■北海道/利尻島 利尻山仙法志二稜[雪稜]

2023/4/8(土)~4/10(月) 山崎(記録)、伊佐見


2023/4/8(土) 曇り一時晴れ

稚内5:30-6:55→鴛泊8:35→栞橋9:00→1130mコル13:50→仙法志JP1340mの先にて泊15:20

 

稚内発鴛泊行きフェリーから降り、バスの運ちゃんに「長浜までいくら?」と聞いていると、「タクシーに同乗しませんか」というありがたい申し出。

札幌勤労者山岳会の方々で、西壁に入るそう。

栞橋ではどうしてもタクシー代を受け取ってくれず、「来年行きたいので記録を出して下さい」とおっしゃるのみ。ありがとうございました(さっそく書きました)。

 

沢沿いに歩き出してすぐに雪があらわれる。終始くるぶしぐらいまでの深さ。ときおり踏み抜くのを嫌っていくつか目の堰堤から林道にはいり、280m付近でまた沢に戻る。

エスケープルンゼから稜に入る。

ルンゼ右岸には大きな氷柱があって、落氷と落石がばんばん落ちてくるので慌てて左岸側に退避。

1130mコルは斜め×石がごろごろしていて泊には不適と思える(雪が多いと使えるのかも)。

尾根の反対側に下り、樹林の雪壁を越えて急なルンゼを登る。

どん詰まりは立った岩が出てくるので、左から尾根筋に上がる。ここも雪の状態では苦労しそう。

そこから先は尾根通しに登るが、低いダケカンバとハイ松の藪が鬱陶しい。北大出身会員のヤブ強さの理由がよく分かった。

ジャンクションピークの先で雪稜を削って幕。

 

ルンゼどん詰まり


2023/4/9(日) 曇り一時晴れ

出発5:40→第一ギャップ6:30→ハイマツピーク7:15→第二ギャップ8:30→ローソク岩とのコル9:30→P2 11:00→バットレス手前P1の肩13:00

 

強風でテントがあおられ、準備に難渋する。だが、こんなものは強風でもなんでもなかったことに翌日気づかされるのだが。

本日はそんなに藪もうるさくなく、また予報が外れたのか行動中の風も弱めで調子よく進めた。

第一ギャップの下降点は直径10㎝ほどの枯れた切り株にシュリンゲをかけたものでなかなかスリリング。懸垂20m

小屏風は左の5mほどのなかなか渋い垂壁を登り、40m延ばしてローソク岩付け根の懸垂支点まで。支点はリングボルトと重ね打ちハーケン。

そこからマオヤニ沢源頭に25m下降し、雪壁上部をトラバースして南稜P2手前に登り返す(マオヤニキレットは巻いた)。

P2の下降点は突端を掘り起こせば出てくる。2P目の下降は細いリッジをたどるので、強風時には注意が要りそう。

P1は1Pルンゼから右のフェース、2P頭上のリッジを登り、左の雪面をトラバース。

まだまだ時間はあったが、バットレスのコンディション(早朝取り付きで岩が安定するのを期待)を優先して行動中止。

バットレスのコルを見下ろす雪面を削って泊。2~3人テントでちょうど。

 

 

 

第一ギャップの下降点

 

小屏風

 

 

バットレス


2023/4/10(月) 終日ガス強風

出発5:30→北峰11:50→長官小屋16:30→鴛泊17:25(フェリー)→稚内19:10

 

いよいよ核心のバットレスに取り付き。

コルから一段上がり、残置のリングボルトでビレイ。

 

P目35m 右の立った壁を危ういバランスで登る。軽量化したとはいえ荷物を背負った状態でじりじりと高度を上げていく。脆いという過去の記録を参考に早朝取り付きにしたのが功を奏し、岩はアックスをかけても安定している。

トライカムが大活躍(残置ハーケン1)。上部を左に回り込んで立木でビレイ。

P目30m ガリーから小さな雪稜に入り、10mほどの立った壁を登る。中間に支点が取れないので怖い。

P目20m ルンゼ状凹角

P目30m 小リッジからブッシュの生えた小ルンゼ。

 

細い稜線を南峰へ。ガスで視界はほとんどなし。

頂稜に入る頃から風がうなりを上げるほど強くなり、北側斜面では烈風になる。

風は長官山付近でピークに達し、立ってられずに膝で這って移動するシーンも。

下降時スリップして転げ落ちるやら、登山道を外してルンゼに入り、大汗をかいて復帰するやら、自分的登山史上最悪の下山となった。

ガスに叩かれてびしょ濡れになった身体を鞭打って駆け下り、出航5分前のアナウンスが響くフェリー乗り場に飛び込んだ。

 

バットレス1P目


【追記】


この後観光で襟裳岬まで行って強風体験コーナーで風速25mを体験したが、長官山の風はもっと強く30m~35mはあったのではないだろうか。

なお、下山後の16日に麓の沓形(標高14m)で瞬間最大風速31.5mを記録しているので、まだまだ本当の強風は体験していないということになる。

 

今回は天候にも恵まれて利尻仙法志の素晴らしいロケーションと登攀を堪能できたが、いったん荒れるととんでもないことになることも実感できた。

上部の岩稜はこの時期でも(ほぼ)安定していてしょっぱいクライミングが楽しめた。これを上回るバリエーションはなかなか出てこないと思う。

 

移動は新千歳まで飛行機、札幌から稚内まで夜行バス。夜行バスは早朝のフェリーに接続するので、午前中には行動開始可能。

さらに早立ちを目指すなら札幌丘珠空港から利尻島への航空便もあり(高い)。


 

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