期間:2023年1月21~23日(前夜泊2泊3日)
山域:戸隠連峰
形態:雪山登山(縦走)
ルート:弥勒尾根登行~五地蔵山~九頭龍山~戸隠山~本院岳~西岳~西岳P1~P1尾根下降
メンバー:ナベ・山崎
1/20 松本→道の駅おがわ
ナベ車にて山崎さんを松本でピックアップして道の駅おがわにて車中泊。
コンビニ併設の道の駅でトイレも快適だが、軒先が狭い。その狭い軒先に同業他社と思われるパーティが軒先でテント張っていた。
雪が少々降っている。
1/21 曇り時々小雪
08:15 戸隠牧場キャンプ場入り口発→09:10 五地蔵山南東尾根(弥勒尾根)取り付き→10:50 1,596m二等三角点→13:00
五地蔵山山頂→15:00 一不動避難小屋
道の駅おがわから県道36号で峠を越えて鬼無里に出て、そこからさらに峠をもう一つ越えて戸隠に。各峠が凍結しており、国産スタッドレスとはいえ2WDのナベ車はヒヤヒヤ。そのため結構時間がかかってしまった。(冬場の夜間は2WDでは無理、チェーン必要と思われる)
戸隠牧場キャンプ場の入り口は雪捨て場となっており、自販機は停止中。邪魔にならなさそうなところに駐車して出発。
キャンプ場を前進すると、一不動方面と弥勒尾根(五地蔵山南東尾根)の分岐に出るので地形図に従い北東に進み、小さい沢を越えて弥勒尾根登山口の看板から入山(看板のすぐ先でもう1本小さい沢を越えたと記憶している)。
ラッセルはほとんどなく、根雪が30cmほど積もり、硬い層があってその上に新雪が10~20cmほど。概ねくるぶしまでしか埋まらないが、たまに吹き溜まり的な所では脛~膝のラッセル。雪山登山的には大したことないが、年末年始をコロナで寝込んで運動不足なうえ、昨晩の寝不足でとにかくキツイ。五地蔵山に出てからは稜線の縦走となるが、こんな積雪量でも小雪庇が結構張り出しており、参考にした記録(※ブログ「降っても晴れても」のスー氏の記録「厳冬の戸隠連峰縦走単独行」)の通り、雪庇と樹林のマージナルラインをヒヤヒヤしながら進む。
※スー氏は我々よりもだいぶ雪が多く圧倒的に雪庇が張り出している時期にも関わらず単独で我々よりも早く動いており、圧倒的。3日目には「師匠」と呼称するようになり、「師匠の記録によると」が合言葉となった。
左が雪庇。
右に寄ると藪がうるさくて進みづらいが、左によると雪庇が…基本ずっとこの調子。
一不動に着くころには完全にバテており、せめて九頭竜まで登りたかったが時間的にもう1H程度しか動けなさそうなのでまあいいかということで避難小屋を使わせてもらう(入り口に、「あくまで避難小屋なので、当小屋泊を登山計画に組み込むな」的な旨が書いてある。緊急というほどではないがバテたので勘弁してください)。なお、ナベがヘッドランプを忘れたことも早めに打ち切った理由の一つ。
大した積雪ではないのになぜか入り口に吹き溜まりができている。これじゃ緊急時利用できんで…。除雪して中に入ると、小屋の中も換気口からうっすらと雪が入っているためこれも掃き清めた。
入り口のドアが、アルミの戸をカーテンの戸のように吊るしている形状のため、風が吹くたびに隙間風が入り、バタバタと音がするが、それでもテントよりは快適であった。
除雪前の入り口
1/22 曇り時々晴れ
06:30一 不動避難小屋発→07:20 1,888m二等三角点→08:10 九頭竜山山頂→09:55 戸隠山山頂→10:10
八方睨→11:30 1,797m二等三角点→1,410m 本院岳山頂→1,505m 西岳キレット→1,715m 西岳山頂にて幕
明け方の薄暗い中出発。出だしから約150mの登りだが、よく寝た為快調。
登り終えると、地図で見る印象よりかなり広い稜線で、どこでもテントが張れそう。昨日ほど雪庇のプレッシャーはない。どんどん進む。
急登をこなしてから快適な稜線漫歩
九頭龍山・戸隠山ともに山頂としては地味で、むしろ、背後に見える高妻山が圧倒的(こちらより高いだけでなく形状がピラミダルでカッコいい)。
八方睨到着が11:30より遅かったら西窟尾根(八方睨~奥社の夏道)から撤退予定だったが間に合った。縦走続行。
