ先に見える堰堤を越えると今度は泳ぎと小滝がいやというほど連続する。
エコの滝は左岸から巻くがイヤらしい。
ネジレの滝15mは左岸巻き(「日本の渓谷」では右岸巻きになっているが)。ブッシュ際を小さく巻くと綺麗に落ち口に立てる。
そこから200m程で取水堰堤。
もともとの計画では堰堤を越えて皮張谷先までだったのだが、出発が遅かったためにここまでとする。
右岸に張られたテープをたどって林道へ。
ネジレの滝(左岸巻き途中から)
9月14日
0730出発-0905皮張谷-1450大又谷-1700遡行終了-1830林道
今朝は雲もあるが、降るような気配はなさそう。
昨日の登山道をたどって入渓。
冬小屋谷から皮張谷の間もまた小滝と淵が連続し、ふやけるほど水に漬かる。
側壁から落ちる滝も立派なものが多い。
皮張谷をすぎて30分ほど行くと沢がやや開ける。幕営突破するとすれば一日目は先の取水堰堤のあたりかここいらだろう。
コンコン滝をすぎると左岸に石ヤ塔の岩峰群が見えてくる。
中部ゴルジュの小滝
「支点多数」5m
いつかはこのニョッキリと突き立った岩峰にもトライしたいものだ。などと思いつつ巨岩帯を進むと5m滝。磨かれたナメからカーテン状に落下する美しい滝だ。
ここは左岸の凹角を人工で登る。残置もあるがナッツとスモールサイズのカムがないと苦しいだろう
そしてまたしても淵と小滝。
このあたりから周囲の岩が暗い灰色のきめ細かいものから真っ白な花崗岩に変わる。
両岸が狭まり淵も深いので開放感が出たかと言えばまったくそんなことはないのだが。
大釜の15m滝は泳いで取り付いたクラックを人工。
泳ぎが連続して冷えたのでリードはうっちーに任せる(押しつけたとも言う)が、ギアを使い回しされて下部では縋るものがなくなり往生。それでもなんとかずり上がる。
くの字の瀞
(下流から)
くの字の瀞をにこやかに泳ぐうっちー
大釜の15m
トイ状10m
落ち口の日向ぼっこで体を温めたはいいものの、またしても淵と小滝で泳ぎ。
この前行った川浦谷が長い淵をまったり泳ぐ沢なら、池郷川は小さな淵が次から次から現れる水陸両用の沢だ。水からの出はいりが連続して疲れるが楽しい。
10mトイ状滝(左は水が流れていないこともあるようだ。やはり水量多めか)は右岸から小さく巻いて左滝の中段に入り、トイの中を這い上がる。
ようやく最終コーナー。4mは残置をたよりに上がった左岸のバンドをトラバースするが、いい具合にぬめっている上にカムの効きに確信が持てず死ぬほど怖かった。
最後にまた淵を泳ぎ越えるとゴルジュは果て、今日の行程もようやく終わる。
ゴルジュ出口すぐからブッシュ帯を登って登山道に入ったが、かなり錯綜していて悪い。もう少し先に進んで、横手小屋谷付近の本流上部への入渓点を探した方が良かったかもしれない。
登山道はピンク色のテープが多数つけられているが、大又谷を渡るあたりが迷いやすい。
林道との合流点には何も目印がなく、登山道経由で上流部に入る場合は迷いそう。ゲートのすぐ先のカーブ付近にある尾根である。
恐怖のトラバース 4m滝(左岸巻き)
上から見た大釜15mの登路
連続する淵突破に渋い高巻きとやばいクライミングが連続するこの沢を地下足袋わらじの時代に突破した先人の力量に敬礼、である。