■栃木/奥鬼怒 野門沢・カルテット・深沢上タケ沢 [アイス]

2022/2/11-13 山崎、伊佐見、他


2022/2/11(金)野門沢

 

長かった。

林道は踝ぐらいのラッセルであったが、滝見台あたりから深くなり、登山道は膝下ぐらい。

前を歩く伊佐見、トレースをつけてくれるのは有り難いのだが、むこうはスノーシューこっちはワカン。

浮力、体重、ダブルストックの差で、追っかけるとずぼずぼ沈む。他人がつけてくれたラッセル跡でさらに沈むと倍疲れて悔しいものである。

林道終点から少し上がったところで尾根右側に入り、テープに従ってトラバースに入る。

ほどなく滝見の木道に行き当たり、それをたどる(登山道をたどって木道に入ることも出来ると思われる)。

 

五時間かけてたどり着いた布引の滝はいい具合に凍っていた。

とっとと準備をして登攀開始。

なんと伊佐見は今日はアプローチの偵察だけで帰って明日また出でなおすつもりだったらしい。

が、こっちはこっちで「ここで帰ったら残り一生付きあってくれるヤツはいないないだろう」とばかりに取り付いたのであった。

 

1P:雪のスカートから円錐状になった滝の右側より登る。上部はやや急で落ち口は氷が薄い。

2P:30mほど左上して二段目の直下へ。滝本体は段々でマントリングの連続。ここも落ち口は氷が薄い。

3P:中央やや右の階段状を直上。最後は左岸際のガリーを雪をかき分けながらはい上がる。やっぱり上部は氷が薄い。

 

落ち口右岸は釜になっているので、左岸のブッシュから懸垂。

三段目の取り付きに空いていた大穴にザイルがドボンして悲しいことに。

二段目の懸垂はアバラコフ。

 

最後は一段目落ち口左岸の立木までトラバース。微妙に悪い。

取り付きに降りたってザイルを回収する頃には夕闇となっていた。

 

あとは延々と来た道をとって返す。長い。

車に着いた頃には22:30。

 

 


2022/2/12(土)カルテット

 

昨日下降してきた布引滝の取り付きで「明日も出撃だ!」と吼えたものの、どーやら脳内麻薬の最後の残渣だったらしく、すでにぼろぼろ。

気分は温泉レストモード。

が、容赦のない伊佐見は女夫渕に車を駐め、とっとと歩けと促す。昨日のアレは気の迷いだって言ってるだろう。

 

駐車場から最奥の日光沢温泉までは車道が通っているのだが、一般車は入れないのである。(温泉宿で宿泊する人だけが送迎バスに乗れるという格差社会!)

普通にアプローチするなら、川沿いの一般登山道。

とりあえずこのエリアはスノーハイカー御用達らしく、この雪の後でも高速道路なみのトレースがついている。

ほぼ夏のコースタイム(二時間弱)で温泉に到達。そっから上もしっかりトレースがついており、20分ほどでカルテット下まで。

もっとも、雪の多い時には 二時間かかるらしい。

 

カルテットはでかい二段堰堤の下にある氷瀑群。

アプローチとは反対側の左岸にあるので渡渉が必要。堰堤の下(上流側)に降り立って浅い部分を渡る。

本日はドラムにチャレンジ。

伊佐見がリード。

二段になっていて、下部は左気味の凹角から中央。ざくざくの雪壁を左上した先の最上部に垂直8m。けっこう厳しい。

 

 


2022/2/13(日)深沢上タケ沢

 

野門沢の一本下流が深沢である。

ここに半端ないアイスエリアがあるというのはロクスノの88号で紹介されている。

 

鬼怒川への合流点付近には適当な駐車スペースがないので、さらに下流のソバ屋(冬季休業)に停めるのがルール。

車には連絡先をかいとくこと。

あと、店前の自販機でなんか飲み物を買う。

準備中にロクスノの記事を書いた黒須氏が出てくる(隣の車に車中泊してたらしい)。

なんでも昨日深沢に入ったのだが、テントが壊れて夜間撤退してきたのだそうな。

渡渉点まで歩いて車道をアプローチしていたら、わざわざ車で追いかけてきてくれて送ってくれた。感謝!

 

だくだく流れている川に突っ込んでスパッツに水がしみ通る前に駆け抜ける、という荒技で鬼怒川を渡渉。

だがやっかいだったのはそこだけで、以降は高速道路状態のアプローチ。1:45でF1まで着いてしまう。

すでに3パーティが入っている。

 

あいている暗黒峡(”暗黒卿”ではないらしい)エリアに入る。

最初はどん詰まりのチャンピオン。

円形劇場の奥にカーテンを引いたような見事なアイス。

一番きついところでヴァーチカルマイナスぐらい。

落ち口上の緩傾斜帯を登って、右岸奥の木で下降&TR可能。

 

 

 

降りてきて(なかなか凍らない)というF1をアタック。

右の方はあまりにも薄かったので、左手の緩やかの方へ。

それでも所々氷の下を流れる水が不安を誘ってくれる(というか落ち口手前で踏み抜きかけた)。

真ん中左がやや厚そうに見えたので、そこから突破。

斜度もなくコワイだけで外れ。

 

 


降りてみると既にみなさん引き上げなさっている。

我々も急いで降りるが、渡渉点に着いた頃にはほぼ夕暮れ。

またしても鬼怒川を駆け抜けて戻る。

 

あちこち調べて川治温泉薬師の湯でお風呂。

ややぬるめで三日間の疲れを癒すにはちょうどであった(他に営業している温泉はない模様)。

シャワーは壊れていて使えなかったが。

 

さらにご飯は苦労。

結局、上市の華のれんという飲み屋に転がり込むまで一時間。

この付近には(特にこの時期には)食事が出来る場所が少ないので、アイスクライミングの際には遅くならないように塩梅する必要あり。


 

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