■奥秩父/荒川水系/浦山川支流大久保谷下部「障子岩の滝ゴルジュ」[沢]

2020年6月21日(日)天気:小雨 ナベ、イサミ


09:00駐車場発→09:30大崩壊地→09:40ネイチャーランド浦山→09:55入渓(人工の滝上) →10:40障子岩の滝ゴルジュF1手前→11:30F1右下のバンド→12:25戻って高巻きに入る→13:25沢復帰(F4上) ~偵察~13:50遡行再開→14:00大釜滝→14:15支流出合(上陸) →15:15ごろ駐車場


入間市駅でイサミに拾ってもらう。生憎の天気。てか、先週もそうだし、前に入間市で拾ってもらったときも雨だったなあ…

 

秩父さくら湖左岸道路は通行止め。右岸側の道からネイチャーランドを目指すが、右岸の道から曲がるところのゲートが閉ざされていた。少し進んだところに三台分くらいの駐車場があり駐車。約2キロの林道歩きでネイチャーランドへ。この林道は、一部崩落だが、ジムニーとかなら行けそう(ゲートは無施錠)。

大橋を渡ってネイチャーランドまであと少しというところで大規模な崩壊があり、道路が完璧に埋まっている。というか、人とかが埋まっていないか心配になるレベル。

 

イサミ「これ人の服じゃないですか?」(手間の物体)

 

こえーこと言うなよ!

幸い服ではなかった。気を取り直して崩壊を乗り越えてネイチャーランドへ。コテージとかは健在だが、奥の広場は数十センチくらい土砂が堆積して、東屋が桜島の埋没鳥居みたいになっている。

奥にある人工の滝はすごい水量を落としておりなかなかの迫力。大久保沢に向かう道は擁壁の上に付いているので、擁壁沿いに少し戻り、低くなってきたところで藪をこいで道に出る。

人工の滝の上から入渓するが、左岸が石積み、右岸が岩壁のゴルジュ。うーむ、オリジナリティはあると言えばあるが…。

小滝を何個か越えると両岸穏やかになり、釣りには良さそうな渓相に。所々小滝があり楽しいが、概ね平凡。

沢歩きを続けるとやがて両岸が立ち上がり、「障子岩の滝」ゴルジュ開始。両岸30~50メートルくらいのゴルジュの奥にF1(8m)が鎮座しており、こいつがいわゆる障子岩の滝。遠望してもすごい迫力。

 

出ました~

 

 

全容が見えないため接近したいが、水量が多すぎて、滝直下の釜になんか入れないし、そもそもその手前のちょっとした落ち込みの白い泡が怖い。

右岸は沢底からハングして立ち上がっており不可能。

左岸は…よーわからん。とりあえず一段上にバンドはあるが、そこから滝の落ち口を狙うのは難しそうだ。左岸側岩壁(右岩壁)は遥か上でハングしており、なんとなくその下にバンドがあるように見え、また、手前側のリッジ状は登れそうに見える。リッジを登って、トラバースして落ち口上に出て懸垂か?

とりあえず右岩壁の、一段上のバンドに上がって様子を見ることにする。少し戻って左岸に取り付く。3級くらいのトラバース2ピッチで滝の右下に出る。残置ハーケン発見。物好きがいるものだ。

 

トラバース。残置があった。

 

ここからも、カンテと水流が邪魔で滝の水流の奥は見えない。水流は若干空中を舞っているので、水流の裏を通過して滝の左側に取り付くという手もあるが、そこが弱点か分からない上に、本日の水圧では一瞬触れただけで叩き落とされるだろう。そうしたら絶対に助からない。水流トラバースは無理だ。もちろん水線はもっと無理。右岩壁は、滝落ち口に向かうラインは無く(ボルト数本プラスハーケンでいけるかもだが)、落ち口から即座に右岩壁が立ち上がっているため、沢に降りれない。下からみたときに弱点に見えたリッジは、途中までは何とかなりそうだが、最後はハングだし、トラバースできなさそうだし、登ったところで結局沢に出れなさそうだ。

 

無理でござんす…

 

 

二人してあ~だこ~だ議論するが、結局諦めて、来たルートを戻り、高巻き。岩尾根が何本も沢に向かって落ち込んでおり、これを右手から絡んで素直に巻くと大高巻きになってしまうので、なるべく沢に寄りながら、岩尾根の側壁は木をうまく使って登る。高度感が出てきたのでザイルを出す。簡単だし木でプロテクションは取れるが、足元が30メートル以上切れ落ちておりスリリング。

 

インディージョーンズを彷彿とさせるトラバースだ。

 

やがて障子岩の滝のほぼ真上に出るが、明らかにそのすぐ上にF2があり、釜が渦巻いている。懸垂しても釜に呑まれるだけなので、ザイル2ピッチ目でザイルを外し、安定したバンドをトラバースし、穏やかになってきたところで沢に下る(おそらく、大高巻きしても同じところに出る雰囲気)。

 

左側は切れ落ちているが、安定したバンド

 

下流が気になるので偵察。障子岩の滝をF1とすると、今はF4(小滝)上。F4は簡単に左岸をクライムダウン。淵を持ったF3(小滝)は本日の水量では大変危険な雰囲気。思い切り飛び込めば下りは問題ないが、帰ってこれない雰囲気があったので、ハーケンを打ってザイルをフィックス、先にナベが飛び込んで、帰ってこれるか試すことに。やってみたら、岸沿いにザイルを引けばさして水圧は問題とならなかったが、最後の足場のヌメリが半端ない。とはいえ帰ってこれる事が分かったので二人ともドボンして下降。すぐにF2(3m)。トラバース中に見た通り、下には釜が渦巻いており、その釜からF1が放出されている。これは…無理やで!