八方睨から先は地図で見る印象通り稜線が細く、小雪庇がニョキニョキ張り出している。南側はすさまじい断崖絶壁が広がっている。今回雪庇踏み抜いても、季節的に巨大雪庇はまだ無いため踏み抜いた転落ダメージ+崩壊雪庇+ひょっとして雪崩くらいなら生存可能性ワンチャンあるということでビーコンを持ってきているのだが、実際に見ると、まあこの断崖から落ちたら助からないだろうな~という気がする(春先の巨大雪庇の場合は完全にノーチャンスだろう)。
遠くから見えていた本院岳の岩壁部分は近づいてみてもやっぱり登れそうもない。
地図を見ると右手の尾根に乗り移るようだが、稜線を忠実に詰めて岩壁基部をトラバースしても右手の尾根もなかなか切り立っており簡単には乗り移れそうにない。いったん右手の尾根との間にある沢状の中の尾根地形に移り、偵察しながら登ると、岩壁右手の雪壁が岩さえ露出しなければ登れそうなので、そのまま尾根上を詰めて岩壁基部のど真ん中やや右寄りに出て、そのまま右トラバースして雪壁に取り付く。幸い岩は出てこず、急傾斜の雪壁を山崎さんラッセルで無事突破。
雪庇ニョキニョキ
雪庇ニョキニョキ、下は断崖
本院岳。
黒く見える岩壁部分の右の雪壁を登って右の尾根に移った。
雪壁を登る山崎さん
本院岳山頂付近はいい幕場があったが、ここは少しでも進んでおきいため前進。西岳キレットの手間にて休憩しながらキレットへの下りとその先の登り返しを眺めるが、登り返し部分は出だしの凹状の3mほどの岩壁は鎖が露出しているものの、その先は急傾斜の雪壁となっておりとても登れるシロモノには見えない…とりあえず空身でためしてみてダメならここにテント張って明日八方睨から撤退だな、ということでアイゼンに履き替え、まずナベが取り付く。
マッシュルームになりつつあるリッジを下降してキレットを渡り、岩壁の鎖からランニングを取って一安心。鎖を頼りに凹状を2mほど上がる。傾斜は急だがスタンス豊富のため問題ないが、上が小雪庇状になっており、雪に埋もれた鎖は引っ張っても動かない。凹状の右に出たいがナベはシングルアックスのためちょっと無理そう。山崎さんに交代。ナベがそのままロワーダウンして鎖場基部でビレイ。
山崎さんは凹状抜け口で鎖を引っ張り、鎖を引っ張り出すことに成功。もう3mほど鎖を頼りに登ると鎖の根本となっているアンカーがあったため、そこで一旦支点を作成してロワーダウンしてきた。
ナベが山崎さんにビレイしてもらいザックを2個凹状基部まで運び、今度は山崎さんがフルボッカで登る。最終支点(鎖の根本)からはフルボッカでの急傾斜雪壁リードとなる。やがて解除の声。フォローすると、最終支点からの2~3mはかなり急傾斜な雪壁で、フルボッカリードは相当に怖いだろう(てかワイだったらビビって無理だったかも)。少しの登ると傾斜は緩むが、細い灌木しかなく結構なランナウトとなる。いや~ナイスリードでした。
少し進むと西岳山頂の標柱が突き出ていたため、その少し手前を整地して幕営。ヘッドランプ忘れのため結構設営中は急げ急げとなり焦ったがギリギリ間に合った。これで明日のP1尾根下山が十分見えてきた。
下山後の戸隠そばを「もり」で食うか「かけ」で食うか、それともタンパク質摂取のために長野や松本の定食屋を目指すか、などを真剣に協議。
やはりそばの名所戸隠では、「そば食い」の風習に従い「もり」ではないか、ということで意見は一致した(が、そもそも蕎麦屋が開いている時間に降りられなかったのは下山後に分かる話)。
本院岳より西岳。
プラトーの右奥にキレットがあり、ガスがかかっているあたりを登る。
西岳キレット&登り返しの下部
西岳キレット登り返し上部。
写真真ん中下の鎖が右上の岩の左端までつながっており、そこから先は山崎さんがランナウトで左の雪壁を登った。
1/23 曇り
06:50 西岳幕場発→07:40 西岳P1山頂→08:40 蟻の戸渡り→09:00 荷揚げを行った小ギャップ→13:30
1,500m付近(ロープ不要地帯に抜ける)→15:55 上楠川公民館
P1までの稜線は相変わらず小雪庇が南側につきだしておりその下は断崖絶壁。樹林との境を進み、やがてP1。雪庇が張り出していたらどうしようかと思ったが、山崎さんがうまいこと少しP2寄りから降りられるところを見つけ、バックステップで下降。
細いリッジは、ちょっとしたピークから支尾根を派生させており視界が無いと難しそうだ(とはいえ支尾根は即断崖に吸い込まれるため、間違えてもすぐ気づくだろう)。
