■越後三山周辺/佐梨川奥壁「赤岩スラブ」第一スラブ[登攀]

2019年5月25日 11:40駒の湯発~12:30桑の木沢出会~13:30山の神~14:50金山台地

2019年5月26日 06:00金山台地発~06:15赤岩第1スラブ取り付き~08:30大バンド上~10:00支尾根~10:30家の串尾根~12:30金山台地帰着~13:00台地発~15:20駒の湯

ナベ(記録)、高橋


2019年5月25日

11:40駒の湯発~12:30桑の木沢出会~13:30山の神~14:50金山台地

 

早朝、高橋車にピックアップしてもらい、下道で練馬インターに出て関越道で小出。インター出てすぐのコンビニで買い物し、駒の湯へ。

駒の湯から、所々雪渓の残骸がある林道を桑の木沢出会まで歩く。大チョーナ沢出会いまでは車入れそうだが、30分も変わらないだろう。ワンデイで金山沢奥壁を抜けて駒の小屋を目指す場合は、桑の木沢出会いまでヘッドランプで歩き、ここから日が出るような感じがベストだろう。

 

ここからは踏み跡が桑の木沢右岸に伸びているが、高橋さんが「前来たときに沢行った方が早いと思った」ということで桑の木沢を遡行。今回は中途半端な雪渓が若干邪魔な程度で残っていた。もっと残っていたら楽だった?

 

雪渓を抜けると左岸が岩壁になるが、そこを抜けて豆腐のような岩でできた小滝を抜けると踏み跡の渡渉点。少し先が、短いが両岸岩の門状になっているのも目印になる。

左岸からテープやペンキを目印につづらおりに上がっていく。途中の岩には、刈払いを行っている地元山岳会のペイントがあった。やがて山の神。太い松の木が神々しい。

 

ここからしばらくはトラバース気味の登りで、やがて水平気味になってくると赤岩スラブ。鉱山道は、雪が残っていたらかなり怖い。今回は一カ所だけ残っていた。枯れた下草が岩や泥に載っていて、いかにも滑りそうで気持ち悪い。

 

赤岩第一スラブのすぐ先が広場で、水場も近くいいテント場だが、今回は中途半端に残った雪がじゃま。

さらに鉱山道を進み、さらに一カ所水場を越えると金山台地で、ここに懸垂支点がある。今回は雪渓が残っていたがテントを張る余地は十分あった。

 

対岸の金山沢奥壁を眺めながら、あのラインはどうだ、このラインはああだと無責任に評論しながら飲む酒は旨かった。

今年はまだ5月であるが雪渓は若干少な目のようで、金山沢奥壁第三スラブの取り付き(第二スラブの右下)は、右上するバンド状の下に、薄かぶりのフレークが露出しており、出だしが輪をかけて難しそうだ。

第四スラブも一番容易そうな滝身周辺はシュルンドが開いており、第三スラブとの間のリッジあたりは雪渓と接していたので、リッジから右上して取り付くラインならば登れるかもしれない。まあ、こんな事は明日あっちに取り付かないから言えることだが‥‥

 

虫除けに、小さな焚き火を起こした。枯れた下草には、要注意。

 

桑の木沢・鉱山道入り口。右後ろから踏み跡に入る。

少し先の両門状と、写真には無いが手前の豆腐状巨岩にて構成された小滝がポイント。

 

鉱山道・赤岩第3スラブ付近。足滑らせたら死にます。

 

赤岩第1スラブ全景。

 

洞窟のあるのが金山沢第四スラブ。

その左に金山沢奥壁第二スラブ下部(の右側)が展開している。

通常は2スラから右上し3スラの洞窟を目指す。

 

3スラ・4スラ全景。

4スラは取り付いてさえしまえば、奥壁以外は問題なさそう。

中間リッジも登れそうだが・・・・。


2019年5月26日

06:00金山台地発~06:15赤岩第1スラブ取り付き~08:30大バンド上~10:00支尾根~10:30家の串尾根~12:30金山台地帰着~13:00台地発~15:20駒の湯

 

テントをたたんでから、電ドリ講習会。

岩が硬いのが唯一の救いという金山沢だが、振動ドリルにはそれほど硬くない。

予習を済ませてから、水流の左、第1スラブのペイントあたりから直上。

ルートは取り立てて記述するほどでもなく、簡単。ただしほとんどクラックが無くカムが入らない。短めのハーケンが有効。ナッツキーで掘り出した流水構にカムきまった。

それと、水流の上部にあった雪渓が崩壊してバラバラになりながら小尾根を超えてビレイしている高橋さんに向かっていった時はマジビビった。この日、気温が高かったこともあり、何度も雪渓が崩壊。ほとんどは水流沿いでの崩壊で、下が滝になっているので派手に落ちていく。

50メートルロープダブルで登っていくが、長さが合っていなくて鬱陶しい。明らかにテンドンのロープは短い。通販サイトによると、テンドンが短いのではなく他社が長いとのことだが、現場的にはそれじゃ困るわけで。

 

