■丹沢/水無川戸沢山荘前定着無雪期訓練2011

2011.11.12
鮎島、治田、渡辺、高橋、田中、大部、武井、伊佐見、奥村、佐藤、関口、荒井、小坂、中館、亀田、金井、吉田

集合写真

行動概念図
【行動概要】
8:00 水無川戸沢山荘前駐車広場集合・代表訓示・CL訓示
8:15 ロープのたたみ方確認
8:30 コール確認
8:50 班分けロープ畳みタイムトライアル
9:15 班別実践訓練
      1班:水無川源次郎沢
       (治田、奥村、佐藤、吉田)
      2班:水無川セドノ沢左俣
       (渡辺、伊佐見、関口、金井)
      3班:水無川モミソ沢
       (高橋、武井、荒井、亀田)
      4班:水無川新茅の沢
       (田中、大部、小坂、中館)
15:45 再集合・各班の報告
16:00 搬出
16:15 解散⇒宴会へ

※班別の訓練メニューは下記のとおり
 0.必ず班全員でどのような行動計画にするか話し合う
 1.必ず班全員で個人装備を確認する
 2.必ず全員がなるべく残置物を使わずにリードする
 3.必ず全員がセカンドのビレーをする
 4.必ず全員がフォローする
 5.必ず全員がFIX支点を作成する
 6.必ず全員がFIX通過をする(ユマーリング)
 7.必ず全員が荷上げをする
 8.声・ゼスチャーを使わなくても意志伝達できるようにする
 9.必ず全員が懸垂下降支点をセットする
 10.必ず全員が一番最初に懸垂下降をする
 11.必ず全員が懸垂下降で登りかえしをする


【はじめに】
 今回のメニューのコンセプトを下記七つに設定した。

@「ロープを畳むことだけに関しては他の誰にも負けねぇす」と山登魂の誰もが自負できるようになる。
A「ヤマトとロープを組むときは、姿が見えなくても、声が聞こえなくてもビレイ解除とかの意思伝達はできるよ」って山登魂の誰もが言えるようになる。
B「ハーケン?ナッツ?カム?…あぁ、すべて使えるし、回収できるよ。当たり前じゃん」って山登魂の誰もが言えるようになる。
C「リードっすか?まぁ、簡単なところなら…もちろんフォローのビレイも自信はありますぜ」って山登魂の誰もが言えるようになる。
D「トップさえ登ってくれれば、どんなところでもあとはユマールでついていきますよ」って山登魂の誰もが言えるようになる。
E「懸垂下降の支点は自分に作らせてください。そんでもって、責任もって最初に下ります!」って山登魂の誰もが言えるようになる。
F「荷上げ、頑張っちゃうよ!まぁ、楽して荷上げできる方法も知ってるし…」って山登魂の誰もが言えるようになる。

 この背景には、リーダーをする人が固定化し、行くメンバーも固定化つつある現状を憂慮していたことがある。
 リーダー層とそれ以外…。どこの山岳会でもおそらく、そうなっていることだろう。したがって当会でも、しょうがない状況にあるのかもしれないが、最低限のことは誰もができることを確認しあうこと、誰と組んでも大丈夫だと皆が思うことはとても重要であり、会山行として取り組むに値すると考えたのだ。従前だとレスキュー訓練を行っていたが、そんな年に1度使うか使わないかわからない技術をするよりは、山でバリエーション登山を実践すると標榜する山岳会に所属するものにおいて、誰もが抑えておくべき基礎中の基礎を行い、それを会員全員が主体的になって訓練に望むことを目標に、今回の会山行をどうすればよいか、考えたわけである。

 しかし、誰もが知っておくべき技術をやるというのは、ダレが予想される。そこで、少人数・不確定・主体性という3つのキーワードに下記のとおりに実施要綱を定めた。

@少人数の班行動で実践トレーニングを実施。また、各班の役割分担を明確に
…最低限の共通事項の確認をした後は、4人×4班+1(統括リーダー)に分かれて、各沢にて実践的に行う。また、班の各メンバーには、リーダー・サブリーダー・ML報告係・集合時報告係と各人への役割分担を明確にする。
A班分けはメンバーを固定せず、リーダーも現地で決める。
…基礎中の基礎を行うので、リーダーを固定する必要はない。そこで、「ロープを畳む正確さ・スピードは山の実力に比例する」という鮎島理論に基づき、この結果で班分けをし、各班のリーダーを決める。つまりは、誰もがリーダーになる可能性がある。
B各班の訓練場所・訓練方法は各班で主体的に決める。
…班分け後の行動は、
(A)事前に行動計画を統括リーダーに連絡する。
(B)最低限のメニュー必須項目(※下記)をこなす。
(C)事故がないように心がける。
(D)再集合時間までに帰ってくる。
上記4つを最低条件に、具体的な行動計画は各班のリーダー・サブリーダーを中心に考え、実践してもらう。

 すなわち上記要綱では、誰もがリーダーになる可能性があり、かつリーダー・サブリーダーが主体となって訓練場所・方法を考えてもらう必要がある。
 そこで事前に宿題として、誰がリーダーになっても困らないように、訓練場所と具体的な訓練手順についてあらかじめ予習してくるように定め、訓練に参加する各自の自主性に期待した。


【反省】
 個人的には、基礎的なことをした割には、それなりの訓練ができたのだと思う。それは班分けにしたこと、それに皆さんが、自発的に率先して訓練を真面目に取り組んでくれた結果だと考えている。
 また、今回、班分けを「ロープをたたむスピード」をそれぞれ計測し、その順番で振り分けるというある意味「冒険的な手法」を試した。結果は、今後も、このようにやってもいいのかなと思うほど妥当なものになったと考えている。
 ただ、今年は基礎中の基礎のみしかできなかったため、来年はしっかりとレスキュー訓練を中心にしてみたいと思う。

(記:鮎島)


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