■北ア/後立山連峰/姫川水系大所川ヨグラ沢(遡行)~ツリコシ沢(下降)[沢]

2021年7月22-24日(当日朝発2泊3日) ナベ(L&記)、山崎さん、丸ちゃん


北ア東面の沢は登山大系にあまり記載がなく(有明山周辺と高瀬川くらいである)、この大所川流域は一切記載が無い。豊野則夫さんの「北アルプスの沢」でようやく小滝川西俣沢や青海川金山谷が紹介されたが、まだまだ沢登り空白地域は多い。地形図で見ると、空白地域の一番星は間違いなくこのヨグラ沢だ。航空写真で見るとほぼ真っ暗だが、滝らしきものが2か所ある。

ということで2018年に初挑戦したものの、大所川が増水し取り付くことすらできなかった。

標高が低いのと、今年は梅雨に結構降ったのでまあ雪もそんなにないだろうということでリベンジしようと山崎さんに声かけ。山崎さんとタイマンだと合流場所までの運転がつらいので丸ちゃんを口説いて3名体制、完璧な準備でリベンジに挑んだ。なお、黒倉山まで詰めると後が大変なので地図上で水線が消えるところから山越えでツリコシ沢に入り下山するプランとした。


7/22 晴れ

06:30府中本町(丸ちゃんPU)→10:00ごろ信濃松川(山崎さんPU)→ローソン南小谷店(遊漁券・飯)→13:10大所川林道ヨグラ沢出合付近→13:35大所川本流・ヨグラ沢出合(入渓)→(出合ゴルジュ)→17:00幕場(標高590m付近右岸)

 

中央道は出だしから混んでおり先が思いやられたが、混んでいたのは最初だけだった。青春18きっぷではるばるやってきた山崎さんをPUし、ローソンで飯とビールを買い、遊漁券も購入。

大所川林道へ。砂防工事をやっているようだが「働き方改革」で土日祝休工しているようだ。いいこっちゃ。

3年前、ワゴンRはバンパー擦って破損したが、今回、車高が若干高く擦りにくいハスラーはほとんど底を擦らずヨグラ沢出合いまで。ちょっと先の広い路肩に駐車し準備して樹林の中を下降。何の問題もなく出合いの河原へ。

 

山崎さん「普通やんけ!」

ナベ「渡渉楽勝やんけ!」

 

今回のヨグラ沢出合

 

参考・前回。鉄砲水状態。(林道から、当時参加のW邊さん撮影、右奥がヨグラ沢出合)

 

そしてあっさりと入渓・遡行開始したはいいが、ここから300m進むのに3時間半かかった(笑)。

出だしからゴルジュとなる。

倒木のうるさい小滝F1を越えると釜持ちの4m滝(F2)。右壁がワンチャンありそうで山崎さんが偵察するが×。

 

F2。左岸から30mノーピンのⅣ級クライムで高巻く。

 

ちょっと戻ったところか、釜の手前あたりから左岸高巻きに入るしかなさそうで、釜の手前あたりから丸ちゃんがザイル引いて登るが、10mほど右上し、そこから直上というところでギブアップ。クライムダウンしてくる。

ナベに交代してリードするが同じところで行き詰る。落ちると前の小滝の滝つぼ方面に行くので都合15mほどフォール、まずお陀仏。プロテクションを取ろうと頑張るがリスは全部エキスパンド。神頼みで草付きを掘り起こす。

①クラック ②リス ③ガバ の順で神様にリクエストしていたが、残念ながら④のスタンスしか出てこなかった。

が、掘り起こした奴も含めて、丁寧にスタンスを拾っていけば傾斜の強い部分は見通しが立ちそうで、その先左の木に向かって斜上する部分は傾斜が少し落ちて見えるのでまあなんとかなるだろうと離陸…しようとするがなかなか踏ん切りがつかない。

 

できる、これはできるムーブや、落ちないから落ちた時のことは考えなくていいんや…そう自分に言い聞かせる。

まだ林道から直線距離100mくらいしか離れてないのにもうこんなことになっているのが若干ウケる。

最後は脳内で音楽を再生して自分を鼓舞し離陸!(何をかけたのかは忘れた)

 

傾斜の強い岩の部分は予定通りスタンス拾って登れたが、左上するパートがこれまた悪く、予定していた左上の大木は諦め、真上の腕くらいの木に必死でしがみついてビレイ。あー怖かった。もう当分こういうのはやりたくない。

トップだけ荷揚げ。ビレイ点からは少しトラバースののち、歩いて沢床に降りられた。

 

続くちょっとした落ち込みのF3は、左壁をつかりながらへつり。

 

F3。水がぬるいので楽勝。

 

そしてF4。50cmくらいしかないが、どう見ても取り付く島が無い。

ここは山崎さんの秘密兵器「グラップリングフック」の出番だ!