西岳を出発。今日も雪庇ニョキニョキ
P1へ向けて歩く。
P1からP1稜への下降
急なリッジを1回、鎖のある岩場を1回懸垂すると蟻の戸渡り。短いが迫力のあるナイフリッジ。本院岳側に雪庇が張り出しており、P2側に寄りたいところだが、P2側はすさまじい断崖となっており泣きそう。半分くらいまではリッジの上を恐る恐る歩き、残り半分はP2側の斜面に蹴り込んでリッジに石突を刺しながらトラバースする。山崎さんも懸垂ザイルを畳んでから追いかけてきた。動画で取ろうとしたがここでハンディカメラのバッテリ切れ。肝心な時に…幸い山崎さんも無事渡ってきた。
蟻の戸渡り対岸の小ピークを越え。少し下ると、出発前から核心になると思っていた登り返しが出てきた。山崎さんが大昔にP1尾根を中退した際に撤退ポイントとなった箇所でもある。師匠の記録によるとこうだ。
蟻の戸渡りを行く山崎さん。
P2側の切れ落ちっぷりがすさまじい。
問題はその先のスノーピークへの登り返し。ここの小凹角は体が振られてとても厳しくて、困った。
もう戻れないんだ、ということをもう一度認識し直さなければならなかった。
今度はザックを置いてトライする。うまくいった。ピークにバイルを埋めてアンカーにして登り返しを行なった。
「もう戻れないんだ、ということをもう一度認識し直されなければならなかった」
悲壮感溢れる文章にビビりつつ、アイゼンに履き替えてザイルを出す。ナベリード。空身で短いナイフリッジを渡り、鎖場に取り付く。案の定スタンスはそれなりにある。鎖を引っ張り出したいが出てこないため、鎖の最上部にランニングを取ってから1手雪壁でごまかして、頭上の灌木にピッケルを伸ばしてフックし、それを頼りに体を引き上げて灌木を脇に巻き込み一安心。ランニングを取って左手に抜ける。山崎さんにザックを持ってきてもらい、荷揚げ後、支点が無いためスタンディングアックスビレイにてフォローしてもらう。
荷揚げを準備する山崎さん
荷揚げがうまくいき、これで核心は終わったと一安心した。ところがどっこい、P1尾根はそんなに甘くなかった…。師匠はサクッと降りたように書いているがいやはやこんなに大変とは…
沢山懸垂したためよく覚えていないが、確かこの登りのあと、リッジを1~2回懸垂した後、尾根が二手に分かれ、本院岳側の尾根のP1側側壁基部に付けられた鎖を利用して懸垂し、そのままルンゼ内を2~3回懸垂。ルンゼ内ではザイル60m1本ではギリギリの部分もあった。50mロープの場合は適当に降りるとハマるかもしれない。
その後は尾根が広くなり、広大な急傾斜の雪壁となる(灌木はたくさん生えている)。ワカンで蹴り込みながらのクライムダウンも交えてつつ、クライムダウンだけバテてしまうのため懸垂を3発くらい。広大な斜面の中を細い尾根が3本ほど走り、どれが下方に見えるP1 尾根に繋がっているか分かりづらい。幸い視界があったため外すことなく降りることができた。この広い急傾斜の斜面を熊の遊び場というらしい。
なお、山崎さんが昔P1尾根を途中まで登って撤退した際は、この熊の遊び場は一回もザイルを出さずオールアイゼンで降りたという。雪質と量によって全然違うということか。
懸垂する山崎さん、ナベは先行して下って偵察
懸垂
ルンゼの中の支点。
残置で締め付けられていたので残置を切った。黄色スリングを1本残置。
下降したルンゼ。
50mロープ1本だと厳しいかも(その場合はP2寄りに降りると思われる)
熊の遊び場でも懸垂。
クライムダウンもできそうだが長いのでパンプして落ちそう。
広いので、晴れてなければかなりわかりにくいと思う。
このあと明瞭に尾根状になり一安心するがまだ鎖場が出てくるので懸垂。これを終えてもまだ尾根が立っており油断できないが、少し歩くと一気に傾斜が落ち、いままでのデンジャラスゾーンは何だったんだというくらいに平和になる。
やがて登山道は不動沢に入り、右岸のちょっと高度感のあるトラバースを経て左岸に渡ると鏡池・上楠川方分岐となる。左岸をそのまま上楠川方面へと歩くが、堰堤のある沢が流入してきたあたり(標高1000m付近)で道を見失い、やむを得ず一旦右岸に渡渉し少し下ると、堰堤の前に丸木橋が渡っていてピンクテープが対岸の左岸側についている。マジ?
