■南ア/白峰南嶺/早川支流黒桂河内下部ゴルジュ[沢]


2022/7/9 高曇り(朝方小雨)

ナベ(記)・丸ちゃん・見学者(会外)

06:25 おばあちゃんたちの店→07:35 ゴルジュ入り口(F1)→09:25 F3下→12:00 F4上→13:00 F5下→14:00 F5上→14:35 堰堤→16:20 おばあちゃんたちの店

 

今回見せ場なかったためあんま登った気がしません。まあとにかく丸ちゃんナイスリードでした。


身延周辺のアメダス72時間累積降水量はまちまちだが、まあここ3日まとまって降っていないことは確かなので行って見ることとした。

朝日で起こされて予定よりも早く駐車場を出る。準備中パラっと来たがすぐやんだ。

 

参考にしたぶなの会の記録では2つめの堰堤が悪かったとあったが、2つ目の堰堤(2段構成)は下の段のちょい手前から左岸に巻き道がついていて問題なかった。

(というか巻き道が相当踏まれており、結構釣り人が入っていることが予想される。)

 

河原を歩いているといきなりゴルジュ。入り口手前の暗い河原で身づくろいしていると足首にヒルが3匹も集っておりバッドな気分に。聞いてないよ~。

殺す余裕はなかったので水流に入って冷やしてリリース。

身づくろいしている間にも集ってきたので次々水流に流す。やがて全部流したのか、落ち着いてきたのでゆっくり身づくろし、丸ちゃんリードでF1突破。まあまあ水量が多いように見える。

※定期的に小雨くらいは降っていた模様で、ウェットな感じだったためヒルが活性化していたものと思われる

 

F1

 

F2は水量多くはじき返され、左手の壁をトラバース気味に丸ちゃんがフリーで突破。見学者氏は途中からゴボウ、下から見ていると「あー、下りトラバースのところを登っちゃったんだな」というのがよくわかり、2人分のムーブを見ていたのでナベはフリーでフォローできたが、しかしトリッキーな足先行マントルは「よくリードしたな」といつもの感想しか出ない。

 

F2

 

F2の左壁をトラバース気味に登る見学者氏。

このちょい上のトラバースが悪い。一応落ちてもドボンだがそれなりの高さがあるため結構プレッシャーあるはずなのに丸ちゃんはスイスイ。

 

間髪入れずF3。これはなかなか…じゃんけんでナベと丸ちゃんが勝負し、勝った丸ちゃんがリード。空荷&フラットソールで突っ込み見事オンサイト。

「トップ→中間→ラスト」の古風なザイル構成で、中間が登り切ったら中間とトップで使ったザイルをぶん投げて荷揚げ(右手のルンゼから荷揚げ)。

 

ナベがラストとしてフォローすると、下部はヌメリがひどく、中間部はトリッキーな膝マントル→マイクロスタンスでの足先行ムーブ→ランナウトで踏み替えの一連のムーブがしびれた。いずれも最小限のハーケンしか決まらないためリードは相当怖い。Ⅵと言われても納得。見学者氏だけモンベルのゴムタビだったので、あのマイクロスタンスによく立てたなと思う。

 

F3

 

ランナウトする丸ちゃん

 

ハイステップで躊躇う見学者氏

 

ここで無事登り切って気持ちが緩んでしまい、何も打合せしないままフラットソールで左岸からF4に取り付いたら意外と悪く、見学者氏が滝右のスラブでハマっている間に右手のクラックをカムでA0し、ハーケン1本打ち込んでA0でトラバースして上からザイル投げて見学者氏にフォローしてもらったが、ランニングとしてザイルに通していなかったためラストの丸ちゃんがハーケン&スリングを見落としてしまい残置…

気付いたのはこの先の河原で、まあ下降の時に回収すればいいという話になる。

(今後は、登る前にコミュニケーション取るよう気を付けよう!明らかに核心を終えて緩みがありました)

 

F4、結果として写真左手にハーケンとスリング残置してしまった。すいません。

(なお、ここでビレイしているときに、手の届かないところに置いている俺のザックにヒルが入っていく様子が見えて絶望した)

 

F4すぐ上の小滝、どうってことはなかった。

 

F4とF5の間の河原。ゴルジュに囲まれているため●●が非常に濃い。

 

河原を2~30分ほど歩くと、ちょっとした小滝を越えてF5。

ちょっと増水気味か?右壁に支点構築し各自トライするが滝左手の陸地に全然取り付けない。

「畜生!泳力が足りねえ!他の奴らどうやって登ったんだ!」とか丸ちゃんが叫んでいるがこの水量ではオリンピック選手とかじゃないと無理では…

 

F5トライ中の見学者氏。とても頑張っていた。

 

雰囲気的に、支点構築した左岸スラブを登ってトラバース掛けてしまいそうだったが、冷静に見るとどう見ても右岸の一段上に上がった方が優しいので、戻って偵察すると、さっき越えたちょっとした小滝の上の右岸に、簡単なルンゼが下りてきていたので、ここから巻きあがってコル状か50m2本で懸垂。なお、あまりにもドンピシャ滝の落ち口だったので余ったザイルが引き込まれてハマるところだった。(今後はあまりギリギリ狙わないように気を付けよう!)

上から見るF5は完全にボイルしており、飛び込むと死にそうだったので同ルート下降はあきらめることとする。F4にゴミ増やしてすいません。

 

落ち口から見るF5

 

この後は優しい河原で、巨大な堰堤にて終了。2段堰堤を右岸から巻きあがって左岸の林道へ。

「うまくF4の上に降りられないかな?」とも考えていたが、林道を歩くと気づいたらゴルジュ区間は過ぎていた。

適当に尾根を下って河原に降りて駐車場へ戻り、念入りにヒルチェックし、約20匹ほどを発見、ディートで弱らせて丹念にハンマーですりつぶした。

 

なお、この後は「おばあちゃんたちの店」でお土産買いこむ(こんにゃくが本当に美味しい)→「ヘルシー美里」で温泉→身延の「花梨」で大盛気味の定食と、完璧なアフター登山だった。


【感想】

 

若干歩きが長いのと、ゴルジュ内でも中だるみはあるけど、首都圏近郊にあってなかなか奇麗かつ強烈なゴルジュ。生き残っている林道をうまく使えば帰りは早いし、なんてったってアフター登山が近年まれにみる充実度で良かったです。

必要なのは、基本的な沢装備(ハーケン・カム)に加え、F3用にフラットソール、泳ぎ用にウェット。それに荷揚げのタクティクス準備と、ヒル対策(増水対策も兼ねて、前日完璧に晴れたときに行くのがベストか、水は1日では引かないかも知れないが)。

 

※我々はなんとなく、ゴルジュをパスした後に割と早めに河原に降りたが、2つ目の堰堤のちょっと上流に植林を見たので、林道を下れるだけ下って植林から河原に降りるのが一番早いと思われる。

 

※大崩壊部分は崩壊璧が出現しているため林道利用は全然無理で、もし辿ろうとすると完全に稜線まで出て高巻きとなるので、河原に降りるしかない。

 

F3はハーケン主体だが小カムも効いた。


【参考記録】

 

Lynn_Kato氏らの遡行記録、全段水線突破、動画付き

 

ぶなの会tamoshima氏らの遡行記録、全段突破、遡行図付き

 

茅ヶ崎山岳会相原氏らの遡行記録、激増水。普通は帰るレベル

 


【遡行地図】(国土地理院電子国土より)

 


 

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