【山域】南ア南部 天竜川水系遠山川支流北又沢葡萄沢
【ルート】葡萄沢クレーター沢遡行〜コスマ沢左岸尾根下降
【日程】2023年8月27日(夜行日帰り)
【メンバー】ナベ、イデ(写真は但し書きなければナベ)
【形態】沢登り
奥美濃の海ノ溝谷に行こうという話をしていたが、まあまあ雨が降る模様でさすがに泳ぎの沢はやめとこうとなり、転進先を探す。
谷川のほうが天気が良さそうだったが、せっかくの土曜夕方発なので遠くに行こうということになり、先日下降した葡萄沢支流のクレーター沢を登ることにした(御池山クレーターのど真ん中を流れる沢なので勝手に命名。本当は葡萄沢中俣または左俣だろう)
【ナベ記録】
8/26 曇り時々雨
18時に池袋を出て、下栗の里に着いたのが2330位だった。途中スーパーで買い出ししたりしたとはいえ、遠いし渋滞がキツイ。
深夜、下栗の里駐車場で前泊させてもらい、一杯飲む。途中結構雨が降ったが、前3日降ってないのでこの程度では増水しないだろう。
8/27 晴れ後にわか雨
07:00 北又沢沿いの林道脇駐車スペース出発→07:25葡萄沢出合→08:50葡萄沢・クレーター沢二俣→10:40大滝下→11:50大滝上→12:15標高1439m二等三角点付近→13:30エコーライン→14:00コスマ沢左岸尾根下降開始→14:40標高1489m二等三角点付近→16:00葡萄沢出合→16:20駐車場
明るくなると、割とすぐ近くにロッジがあった。昨日飲みながら若干大声で笑ったりしたのは不味かったなと反省。
北又沢の橋を渡ってすぐの所に駐車。北又沢沿いの林道は色々工事しているが今日は休工。
イカついコスマ沢の堰堤を見送って葡萄沢出合。
葡萄沢の下部ゴルジュは前回来ているので簡単と思ったが、ちょっと攻めたライン採用したら思ったより難しかったりして、あまり華麗には登れなかった。
以下、葡萄沢下部ゴルジュ詳細。
F1 3m 右手のバンド状から。簡単。
F2 5m 右岸から小さく巻くが、滝の落ち口に降りる部分が危ない。フリーで行ってしまったが懸垂すべきだったかも。お助け紐があると楽だろう。折れ曲がりながら流れてくる横に長い小滝の連瀑を挟んでF3。
F3 20m 前回は左岸からちょっと大きく巻いたところ。今回は落ち口まで続いている左岸のバンドを使ったが、バンドに上がるまでがちょっと悪かった。
F4 6m 前回は右岸の大木目掛けて根っこを使って登ったら根腐れ部分が結構あって怖かったところ。今回は滝右の岩を登ってトラバースを掛けれないか試みたが無理で、そのまま左岸から巻いたが結構悪かった。ロープを出して前回同様大木目掛けて右岸巻き気味に登るのが良いと思う。
F5 4m 水流左の凹角を簡単に登る。
F6 3m 右壁にホールドがつながっており簡単。右手から支流が入り、わずかなナメを挟んでF7 。
F7 15m 釜を渡渉して奥のルンゼから右岸を巻いて、滝の途中に出て水流を登る。釜を持つ小滝を越えて沢が屈曲して、両岸がブッ立つが特に何もなく、わずかなゴーロ歩きでF8。
F8 両門の滝 前回は本流の左手の土手を上がったが、今回は本流の右壁から。簡単。
左の支流は奥に明るく開けたスラブ滝が見え立派。地図で確認できる流域面積の割に水量が多く、目測で本流と2:1くらいか。こっちが左俣でクレーター沢は中俣、本流は右俣と言ってもいいかも知れない。
※本流の写真は下記ページ参照。
南アルプス南部/遠山川支流・北又沢・葡萄沢右俣遡行〜左俣(仮称:クレーター沢)下降[沢]
南アルプス/遠山川北又沢葡萄沢右俣遡行→左俣(クレーター沢)下降
南ア/遠山川支流北又沢葡萄沢左俣(仮称クレーター沢)遡行~コスマ沢左岸尾根下降
少しの歩きでクレーター沢との二俣。
こちらも水量はおおよそ2:1くらいか。左のクレーター沢に入る。
出だしから即シャワークライミング。ワイド状を右差しで水圧浴びながらというマニアックな内容から始まり、以降数え切れない滝をほぼほぼシャワークライミング又は水線横登りで登れる。メチャクチャ楽しい。以下詳細。あんまり正確ではないと思う。
F1 2段5m
1段目は簡単。2段目は2条。左の水流をシャワー浴びながらチムニー登り
(1・2枚目 イデ写真)
F2 10m斜瀑
傾斜強く左岸から小さく巻く。
F3 3m斜瀑 右壁を簡単に登る。