 

正直、LINEで山崎さんから「これを持っていく」と聞かされた時、まあネタにしかならんやろな…と思っていたが、ここはコイツに期待するしかない。

 

F4。グラップリングフックを投擲する山崎さん。

 

しかしなかなか届かない。というか、釜で根がかりしてそれでパーになりそう…

で、ダメもとでナベが泳いでみるがやっぱり上がれない。とはいえ、白泡の左あたりで立つことができたので、ここからグラップリングフックを投擲してみることに。するとなんと2投げ目で滝上の沢床に引っ掛かった(笑)

超ゴボウで這い上がる。たぶんハンマーでは引っ掛からなかったと思う。グラップリングフックすげえええ!

(まさかこんなキワモノのおかげで敗退を免れるとは…)

 

すでに「どえらい大当たり引いてしまった」感があるがゴルジュはまだ続く。

お次は3mくらいのF5。

 

F5。

 

ここはナベがうまくルーファイして左壁をへつり、抜け口に浅打ちハーケン決めてA0でクリア。

右岸側は荷揚げするための足場がないので、一旦左岸側に移り、カム(マスターカム青・セルフビレイ用)とナッツ(ザック留置用)を決めて荷揚げ。

荷揚げ後再び右岸側に移りハーケン決めてビレイ。丸ちゃんはA0なしでクリアしてた。

なお、この後ハーケン・カム・ナッツは1回も決まらなかった。

 

もうええわという感じだがまだゴルジュが続く。

F6はナベが右壁から流心に入ろうとするがはじき返される。

ここで丸ちゃんが志願。F2でビビってマンモーニになってしまったことを恥じているとのこと。

 

(自分の中のマンモーニを自分で厳しく叱咤する丸ちゃん:予想)

※ジョジョの奇妙な冒険第5部より。ご購入はこちら(Amazon)。

※一部セリフ改変しています。

 

で、丸ちゃんはスローパーをうまく処理して体を引き上げ、右壁へつりで突破し、荷揚げ。

後続は全くムーブができず水流をまたぎつつクソゴボウ。ナイスリード!

 

F6。丸ちゃんのボルダーで突破。

 

そしてF7。いかにも魚がいそうなので丸ちゃんに「魚いるかもよ?」と水を向けるが、

丸ちゃん「この沢、悠長に竿出してる場合じゃねえ!」

とのこと。

ところがこのF7は、この沢初めてあっさり高巻きできた(右岸から)。

なんか踏み跡っぽい?動物だろうか?

 

右岸からあっさり高巻いたF7。

 

これにてゴルジュ終了。すでにいい時間なので幕場を探すと、左岸から滝状の支沢が流入する手前あたりの右岸にいい河原があった。一段上には例の踏み跡状がまだ続いていたのでこれをならして避難場所とし、河原で焚き火&ごろ寝とする。丸ちゃんが偵察がてら竿を出すが全く釣れず。しかもちょっと行った先でまた滝があるという…

 

カス沢であったらどうしよう、という不安は霧散し、手ごたえのある沢をおそらく沢屋としては初めて遡行していることに喜びを感じる一方、半日近くかけて300mくらいしか進んでいないことに不安も感じつつ、期待と不安をツマミに酒を飲む。

丸ちゃんのヘツリがスゴかったとか山崎さんのフックが今日のMVPだとかナベのリードした草つき壁はマジやばかったとかお互いを誉め合い、やがて酒が進むと話が迷走。

進撃の巨人アニメの話から、今日は3m級を討伐したとか、むしろここがゴルジュと山に守られた壁内だとか、コロナで人類が滅ぶ前にワクチン派と反ワクチン派の争いってまんま壁内人類やんけとか。

夜は蚊が出て顔面を刺された(対策はハッカ油のみ)。


7/23 晴れのち曇り

06:00幕場(標高590m付近右岸)発→07:25二俣(標高770m付近)→10:45ヨグラ沢大滝下(仮称:標高980m付近)→12:10ヨグラ沢大滝上(標高1,100m付近)→13:45雪渓出現(標高1,320m付近)→15:40幕場(標高1,380m付近)