やむを得ず雪のついた丸木橋を渡るがスリップしてドボン。ファック!最後の最後になってこった。山崎さんがスイスイわたってきてしまったのも腹立たしい。腰まで浸かり、すぐ這い上がったためそれほど濡れなかったが、それでも右足が完全に水没した。
左岸には砂防関係と思われる道があり、これを辿ると立派な橋が本流にかかっており、これを渡って右岸に出ると林道。林道を歩きながらグーグルで「戸隠 タクシー」と検索。
アルピコ交通に電話するが「こっちじゃない」「ウチは総務でタクシーはこちらに」とたらいまわしにされたのでキレて長野観光自動車に電話するが全くつながらない。そうこうしている間に上楠川についてしまったので、ナベが引き続き長野観光にコールしている間、山崎さんが目の前の現場事務所みたいなところでタクシー会社の番号を聞いてきてくれたが、その番号にかけると長野観光の本社だった。本社の方にお願いして戸隠営業所の携帯にかけてもらったがつながらないとのことで8.5キロの車道歩き追加…。バスが使えるかもということで県道36号に出て、郵便局近くのバス停の時刻表を見ると、なんと10分後にスキー場方面行きが来る。途中までバス利用できる!戸隠中社までだったが、それでも宝光社からの急な登りをバスでカットできたのは大きい。奥社駐車場でナベが催している間に山崎さんが奇跡のヒッチハイクを決め、ナベがキャンプ場に向かって歩いていると山崎さんが車を回してピックアップしてくれた。
(結局、上楠川公民館~地蔵堂前バス停1.7km、中社バス停~奥社駐車場1.9kmの合計3.6kmを歩いた。バスに乗れていなければ地蔵堂前バス停~中社バス停間の急な坂を含む2.3kmをさらに歩くことになり、ヒッチが成功してなければさらに奥社駐車場~キャンプ場まで1.9km歩きが加わっていた…)
山崎さんは松本に行きたいとのことだったが、ナベの帰りの運転を優先させていただき、帰り道は長野経由。
山崎さんが下山飯として選定したレストラン ルックにて、完☆全☆優☆勝。
【装備】
・60メートルロープ1本
・他、冬山装備。ナベはピッケル1本、山崎さんはマイルドなカーブのバイル2本。スノーバーはほぼ役に立たず。
・結局アイゼンは西岳キレットの登り返しと、P1尾根の登り返しの2か所のみ使用。ほかは全部ワカン。
【幕場】
・五地蔵~一不動間はあまりいいテンバはない。一不動のコルはかなり風が強い。
・1888m~九頭竜山~戸隠山間は地図で見ると細いが、いいテンバがたくさんある。
・八方睨から先は地図通り全体的に稜線が立っており、そこに雪庇が張り出しているためテントが張りにくいが、1~2テンならちょっと探せばいいところがポツポツある。3人以上のテントとなるとちょっと大変かも(結構整地頑張る必要があると思う。本院岳山頂付近は問題なさそう)。
【ポイント】
(ナベ)
・師匠の記録通り、雪庇をかわしつつラッセル(我々の場合は藪こぎ)を楽にするためのルーファイが重要。今回雪庇が小さかったが、大きいと相当なプレッシャーとなると思われる。
・雪の量や質、P1稜のトレースの有無で難易度がかなり変わると思う。今回P1稜で合計10回近く懸垂したが、硬雪でアイゼンが効いたり、トレースがあったりすればほとんど懸垂不要かも知れない。雪が少ないと急峻な草付きとなり懸垂が必要なパターンが増える気がする。捨て縄は3本使用(1本は拾ったスリングを利用)。残置は多いし直掛けができる場合もあるが、捨て縄用に安い切り売りスリングは何本か持って行った方がいい。
・クライミング的には本院岳の岩壁基部トラバース&雪壁の登り、西岳キレット後の登り返し、P1稜の蟻の戸渡り、P1の小ギャップ登り返し部分がポイントとなる。西岳キレットの登り返しが一番激しく厳しいので、ここで登れなければ翌日八方睨から下山することになるし、これを登れればP1稜の登り部分も問題ないと思う。(蟻の戸渡りは怖いし、下降もややこしいけど…)