ロープ残り10メートルになってからリスを探してビレイ点作って、を4回繰り返すと大バンド。途中、一カ所だけ、ビレイ点が作れずボルトをぶち込む。今回持参したのはウェッジアンカーのユニカ・ビッグワンステンレス10ミリとクライミング用ハンガーなので、本ちゃんとしては不必要な強度がある。

 

なお、赤岩第1スラブの右脇の「広場」から、第一スラブ右のリッジ基部を経由してこの大バンドに向かってピンクテープがついており、どうやらこのピンクテープは大バンドを横断し、左に渡った後、そのまま上に続いて、家の串尾根まで続いているようだ。

 

大バンドから藪っぽい岩リッジをさらに2ピッチ伸ばして支尾根に出ると、やはり刈り払いがあった。

とりあえず刈り払いを辿って家の串尾根まで上がると、どうやら刈り払いは郡界尾根へ続いている。ほぼ間違いなく、ペイントにあった地元山岳会の手による事業であろうが、まさか、駒ヶ岳まで伸ばす気なのか?だとしたら、超ビッグプロジェクトだ。何しろ今いる斜面が両手離せない。そんなところで刈払いしなきゃならないわけで‥‥

 

下降しようとしていた家の串尾根は藪が薄く、目の前に小ピークが見え現在地も同定できたが、かったるいので踏み跡を広場まで戻ることに。

しかし、途中の岩場(赤岩第一スラブの左側のリッジ)で、高橋さんの足まわりがフェルトタビということで厳しくなり、4回くらいボルトラッペルで基部へ。

 

金山台地に帰ってパッキングし、下山開始。

登りでも怖かったが下りはより怖い。枯れた草が滑りそうで本当に嫌。実は一度、第三スラブの先あたりでズルっと逝きかけた。後ろで見ていた高橋さんからも悲鳴。二人でわーわー言いながらなおも下山していると、今横断したばかりのルンゼ上部から雪渓が落ちてきたりして、次第に口数が少なくなった。

山の神についたときは本当にほっとした。

桑の木沢は雪渓下りでスリップするおそれがあったので右岸の踏み跡を辿ったが、これも歩きにくかった。

 

駒の湯のヌルさにはびっくりしたが、まあこれはこれで。

飯屋は中休みに入っており、Googleに通し営業をしている食堂を探してもらい、小出の街の柳家食堂で腹を満たし帰京。

 

赤岩第一スラブをフォローする高橋さん。

 

素晴らしい大伽藍(第一スラブ右岸を下降中)。

 

ラッペルする高橋さん。


【クライミングメモ】

1.岩スラブは日陰側だし岩も固く快適。

ただし、おそらく第二・第三スラブにも言えることだと思うが、クラックはほぼない。短めの薄刃ハーケンが有効。

雪渓崩壊が怖いので、雪が消えた6月中盤~10月が登攀適期か。日陰側なので晩秋ともなれば寒いと思う。

 

2.赤岩第一スラブは非常に簡単で、家の串尾根に上がる踏み跡を利用すれば下降もラク。

第三スラブも非常にすっきりしており、下部から継続したら充実しそう。藪を無理やりラッペルして、登りながらビレイ点整備して、帰りは同ルート下降すれば相当楽しめると思うので、暇なときにやってもいいかな?しかし何度も鉱山道歩いていたらそのうち逝きそう。

 

3.第二スラブは別次元に見えた。なぜか第二スラブだけ逆層で、めちゃくちゃ悪そう。さすがガイチ様グレード5級…(同じガイチ様の波勝崎赤壁では死ぬかと思いました…)

 

【金山沢奥壁偵察メモ】

1.タクティクスとして、案1は、駒の湯を3時半とかに出て、7時位に取り付いて、その日の内に駒の小屋まで行く。

案2は、12時くらいに登り始めて、15時過ぎくらいに金山台地に着いて、ツェルト張ってビバーク。翌日4時に出てその日の内に駒の小屋ないし下山という手もある。

この場合、壁に充てられる時間が多くなるのがメリットだが、金山台地に雪があると、マットは全身用でないとつらいので荷物がかさばる可能性あり。

 

2.今回は金山沢の雪渓は若干少なく、第三スラブ右下は5メートル位余計に登らなければならず、第四スラブも取り付けなさそうだった。

第三~第四スラブ感のリッジは取り付けそうだったので、これを登って四スラに出れそうではあったが?

今年の場合は、もう一週間早いのがベスト。

思いっきり日が当たるので水場は2リットルくらい要りそう。郡界尾根へ上がれば、オツルミズの支沢から汲めるようだ。

 

3.各種記録を読み返すと、どのスラブも上部壁をすっきり登ることはできないようで、一番まともなのが3スラの藪と岩のミックスのようだ。

4スラから中央バンドをトラバースして、ダイレクトスラブ経由で3スラに出れば、A0・あぶみの世話にはならずに済む?

それかいっそ、4スラの上部壁をボルト連打で登ってフリー化?その場合は二年越し?何度もあんなとこ行きたくねーなー…。


 

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