■谷川周辺(荒沢山)/足拍子川「謙信の廊下」[沢・ゴルジュ]


期間:2023年8月19日

山域:谷川周辺(荒沢山)/足拍子川「謙信の廊下」

メンバー:ナベ、アツシ

形態:沢登り(ゴルジュ突破)

 

イサミからは「F1はラープしか効きません」と言われていて確かにその通りだったんですが、そんなことよりフリーが普通に難しいというか、プロテクション取れないとなかなか突っ込めなかったです。


例会でアツシさん、西川さんと「ゴルジュ行くか!」と盛り上がったものの、近郊のゴルジュは大体行っちゃったし、西川さんは怪我して欠席、ナベが仕事とかで前夜発が出来ない&昼から天気も悪いため、アプローチの短い謙信の廊下とし、ダイレクトスラブ継続などというビッグルートは諦め同ルート下降、下降支点無いときのために電ドリを持っていくという日和ったプランを策定。

ネット上には2011年に当会の鮎島・イサミP(以下鮎P)のあとは、サワグルイパーティ(以下サワグルイP)がF1で敗退してる記録しか無いが、イサミリードとはいえ鮎がフォロー出来てるんだからそんな難しくは無いんだと思ってたら、イサミから「本当にラープしか入りませんよ」とビビらすようなメールが入り、押し入れのエイドギア軍団総動員を決定。


07:20足拍子川沿いの林道(標高590m付近)に駐車→07:50フトゴキ沢に間違って入る→08:50足拍子川に復帰→09:20謙信の廊下F1→14:20謙信の廊下終了点(ホソドの沢・足拍子本谷二俣)→同ルート下降開始→15:20謙信の廊下F1下→16:10駐車スペース

 

足拍子川沿いの林道はもう少し入れそうだったが安全策を取って広い所に駐車。盆過ぎなのにアブがいる。

川沿いの林道は進むにつれ藪がひどくなり、経木の沢から先辺りでほぼ藪となったので入渓。

速攻で間違えてフトゴキ沢に入ってしまい1時間ロス(フトゴキ沢が立派かつ足拍子本谷が貧弱なため間違いやすい)。

足拍子川本谷に戻り気を取り直して遡行。巻くのがめんどくさくて水中ショルダーまでかます始末で、なんだかんだで謙信の廊下到着が9時過ぎになってしまった。

 

1は陰惨な雰囲気を醸し出しており、水量も少なく、かつ右岸の尾根に回り込めばそれ程苦労なく謙信の廊下ごと高巻けそうなため、「えっ?わざわざ登るの?別に巻けば良くない?」と言われたら「そうですね~」としか言えない感じで、登られてないのも納得。


F1】

5m A1(脆い)、Ⅳ+ ナベリード

 

ナベリードで取り付き、とりあえず残置ハーケンに乗り、上に次のハーケンを打つが、フレークがエキスパンド気味で全然信用できない。よく見ると上流側にマイクロリスがあったので、「あーこれがイサミの言ってたラープしか決まらない所か」とすぐ分かり、ラープを決める。ちょっと怖いが乗ってみると全然大丈夫。

問題はここから先。とりあえず上流側のガタガタしたところに逆向きハーケンを打つが全然効かない。こいつをラストランニングとして、アブミから今ぶら下がってるラープ周辺のスタンスに移ってチョックストーンとの隙間に突っ込んでいくんだろうけど、アブミからスタンスに移るのが難しい。なんとか頭上の浮いてるフレーク(これもエキスパンド気味)にペッカーを打ってA0してスタンスに乗り込むが、チョックストーンへは空中を突っ張りで突っ込んでいくような形となり恐ろしすぎる。高さ的には死にはしないだろうけど、ランニングが欲しい。が、何も取れない。

