2021年10月14日 晴れ ナベ(記)・Y崎 形態:沢登り
07:45 林道脇駐車スペース→07:55 堰堤裏より入渓→13:20 1本目の橋(標高900m~910m付近)→14:30
2本目の橋(標高990付近)→15:40 標高1140m~1150m付近で遡行を打ち切り車道に上がる→16:25 えびの高原→18:10 駐車スペース
ついにツアー最終戦。私が高校生の頃に住んでいたえびの市、その市役所の脇を流れる長江川をチョイス。
何しろ旧実家のすぐ近くであり、毎日この川にかかる橋を渡っていた川だ。
こちらの記録を見て、「なぜ俺はこれを登らなかったのか」と、後悔とともにしてやられた的なジェラシーを感じた。
Y崎さんも「最後くらいは上まで行きたいな」とのことで、えびの高原まで突き上げることに。
轟滝の下から入渓すると相当凄いようだが、私は上述の通り近所に住んでいたので、川の両岸には牛・豚小屋がた~くさんあるのを知っており、若干の抵抗があった(景が島渓谷とかもっと汚い所を登ったくせにいまさら何を、という感じだが、マジな話、雨の直後は下部の入渓は控えた方がいいと思う、衛生的に)。
昨日の大幡川の後は、道の駅えびのでビバーク。スーパーでお惣菜を買い込みプチ宴会したが最高だった。ただし疲れであまり酒は飲めず…
なお、一晩中トラックが出入りしうるさい。近所の車オークション会場の搬出入の時間合わせと思われる車両のほか、コカ・コーラえびの工場の車両、ここで荷渡ししているトラックも。
我々も泊めさせてもらっており大変ありがたいが、「道の駅無い方が、営業所とかたくさん作ってもらえてえびの市的には法人税が儲かるのでは?」とか思った。
ドライバーと車両保有会社にインタビューしたらいい論文が書けそうなので、大学生にお勧めしたい。
起きると一面霧で干し物は一ミリも乾いていなかった。映画「美しい夏キリシマ」(黒木和雄)では「霧野」という名前で登場するくらい、霧の多い土地なのだ。
ぬれねずみのまま入渓か…
ガッツレンタカーの軽を駆って、林道へ。Uターン用スペースの無い非情なゲートに阻まれ、鬼バックして路肩で切り返したのち、適当なスペースを見つけたので駐車。
濡れたウェアを着込み出発。なお、車に残置する濡れ物をワイパーやミラーに干したのでかなり異様な車両となった。
堰堤の裏から入渓。すぐ支流と出会うはずだが気づかず橋に至る(この後も支流に気付かないことが多く、一部を除いて枯れている模様。地形図で水線が描かれているのに枯れているのは珍しい)。
橋を越えるとさっそく淵を持つナメ滝。ここから、標高900~910m付近の橋まで、ほぼずっと滝&ゴルジュ。河原歩きは合計30分も無かった。
(なお、メモをしながら登ったのだが、あまりに滝が多すぎて遡行図に起こすのは無理だった。)
霧のえびの。この後ド快晴に。
入渓してすぐの滝
基本、全てのゴルジュは登れる。
大プール。こういうのも簡単にへつれる。(真夏なら泳げる)
はしゃぐY崎さん
これはさすがに巻いた。確か右岸巻き。これ以外は明確な巻きラインで登った滝は無い。
(ゴルジュは全部通過でき、滝は側壁やリッジ含めた非巻きラインで登れる)
次々現れるミニゴルジュ
一見剥離しそうな皿状ホールドが、結構しっかりしていて登れる
人にやさしい
これはさすがに巻きだろうと思ったら、Y崎さんが左壁から突破。
左壁を攻めるY崎さん。意外な所に意外なホールドが!
泳いで水流右のカンテに取り付いたが、ここも「ここぞ」というところにホールドがあり登れた。
1本目の橋を越えると河原が多くなり、2本目の橋を越えるとほぼ河原メインとなる。
2本目の橋を越えると温泉成分が強くなり、飲める雰囲気ではなくなる。支流で汲みたいなあと思っても全然流れている支流が無く、標高1100m付近の滝場を越えたところで車道に上がり、車道経由でえびの高原まで上がり、自販機でお茶を買って一息ついた。
帰りは遡行を打ち切ったあたりにザックを置き、車道を激走。
標高880m付近から林道に入り、林道ではショートカットを連発してなんとかヘッドランプのお世話にならずに下山、車でザックを回収した。
【足回り】
沢タビ(フェルト)
【ナベ感想】
まさか毎日渡っていた長江川がこんなに素晴らしい沢とは…日帰りの沢としては間違いなく一級品。九州ツアーの際にはぜひ登ってほしい。
ついでに本場宮崎のチキン南蛮を食べてほしい。(東京で食べられる、唐揚げに甘酢たれとタルタルをかけたものはチキン南蛮ではない)
【Y崎感想】
すばらしいの一言。
赤っぽい滑らかな岩を駆ける水流を遡行していくという沢の醍醐味を心ゆくまで楽しめる。
そして、ほぼすべての滝が直登可能で、その内容も素晴らしい。
突破不可能に見えても、まさかこんなところが、というようなホールドスタンスが用意されていて楽しく登ることが出来る。
ケヅメが悪の大王のラスボスなら、長江は豊壌の女神だったに違いない。
【屋久島&霧島 まとめ(Y崎)】
このツアーの目的は「ゴルジュ突破」であった。
強烈と言うしかない渓相の中で登れない滝はいくつもあり、大高巻きになってしまったシーンがあったことも否定できない。
しかし、記録のほとんどないゴルジュに分け入り、経験と技量の限りをつくして突破をこころみたことは誇って良いことだと思っている。
今もう一度行ったとしても大きく判断が変わるとは思えない。
充実した、いい山行が出来たと思う。
大学時代に屋久島に何回も入り、現地の状況に明るいナベ氏と一緒だったこともありがたかった。
ガスや食料の手配、現地での泊地等々でどれだけ時間を節約できたことか。また地元九州に戻ってきてからの行動でも多々助けて貰えた。
中でも「たれを上にかけただけのチキン南蛮は邪道である。チキンをたれに漬けてこそのチキン南蛮である」という教えは一生の指針になるだろう――。