・タクシーは事前に電話で問い合わせしておかないとダメ。昔紀伊の立会川遡行した時もそうだったが、田舎のタクシーは村に1台だけなんてこともザラ。多分「今日は客が来ないから早じまい」なんてノリなのではないだろうか。歩きの場合も郵便局前からバスを捕まえられるとだいぶ楽なので調べておくといい。その場合も、奥社やスキー場まで運行しているかどうかなど、電話で問い合わせた方がいい。
何でもネットに載っていると思いがちな時代だが、だれかが載せないとネットには載らない。そして田舎では載せる人がいない。
なお、バスは、早い時間帯のバスはスキー場まで、遅い時間帯は中社までのようだが、バスは県道36号を外れて越水旅館街(36号の東の道)を通ってスキー場に向かうため、結局中社から歩くか、スキー場から歩くしかない(なんと奥社にはバス停が無い)。
中社からキャンプ場入り口まで3.9km(若干登りあり)。スキー場からだとキャンプ場入り口まで2.7km(ほぼ下り)。
検索画面。3社あるように見えるが、そもそもアルピコ交通の戸隠営業所にはタクシーは無い(バスの車庫)。
ダイセイH.P.Tは個人タクシーの自宅のようで、HPによると長野市の営業がメインの模様。多分戸隠に呼んだらエライことになる。
そして長野観光自動車戸隠営業所は、昼過ぎから何度電話してもつながらず、営業所前を歩いた際には、無人の営業所の脇にセダンタイプとバンタイプのタクシーが各1台が鎮座していた(まだ17時ごろだぜ…)。
(山崎)
・五地蔵南東尾根から戸隠山にかけての登山道には道標テープ全くなし。(尾根線を歩くだけなのでほとんど迷うことはないが)
・逆にP1尾根の下りではテープがたくさんついているが、判断に迷うところでは少ない。視界がないと相当苦労するだろう。
・登山道は尾根線にあるため、藪を切り払ったナタ目が尾根と雪庇の境界を示すガイドとして使える。地形的に登山道が尾根から外れる場合にも有力な判断材料になる。
・P1尾根の下りを考えるとザイルは60m。西岳の登攀だけなら50mで安全地帯のブッシュに届く。
<雑感>
(ナベ)
年末年始にコロナでダウンしての復帰第一線としてはヘビー過ぎた。太ももが攣ったのは初めて。まあでもいい山登りができた。
ホワイトアウトの中P1尾根下ったスー師匠マジ半端ねえ。
(色んな山を、登れば登るほど、「昔の人は強かった」という感想しか出てこない)
(山崎)
われわれが「戸隠師匠」の尊称を捧げるスー氏。
氏の導きで今回の山行は成ったといって過言ではない。
戸隠、という方向性は早めに決まっていた。
もともと好きな山域だし、昨年の戸隠P5は素晴らしく、こわ楽しいルートだった。
今回は主稜線を縦走したいとぼんやり考えていたが、主稜に上がる支稜がどれもこれも急峻でP1、八方睨み、五地蔵ぐらいしかない。
うち八方睨みは2021年にナベリーダーが登っており、もう行きたくないと主張。
むう。と詰まったところでスー氏の記録。縦走したいなら、八方睨みを使わずに五地蔵からP1尾根まで縦走してしまえばいいじゃないか。
行程の長さからその発想は浮かんでなかったが、単独で全装担いで突破した人がいるのだ。
われわれだってできるに違いない。
氏に勇気と記録をもらったおかげで今回の山行は成功した。
ただただ感謝。
写真で見ると藪っぽい戸隠の主稜線(いや、実際に歩いても藪だらけだが)。
高所と低山の境目という微妙で総合力を試される貴重な領域だと思う。
山としての魅力は言うまでもないが、常に豪雪と対峙する可能性を考えなければならない日本の冬山のテストピースとして申し分ない山域だと思う。
ただし今年のコンディションはずいぶんとよい方寄り。状況によっては八方睨みからザイルべた貼りで顔を引きつらせながらエスケープする可能性も十分あった。