 

昨日丸ちゃんが見た滝はあっさり超えることができ、そのあとも河原と小滝で特段問題なし。1時間で昨日の3倍近く進めた。標高720付近で左岸から入る支流を見送るとちょっと滝が多くなってきた(と記憶している)。

基本的に巻きが悪いので可能な限り直登を目指す。

やがて標高770m付近の二俣。本流は20mほどの滝をかけている。たいてい支流の方が滝をかけて出合うので珍しい地形だなと思ったら、支流も少し右奥で滝をかけており、変形両門状だった。

右岸からザイル出して山崎さんリードで高巻き。出だしは段差の灌木にスリングかけてスタンスにしてA0で突破。

で、ちょっとこの辺記憶があやふやだが(他の滝だったかもしれない、後日山崎さんが遡行図書くそうなのでそちらを参照のこと)、その上にも傾斜の急なちょっとした岩壁があり阻まれる。岩壁右手のルンゼを登るのが常道と思われたが、左手の断崖絶壁すれすれのカンテに行くという。

 

ナベ「あんなとこどうやって登るんですか?横切れ落ちてる上に、傾斜が部分的に90度以上ありますよ?」

山崎「上の木に投げ縄すればいけるやろ」

 

マジ?うまく引っかかっても縄取りに行くまでの間相当怖いで?

しかし有言実行、投げ縄掴んでバランスとって、すかさず木に飛びついていた。真似できん…

 

以下二俣(標高770m付近)まで連続写真

 

 

 

二俣の変形両門滝

 

左が本流、右奥が支流(右岸高巻き中撮影)

 

二俣の後も3~5mくらいの小滝が断続的に出現し楽しい。

3m級出現!」「駆逐してやる!」とかやりながら進む(小学生か)。

また、テンバも昨日の程ではないが、まあまあの物件がそこそこある。

 

以下連続写真

 

 

短発での3~7m級を討伐していると、左岸から標高900前後で滝をかけながら支流が入り、その後ゴルジュが出てくる。

入り口の滝はなんとか越えられそうだがその奥が見通しが立たなさそうなので右岸から巻くと、巻いている途中に奥に無理そうな滝が見えて「やっぱり巻いてよかった」となった。

 

おどろおどろしいゴルジュの入り口前で休む丸ちゃん

 

これを巻くとその先に50m級の超大型巨人…じゃなかった、50m級大滝が出てくる。全然地形図とちゃうやんけ!

こいつは沢の名前そのまんまでヨグラ沢大滝と呼びたい。

三人で大騒ぎ・大興奮。いやこいつは凄いわ。デカすぎて飛沫が途中で消し飛んでる。

それぞれ滝に打たれたりして遊ぶ。一通りはしゃいだ後オブザベ。当然正面からの攻略は不可能。左か右か…

 

ヨグラ沢大滝(仮称) 推定50m

 

地形図的には、右岸側の方が沢に戻るのが楽そうだが、右岸側はかなり手前から巻きを始めないといけない。一方、左岸側はルンゼに水が流れており途中まで涼しいし、滝の落ち口には右壁側からバンド状が入っているように見え、左岸のルンゼからバンドトラバースがワンチャンスあるかも、ということで左岸のルンゼ選択。40mほどルンゼを登ると、バンドトラバースは不可能と分かり、そのまま大高巻き。

 

巻き途中からのヨグラ沢大滝

 

60mほど登ると左手から沢が入っていたのでしばらくこれを詰め、枯れた後は左上気味に悪い草つきを登り尾根に出ると向こう側に沢が見えたので少し降りてから40メートル2本で懸垂。ザイル半分は出たので、30mロープのダブルでは届かないかも知れない。

 

戻って滝の落ち口を確認すると、なんと形状が違う。落差約20メートルほどの滝の下には30メートルほど平凡な沢があり、そこからまた50メートル落ちている模様。

どうなってんだ?間違いなくヨグラ沢の本流であることはGPSでも確認しており、この辺りの地形の完全解明はキャニオリングしないと分からないかもしれない。

なおも出現する10m級や5m級×2を討伐しながら進むがこの区間は割と平和だったと記憶している。

 

以下大滝~雪渓までの連続写真。

 

 

やがて、沢が屈曲し北向きになる標高1320m付近。ここは絶対なんかあるだろうなと思ってたが、雪渓が出てきた。

下は先が見えないので上を雪渓渡りするしかない。こえ~。

祈りながら進んだら幸い踏み抜かなかった。

 

神頼みの雪渓。このほかにもワンポイントほど崩れかけの奴をくぐったりした。

 

ここで運を使い果たしたのか、そのあとに出てきた2段6mほどのパッとしない滝。こいつが曲者だった。

 

一段目を登ってから右のカンテライン。こいつが悪かった…

 

丸ちゃんが、「右のカンテ行けますよ!俺行きますよ!」と盛っているが、まあまあと抑え、民主主義で決める。

じゃんけん1発でナベが勝ちリード。

岩は固そうで、いい感じのリスにハーケンが入りそうだったので楽勝と思ったらリスがエキスパンド!