ペッカーに体を預けて安定させ考慮。上にカチがあるが遠いし、フックもかからない。苦し紛れに、マルチフック(タロン)にスリング連結して滝上目掛けて「投げフック」をしてみるが引っ掛かってくれない。「お前普段ハーネスやら服やらに引っ掛けるのに肝心な時は役に立たんの〜」と蔑む。かれこれ20投くらいトライして後ろのアツシさんから「無理に決まってるだろ(笑)」オーラが漂ってきたので、「あとワントライで駄目ならフリーで突撃してみます!」と伝え、放り投げると、スリングが突き出た流木に引っ掛かった。あんまり意味なさそうだけど非常に心強く、突っ張りムーブに入るとあっさり抜けられた。結果としてほぼスリングは使わなかった(笑)

アツシさんフォローは、CS滝特有の足のなさに苦労し、時間かけてもラープを回収する態勢が作れず帰りに回収することに。

ザックは2個とも荷揚げ。

 

謙信の廊下F1。奥にF2も見える。はっきり言って陰惨。

 

F1をリードするナベ。ラープに乗りながらペッカーを決める。(写真:アツシさん)

 

ペッカーに体を預けて投げフックを頑張るナベ(写真:アツシさん)

 

CSに乗り移るナベ(写真:アツシさん)

 

本日のMVP・流木&スリング

 

フォローするアツシさん


F2(初登ラインは撤退、巻きライン)】

20m Ⅳ ナベリード

 

お次のF2は、鮎Pの記録によると左壁を8mほど登ってトラバースをかけているようだが…ほぼ垂直。え、ココっすか?同じ右岸側でも手前F1寄りに、都合のいい感じで傾斜の緩いチムニーから右岸の草付に上がって高巻きできそうだが、鮎Pルートはオブザベしてみると確かにホールドはある。とりあえずナベが取り付いてみると、3mくらいは登れたが、プロテクションが取れない。次のホールドにみえるやつはかなり上で、どうやらハイステップして先に足を上げないといけないパターンの模様だが、スタンスもあまり良くない。つーか細かすぎて沢靴では無理!

クライムダウンして撤退。

 

改めて、少し戻って右岸の緩いチムニーにロープ出して取り付くが、上の草付がまあまあ悪い。なんとか灌木帯まで上がると、なんかすぐ上が踏み跡って雰囲気になっており、アツシさんフォロー後、ロープ仕舞ってもう少し上がると案の定踏み跡が…これを踏むと「ゴルジュ突破」ではなくなってしまうので(現時点で怪しいが)、踏み跡下の灌木帯をトラバースして適当なところで懸垂。ドンピシャでF2の上に出られた。

ザックはトップ・セカンドとも担いだ。

 

F2 ちょっと迫力がある

 

F2左壁。トライしてみたが3mくらいで諦めた。

 

F2の左壁は諦め、少し戻って右岸から巻く。(写真:アツシさん)

 


F3】

4m Ⅳ-・A1 アツシリード

 

お次の滝は水平リスが右壁に沢山走っておりF1よりは安心。アツシさんがハーケン2〜3発と抜け口にキャメ決めて突破。

CS滝の為やはりフォローの回収が大変で、ナベはダブルロープの片方にアッセンダー付けて登り返しなどズルをフル活用で回収。

なお、ハーケンが凹状の奥にあってハンマーが触れず1本残置。

トップ・セカンドともに荷揚げ。

 

F3

 

F3をリードするアツシさん。やっぱりCS乗越に乗り移るのが核心。


F4】

3m Ⅳ ロープ出さず

 

次の滝は3メートルも無さそうだが意外と釜が深く下から見るとまあ3mってことで…突っ張りフル活用で突破。アツシさんはリーチが足りず右壁へつり。


F5】

8m Ⅲ+ A1 ナベリード

 

巨大CSの裏にある右壁を登るが、出だしスタンスが無い&ヌルヌルで難しく、一旦しまったアブミを取り出してカムA1で下流側のパカパカ言ってるフレークを登り、途中で上流側にトラバースして抜けた。

トップ・セカンドともに荷揚げ。

 

F4&F5。

 

F5右壁をリードするナベ。結局ここでもアブミ動員。

 

ここまでくるとゴルジュが緩んでくる。最後に簡単なF6を登るとホソドの沢・足拍子川本谷の二俣。

F1上・F2上・F3上・F5上に設置したステンレスハンガー(それぞれ1本)にダイニーマ3mmスリングの捨て縄をかけて懸垂して同ルート下降。

 