連続する小さなナメ滝を挟んでF4
F4 5m斜瀑
水流右の凹角を登る。
F5 5mCS滝
右手のCSめがけて登る。激シャワー。(イデ写真)
倒木の塊を越えてF6。
F6 3m斜瀑 覚えてないが簡単だったはず。
F7 多段20mナメ滝
ナメ滝が連続。水流左の岩を登るが若干ヌメっている。
最後の段だけ水流に入りシャワークライム。
F8 15m斜瀑
水流左寄りをシャワークライムで突破(イデ写真)
F8の上は小さなナメ滝が大量に出てきて滝の数を数えられなくなってくる。
F9 3m直瀑 左壁を登る。
F10 二条7m
右の水流を登る。(イデ写真)
右手から入る支沢を見送り、倒木を越えてF11
F11 2段7m 水流左の岩を登る。
左手からガレルンゼ流入するのを見送り、多数の小ナメ滝を越えてF12
F12 20m斜瀑トイ状
トイ状を登る。
F12を越えるとちょっと傾斜が緩んで小ナメ滝の連続となり、やがてF13大滝が見えてくる。(イデ写真)
F13 3段60m両門(イデ写真)
3段目(5m)
水流左をロープ無しで登る。シャワークライム。(イデ写真)
2段目(15m)
ロープ付けてイデが水流右をリード。
カムを一発決めたあと、ハーケンと気休めのペッカーを打って傾斜の強い部分を越えてフリーで登る。
Ⅳ+くらいか。プロテクションが悪い。二人共荷揚げ。
1段目(40m両門)
1P目 ナベ 35m Ⅳ-
クライミングシューズに履き替えてトライ。右から来る支流に入ってトラバースかけて本流に入るのがウイークポイントに見えるが、楽しそうなのでストロングポイントを攻める。
水流左のクラックを辿り、行き詰まったところでハーケン決めて流芯に向かって右トラバース。オブザベした通りホールドはある。流芯右に出てシャワーを浴びながらカムを決めて一安心。オブザベした感じだとここから流芯を左上できそうだったが、思ったより傾斜があるのと水圧で苦しいので、下からは見えなかった右手に進む。途中までは下向きのクラックがあるが、やがてカンテで途切れるので、ハーケン決めてエイやで乗り越すと、都合のいい凹状があった。ラッキー!凹角に沿って登った後、左に出て水流を登る。もう落ち口が見えているがロープが重く、落ち口直下のスラブは厳しそうなので左岸の立木に向かってトラバースし、ビレイ。
(1枚目イデ写真)
2P目 5m+5m Ⅲ イデ
左岸の立木伝いに落ち口へ。
さらに5mほど伸ばして左岸の立木でビレイ。
※大滝動画
いやー、まさかこんなに上手くいくとは。大滝を足元にして満足感に浸るが、まだこの先も滝が続く。
F14 6m斜瀑クラゲ状
右寄りからシャワークライムで左トラバースして突破。
F14 を越えると、赤→白→黒と岩の色が変化しながらナメ滝が続く。
F15 2段6m斜瀑 林業と思われるワイヤーが右手にあるが無視して登る。
1429mの二等三角点でようやく川原が出てきて休止。
ここは前回の下降時に幕営したところで、焚き火の跡がそのまんま残っていた。
ここからは沢が落着き、手を使わなくていいナメ滝みたいなのを次々と登る。
徐々にガレてきたがまだ沢登り感がある。
1670mあたりでハング滝が出てきてこれは右岸から巻いた。
(クレーター沢で巻いたのはこれとF2だけだったと思う)
これを越えるとガレの方が優勢となってきたので、標高1650mあたりでちょうどいい尾根が下りてきたのでこれに乗り、鹿の踏み跡を辿ったりして標高差約150メートルの詰めでエコーラインに出て遡行終了。
まあまあ疲れた。この後、記録の無い尾根の下降か…とちょっとブルー。
イデヤンがヒッチを試みるが、まあ下半身ウエットタイツの怪しい二人組だからな…1台通ったがスルー。
仕方ないのでさっさと下降開始。
出だしが急かつ分かりにくい。スマホGPS様様だ。突然強い雨が降り始めて気が滅入るが、すぐ雨脚は弱まった。急な部分を終えると、下草の生えていない樹林帯は特段問題なく、5分に1回スマホを確認しながら慎重に下る。途中放棄された植林帯の下草がちょっと鬱陶しい部分もあったが、標高1200mくらいから管理された植林帯となり快適に飛ばす。尾根下部はかなり急で、毎度のことだが「ここに植林したのか」と驚かされる。最後は葡萄沢出合に向かって降りるが、雨のためにヒルが活性化したのであろう、葡萄沢出合いに落ちていく支沢の下降でヒルに集られ、河原で5匹ほど轢殺。車に戻って再度ヒルチェックして乗車。