 

何だよもおおお!また(エキスパンド)かよおおおお!

 

当分やりたくなかったXグレード登攀再び。

丁寧にスタンスを拾い、途中から草付き、最後はイタドリをだましだまし使って木に飛びつきビレイ。丸ちゃんに任せときゃよかった…

 

サードの山崎さんがそのままトップに入る。一度登ってトラバースした後そのまま沢床へ…独創的だ。(普通降りる前に切るものだが…)幸いザイルは流れた。

 

若干源流の雰囲気が出てきた。右岸にいい河原があり、背後に大増水しなければ大丈夫そうな平地もあったのでここで幕とする。

今日も盛大に焚き火(2枚目は翌日撮影)。ちょうど溶けかかった雪渓が近くにあったので若いイタドリを摘んで茹でて食べる。悪くないがやはりマヨが欲しい。

でかくなり過ぎたフキノトウなんかもあり、山菜知ってれば色々食べられる奴があるだろう(イタドリとノブキくらいしか知らない)。

 

今日も盛大に焚き火(2枚目は翌日撮影)

 

 


7/24 晴れ

06:20幕場(標高1,380m付近)発→07:50 二等三角点(1,653m)の西→09:10ツリコシ沢本流出合(標高1,150m付近)→10:40大所川林道→11:50駐車スペース

 

標高をだいぶ上げたにも関わらず昨晩も蚊に集られた。今日もラーメン食べて出発。

もとより、沢登り的には源流である黒倉山(黒負山)まで詰めるべきだが、かったるいのと、黒倉山の南面は崖マークがあり下降に向いていないと判断、1653m二等三角点の西側のコルを経由してツリコシ沢に下降する計画だった。

日程的には余裕はなくもないが、既に十分満足しているので予定通りこの先の枝沢から1,653m二等三角点を目指す。

幕場から少し進んで、二俣になっているところをほんの少し戻った所の左にある枯れたルンゼに入る。速攻で沢型が消え悪い草つきとなる。

まあこんなもんかと思っていたら、丸ちゃんが「上流でははっきりした沢型が復活しているのでもっと左に入って沢型に入った方がいい」と主張、その通りに左上していると沢が復活し登りやすい。丸ちゃんは読図が俺なんかよりよほどしっかりしており頼りになる。時々ヌメリ度の高い小滝が出てきて若干てこずるが大勢に影響はない。

 

やがて草原を突き抜け、尾根と並行する沢型(二重山稜か?)を乗り越えると、予定どおり1,653mの西に出た。ここから南下。伏流したり復活したりを繰り返しながらやがてツリコシ沢へ。この下降に使った支流、滝がなくて下りやすかったが、ツリコシ沢出合い付近のヌメリ度はSランク。

ツリコシ沢もヌメるがそれほどでもなく、河原状なので乾いた岩を選んでどんどん下る。

途中でナベが飛び込み失敗しケツを打ち打撲。おかわり(翌日もう1本)は無しとして目標は白馬の定食屋(おおしも食堂)となった。

 

やがてツリコシ沢出合いの工事現場に出て実質終了。大所川の大渓谷っぷりを眺めつつ下山。林道や堰堤が無いころはさぞすさまじい大渓谷だったろうなあ。

山崎「タイムマシーンで戻って遡行したいな」。全くですわ。

(なお、熊を一度見かけました。歩くときは大騒ぎしましょう。)

 