 

F3上をからカシャ。

 

F2の釜。小さいが上がるのは相当大変だろう。

しかも失敗するとダイブ→死(左奥が落ち口)

 

F3登り返し。初めてのラバーソールがヌメリ弱く、しかめっ面。

ただ、この男、今までフエルトだけで八久和だのザクロだの行ってるわけで、どうなってんの?

 

F4まで戻って、先に進む。沢は一瞬平和になるが、またすぐ大釜を持った5m滝。左岸が楽そうだったが、林業のゴミが左岸側にあり、うるさそうだったので右岸の草付きに取り付く。思ったより簡単で、むしろ草付きトラバース中に見た左岸の方が岩岩していて悪そう。

 

これを巻き終えると、標高610m手前で左岸に植林が見えるようになり、右手から支流が入ってきたので、ここで遡行を打ち切り、左岸に上がり、登山道(林業用の道)から下山。途中にかかる橋は林業農家の技術の凄みを感じた。どーやってあんなとこに橋かけるんだろう…


下山の道(ネイチャーランドより一本上につけられている道)は快適であったが、変なことばかり起きた。

トンネル内では何か獣のような変な臭いがし、出口にナンバープレートのない原付が停められていた。こえーよ。

さらに、例の大崩壊の上あたりで、対岸から「オイ!オイ!」と騒いでる声が聞こえる。大崩壊の手前で車を停め、それをおじさんか見守っている。何やってんだあ?事故とからな下のおじさんがもっと緊張感を持ってそうなもんだが、全然そんな雰囲気はない。

橋で軽トラックとすれ違い、その事を訪ねると、猟犬が迷子になってしまったので探しているとのことでした(笑)。

 

駐車スペースに戻ると、今度はパトロール中のお巡りさんに色々聞かれる。非常にフレンドリーで、職務質問というより、我々のガチャ類への興味と、大久保谷なんていうマイナールートに何で?という好奇心が前面に出ていたが、話が滝川のヘリ墜落に及ぶと若干マジになった。どうやら、数年前の滝川でのヘリ墜落と、その前後の事故で何人も亡くなっているということで、山や沢を舐めていたら注意しないと、ということもあったようだ。不必要な程の完全装備の我々はおとがめを受けることはなかった。尚、ナベは逆に「おいしいわらじかつの店」を聞き出そうとしたが、「中休み入ってると思うよ」と、つれない答え。


仕方なく、適当に飯屋見付けたら入るか、ということに。ナベが秩父市役所横で見つけた「三義屋」に入店。すいませんと声を掛けるとあわてて出てこられた。中休みに入ったところだったとのことで恐縮する。そういうわけで豚みそ定食しかできないと仰るが、もともとそのつもり。で、キャベツの添えられた豚みそ焼きと、漬け物と、山菜お浸しと、ご飯と味噌汁。濃い目の豚みそ肉でご飯がすすむ。めちゃ旨いやんけ。山菜も漬物も明らかに自家製だし…これはツーベース、いや、スリーベースヒットや!

外観はボロいが、中がとても清潔かつレトロなのもグッド。

※食べログの評価は、観光地では当てにならない。

 

お代は800円。また行きたい。

 


ゴルジュ突破という成果は得られなかったものの、凄いゴルジュでインディージョーンズごっこできたし、下山飯は完璧だし、で、楽しい1日であった。

 

○使用ギア:カム(マスターカム~キャメロット1番まで)、ハーケン、ナッツ、ザイル25m1本

○テクニカルコメント:ゴルジュの初突破という落ち穂拾いを目指すゴルジャーに告ぐ(5人くらいしかいないだろうが)。

水量の多いときはマジで突っ込むのは止めとけ!F1が危なすぎる。もちろん、偵察と割りきれるなら増水時に行くのも悪くない。そうしておいて、秋に東北の沢狙ってたけど天気悪そう、みたいなときの転進で突破狙うのがいいかもね。

F1は渇水時なら水流沿い、あるいは水流左に可能性があるかもしれない。F2は上からしか見てないからなんともいえないが、ツルツルっぽい&流されるとF1をダイブなので、投げハンマーか?増水してるとF3もヤバイ。一見ジャンプで簡単そうなのだけど、ジャンプする足場がミズゴケだらけなのよ。

足回りは今回二人ともゴム底だったが、部分的にミズゴケがやばいので、フエルトタビとクライミングシューズの履き替えがベストだと思う。

それにしても、キャンプ場から1時間であのゴルジュか…浦山川恐るべし。

○インタレストコメント:暗いが水は奇麗だし渓相良好。ただし今回の範囲では魚は全くいなかった。三義屋は行く価値あり!

※参考:ひろたさんのHP

 

(記:ナベ)


 

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