F2は傾斜があって長いのでなかなかの懸垂となる(写真:アツシさん)


最後にF1に残置してきたラープ回収だがこれも難儀した。

まず残置ハーケンに乗り込んで、フィフィかけて立ちこんだらハーケンが吹っ飛んだ。

仕方ないのでペッカー2本決めてそれでA1しながらラープに手をかける。

恥ずかしながらラープの抜き方を知らず、5分くらいハンマーでたたけないか試すが出っ張ってる部分が少なすぎて叩けない。

そういえば、回収用のチェーンみたいなのをハンマーに付けて引っ張ってるイラスト見たことあるなと思い、スリングを付けて手で抜ける方向に引っ張ると抜けたが、抜けると同時にその衝撃でペッカーが抜けてフォール(岩が欠けたようにも見えたが、もうどうでも良かったので確認していない)。

幸いケガしなかった(かなり後ろに吹っ飛ばないと頭は打てないので、ここで怪我をしたサワグルイPはツイてないな…)。

もう1本のペッカーは地上から回収。F3にハーケン1本と、下降用(ビレイにも使える)ボルト残置したほかは回収できた。

あとはチンタラ足拍子本流を下って適当な所で林道に上がる。

 

F1・エキスパンド気味のフレークに打ったペッカーに体重を図けてラープを回収するナベ

 

ラープを回収するナベ。

この後ラープが抜けた瞬間に、写真中央の体重預けているペッカーが抜けてフォール。


駐車場では案の定アブが出てきたため、越後湯沢の運動公園に移動して着替えるが、市民が多少いる中でアツシさんがパンツ一丁で水浴びを始めてビビった。

ナベおススメの「やすらぎ」で下山飯もパーフェクトに決める。

向かいの共同浴場岩の湯に入りたいという希望を頂いたが、早く帰りたいため申し訳ないが今回はパスして帰京。


【使用ギア】

・ウェットスーツ

・ゴム底沢靴

50mロープ1本 中間にフィギュアエイトノットを作ってトップが引っ張り、片方だけランニングを通し、片方は荷揚げ用とする運用を多用した。

 (荷揚げ後は二本ともセカンドに結ぶ)

 30×2本でもいいが、CS滝が多いので同ルート下降だとちょっとスタックが心配。

・ハーケン

・カム(~キャメ#2まで)

・ラープ

・ペッカー

・ウェットスーツ上下

・電ドリ&ボルト

 

※チンタラ登ったのでかなりシャワーを食らった。2mmのウェットとドカヤッケでもちょっと寒かった。

※クライミングシューズがあった方がスマートに登れると思う。 

※ボルトは下記位置に設置。ステンレスのウェッジアンカーM10なのでしばらくは信用してもらっていい。

F1上…左岸(下降点・ビレイ点兼用。ただしここは流木でビレイできそう。なお1本深く埋めすぎて使えないボルトを埋めてしまった。スイマセン)

F2上…右岸(下降点。ビレイに使えるかは、登りで左壁を登っていないので不明だがたぶん使える。周りをちゃんと見てないがあんまハーケンとか決まらない雰囲気)

F3上…左岸(下降点。ただしリードがちゃんとカム決めて向き変えればビレイ点に使える。周りでアンカーが取りづらい)

F5上…左岸(下降点・ビレイ点兼用。ハーケンとカムで十分ビレイ点作成可能だが下降でハーケン使うのが惜しく打ってしまった)


【感想】

・ダイレクトスラブまで継続した鮎Pは偉い(今回検索したら下降は前手沢右岸尾根が使えるらしい)

・イサミからラープ必要ですよと言われ実際その通りだったが、結局核心はフリークライミング。やはりフリー力(と度胸)が重要だ。

・アツシさんと電ドリボルト打ちについて色々ノウハウを交換出来て良かった。

・ペッカーは、笑っちゃうくらい「効くのに抜くのが簡単」で、本当にすごい奴だ。

 足元が切れ落ちているような本チャンでは使いたくないが、落ちてもドボンの所では積極的に使いたい。


【遡行概念図】※「電子国土Web」より


 

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