1時間くらいで駐車スぺ―ス。

平岩駅の自販機でジュースを買い、白馬のおおしも食堂で定食食って完全勝利。


【感想(ナベ)】

3年越しのリベンジが叶い、また、内容も素晴らしかった。いい沢がやれて同行してくれた山崎さん・丸ちゃんに感謝。

しかし投げフック、まさかあれが決まるとは…


【感想(丸山)】

今この瞬間にも、誰にも見られることなく、静かに、力強く、50mの高さから水を弾けさせている瀑と、それらを包む空間を思うと心が震えてくる。

何を言っているか分からないと思うが、僕も何を言っているのか分からない。

とにかく、自分ひとりではおそらく人生のうちにヨグラ沢に足を踏み入れることはなかっただろうから、計画し誘ってくれた二人に感謝。


【感想(山崎)】

切り立った両岸のゴルジュの中、つぎつぎと現れる滝、淵。

どれもこれもたいそう手強い。

知恵と力とチームワークでなんとか越えてゆくが、次に出てくる滝を越えられるかは、三人の誰にも分からない。巻きができる保証もない。

記録も遡行図もない沢を登ると言うことはそう言うことだ。

だが、その不安こそが「冒険」だと思う。

ツリコシ沢を下降し、林道に降りてきた時の安堵はこれが冒険だったことを教えてくれた。

この三日間、冒険を堪能できた。

現代の日本ではほとんど失われてしまった「冒険」というものの匂いをちょっとだけ嗅がせてくれた、渡辺・丸山、両氏に深い感謝を。


【ヨグラ沢概念図】


【ヨグラ沢遡行図】

 

① 左岸の不安定に泥をかぶったバンドを登る。

② 滝左のカンテを越えて落ち口へ。

③ ここでグラップリング使用。

④ この前後で幕営適地は少ない。

⑤ 急傾斜のガレ場から立った岩壁へ。ザイル2P。トラバースで川床に戻る。

⑥ 支流右岸の枝沢に入り、傾斜が落ちたところで左上して大滝左岸の岩壁を越える。ブッシュを支点に懸垂30mで沢床に戻る。約120mの高巻き。

⑦ カンテからブッシュへザイルを2P伸ばす。


【参考グレード】

・沢登りグレード4級上、最高ピッチグレードⅣ+(X)、ボルダー3級(落ちたらドボン)

・岩セクションではプロテクションが取れず、高巻きが相当悪い上に、出だしはゴルジュ突破要素もある。実質1泊2日程度の行動時間だが、テクニック的には並みの5級の沢以上の物を求められる。

・エスケープルートが全くない事や記録が無いことを考慮して5級下としてもいいかもしれないが、一般に5級とされている沢と比べると水量の点でプレッシャーが無い。

・また標高が低いため(泳ぎの入る下流では)水温も高い。これらも考慮して4級上とした。

 

【ウェア・靴・防虫など】

・今回、中間部二俣までは水がぬるかった。その先はそこそこの冷たさとなったが、二俣から先、泳ぎやシャワークライムはほぼないので防寒はそれほど気を付けなくてもいいかもしれない。

・靴は、全体にヌメるのでフェルト推奨(今回ナベのみ秀山荘のフェルトシューズ、山崎さん・丸ちゃんはモンベルフェルトタビ)。特に下降に使ったツリコシ沢の枝沢の出合い付近はヌメリ度S級。

・遡行中はそこそこアブが出て、薄着の山崎さんはそこそこ食われた。ハッカ油を使っていた&長袖のナベと丸ちゃんはほぼ被害なし。

・テンバでは、2日間とも、寝ている間に蚊(ヌカ蚊?)にやられた。

・蚊はハッカ油があまり効かないようだ。ディートも併用すべき?

・山崎さんがF2の高巻きでヒルを見たというが、その後一切見なかったので見間違えと思われる。

 

【クライミングギア】

・沢床から10~20mで灌木が出てくるので、それ用にランナー用のスリング。

・カム・ナッツ・ハーケンはほとんど効かない。

・薄刃ハーケン2~3枚あれば十分。

・我々はF5でカム・ナッツを荷揚げ時に使ったが、荷揚げ用にザックを小さくしたり、荷揚げしやすいザックを用意できるなら、カム・ナッツもいらないだろう。

・ザイルは40m×2本を使用した。40あると安心感があり、何しろ記録未見の沢なのでこれくらいは必要だった。

・今回登ってみて、大滝を右岸側から巻けば30m×2本でも十分かもしれないと思った。

・なお、1本はほぼ荷揚げ用(今回2人目はFIX登り)なので、ザイル1本とバックロープ用の6mmくらいのスタティックロープ(細引き)という手もある。

 

【幕場】

ちょっとした河原なら結構ある。ただし、基本的にV字谷なので、増水時に安全地帯が確保できるような都合のいい河原はあまりない。


 

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