いやーいい沢やれたね、と勝利の余韻に浸りながら、下栗の里で缶コーヒーをキメ、飯田に出てイデが検索した「満津田食堂」に入店。
お品書きを見ると、上かつ定食に「特大とんかつ」と記載があったので二人ともそれに。
イデはご飯大盛。
やってきたイデのお盆には日本昔話みたいな特盛ご飯が…このご飯の量は「超多いです」とか書いておいてくれないと危険なレベル。カツは美味しかったが、イデは途中から苦悶の表情を浮かべはじめ、ナベがヘルプに入るも途中でギブアップ、イデが最後なんとか平らげた。
イデ「もう安易に大盛り頼まないようにします」
食べる前のイデ/食べ終えた後のイデ。左写真のご飯の盛りが良すぎる。
※ちなみにイデは、ここに来るまでにコンビニを見て「とりあえず小腹を満たしましょう!」とか叫んでた。それやってたら敗退だったな…
小仏で渋滞にハマり、終電が怪しくなったのでイデ宅まで送って解散。
【イデ記録】
当初、海ノ溝谷を予定していたが、予報を見ると雨がちょっと心配で、6時間かけて行ったのに空ぶったら悲しすぎるということで、ナベさん提案の葡萄沢へ転進。
シーズン2本目だし、記録も無いし、右俣行ってないのでよく分からんから色々と心配だったけど、まぁ住めば都行けば良渓ということでとりあえず行ってみることにした。
しかし葡萄沢もまぁまぁ遠いので運転がなかなか大変だった。
現地は東京の蒸し暑さとは全く異なり肌寒いくらいで秋の訪れを感じつつ、久しぶりの前泊でウキウキしながら一杯飲んだ。
翌朝は若干残った酒を感じ、やべー登れるかなと思いつつもサクッと入渓。
記録の写真より明るくていい感じ。
アプローチでは小石に赤い石が混じっている箇所があり若干赤石沢のような気配もあった。
この辺はクレーター跡とのことで地形や地層に特徴があるらしい、詳しいことは知らんけど。
葡萄沢はとにかく滝が多かった。ほとんど登れる滝なので楽しいけど、多すぎてだんだんつらくなってくる。最近は全然山に入れてないので体力不足なだけかもだけど。。。
テンポよく登っていき、何度もシャワークライミングを満喫し、大滝まで登り詰めていく。
大滝は3段70mくらいだろうか。3段目は特に問題なく上がれて、2段目は寝ているものの若干ホールドが乏しいように見え、空荷でロープを引いて登った。1段目はなかなか迫力がある。大滝を思いっきりシャワークライミングするプレッシャーがヤバい。今季調子の良いナベさんが激しく光ったピッチ。ロープを握ったままいい写真を撮り僕の仕事は果たした。
大滝が終わってからも滝の連打は緩まない。
クタクタになるぜー。
1439mを超えてしばらく行ってから水量が少なくなってきたところで尾根に上がり詰める。
沢は楽しいけど詰めはあまり好きになれないなと思いつつも頑張って林道まで上がる。
もう体力が、、と思いヒッチハイクを試みるも世間の世知辛さを思い知らされ、やむを得ず1785手前からコマス沢北東の尾根を下山する。
出だしがかなり急峻なので要注意。結構ドキドキした。
途中からは傾斜が緩み植林ゾーンに入るが、所々急峻で気が抜けない。
最後は入渓地点付近の沢筋に降りて終了。
ヒルは3,4匹くらいゲット。
終わってみると非常に内容の濃い沢で面白かったし、下山もうまくいってよかった。翌日は全身余すところなく筋肉痛になり、珍しく沢で前腕が筋肉痛になったことからも登攀系の沢といって良いだろう。
【使用ギア】
・50mザイル2本(結果として1本で良かった、40でもいいかも)
・カムマイクロサイズ〜キャメ1番(丁度良かったが、大滝ではナッツが欲しい場面もあった)
・ハーケン(長短とりまぜ5本位あれば十分か)
・クライミングシューズ(大滝で有効)
・足回りは二人共モンベルの沢靴(アクアグリッパー)。基本的にバチ決まりだが、葡萄沢本流に比べると若干ヌメるところがあった。
・二人共下半身はウエットスーツ、上半身は沢用ウェア+土方ヤッケ+カッパ。曇りの日などはウェット上もあったほうがいいかも。
【テクニカルコメント】
こんなにシャワーで楽しく登れる沢はなかなか無いと思う。夏にオススメの沢。逆に春秋は寒くて仕方ないと思う。遠いのはいずれ三遠南信自動車道が解決してくれるかも?
【遡行概念図】