【期間】2023年9月2日~3日(前夜発1泊2日)
【メンバー】丸ちゃん(L)、ナベ(記)、イデ ※特記なければ写真はナベ
【形態】沢登り(本チャン?)
2023年9月1日 池袋~沢渡(第三駐車場)
ナベ車をかっ飛ばして中央道を沢渡へ。新島々のセブンイレブンの位置が変わっていて混乱した。
沢渡では大駐車場バスターミナル建物の脇で野宿するが…
9月2日
05:00 沢渡BT始発バス→07:20 下又白谷押し出し出合→08:50 F1下→09:00 F1左岸ルンゼを登り始める~ちょっと取り付き探して迷う→10:50
F1左岸ルンゼからトラバース開始→11:35 F1上→11:40
F2→13:25 F2上→13:55 F3の2段目下→15:05 F3の2段目上→16:40 F3上→16:55 F4下(幕場)
2時間くらいしか寝てないうちに、バスターミナルの職員氏に怒られ慌てて片付け開始。
既に切符を買うために並んでいる人たちがいて、ヤバい、バスに乗り遅れるな!とバッタバタ。
ナベは個人用コッヘル、酒など色々車に忘れた。丸ちゃんはただでさえ食うのが遅いのに、バタバタしながら沸かしたほぼ水みたいなお湯で戻した大盛カップそばで朝から核心を迎えていた。イデは車にコンタクトを取りに行っている間にバスが出てしまい、俺と丸ちゃんは、イデが走ってバスに向かってくるのをバスの中から見送るというドラマチックな出発となった(幸い始発は一気に何台もバスが出るのでイデもすぐ追いついてきた)。
※4人で乗ればタクシーの方がバスより安いので、今回みたいに3人Pなら、切符待ちで並んでいるソロの奴をつかまえて乗り合わせた方がのんびり出発できる(バスと違って時間も決まってないし)。帰りも同じことをすればいいし、なんなら上高地BTではタクシー運転手さんが「まとめ役」をやってくれる。
上高地BTに来てしまえば一安心。
明神から対岸に渡り、地形図の南のガレマーク(砂れき地記号)から遡行開始。伏流しているかと思ったらちゃんと水があった。
一発で分かるゴルジュ地形
F1と雪渓
<F1>
ゴルジュに入り屈曲した先にF1。ふつうならこのあたりは雪渓があるのだがわずかしか残っていなかった。とはいえブリッジは潜りたくなかったので右手から抜けようとしたりイロイロやってちょっと時間を使ってしまった。で、雪渓がなければワンチャン登れたりしないかなとか思ってたF1は手が吸盤とかでできてない限り無理なタイプの滝で左岸ルンゼに取り付くが途中が悪く、途中からザイルを出した。多分最初の太めの木あたりからトラバースだろうと見当を付けてはいたが、その付近は全然簡単そうではなく、「これなら尾根まで出て尾根越えの大高巻きした方が楽じゃね?」となり一旦尾根まで出るが、尾根の先には岩壁が見え、尾根を辿るのも容易ではなさそう。やっぱりさっきの全然簡単そうに見えないところが正解のようだ。立木で50mロープシングルで懸垂し、トラバースラインっぽいものに入る。丸ちゃんがほぼトラバースして2ピッチ引っ張ってリッジまで出るが、出だしと中間の岩部分がなかなか、というか相当悪かった。リッジから50mダブルで懸垂して余裕で足りたが過去の記録を見ると50mダブルで一杯のようなので、トラバース気味にもう少し上がっていくのが正解だったようだ(1P目…35mⅣ+、2P目20mⅣ+、なお長さはよく覚えていないのでて適当、以降も同様)。
左岸ルンゼに入る前のちょっとした雪渓処理(写真:イデ)
左岸ルンゼで途中からロープを出す(写真:イデ)
まさかこんなところをトラバースしないだろうと思ったラインだったが、ここだった
(トラバースするならここしかないというところなのにⅣ+って弱点になってない気が…)
2P目も出だしの岩の処理が悪かった。フォローするイデ。
懸垂でF1上の沢底へ
<F2>
F2は下段はロープ無しで登る。冗談はイデヤンがリード。右壁に取り付くが、久々の岩でルーファイに苦労している。まあ一段上がって右奥から左上が正解だろうなと思ってビレイしてたがその通りだった。しかし難しさは全然思ってた通りではなく、フォローでも右奥へのトラバースはなかなか怖かった。イデヤンは立木でビレイしてくれていたがF2落ち口へは一段下からトラバースかけられそうだったので、トップのビレイに切り替えてランニング取りながらクライムダウンしてビレイに入り、結局2Pで2段目落ち口へ。
(1P目…35mⅣ+、2P目15mⅢくらい)
F2・1段目を登る丸ちゃん
F2。もう少し水が暖かければ内部を通るチャンスある?
F2・2段目を登るイデ。
(左のロープの1ピン目を打った後一回降りて右のロープ側から登った)
余り記録には出てこないが立派なF2.5
<F3>
F3も一段目は簡単に上がる。
二段目が有名な人工部分で、明らかに田中・成瀬ペアの記録や当会イサミ・ハガリンペアの記録とは様子が違う。
水量が全然少ないのは最近の天候のせいだが、上に岩が沢山ある。
というか今いるところにも昔なかった岩がある。そうとう変化の激しい沢のようだ。あと、全然小さくて迫力がない。
本当はバシバシ水が流れていて迫力があるところをサクッと登って、帰京後にイサミに「あんなところで落ちちゃったのお~?」とドヤりたかったが、残念ながらイサミの時より大分簡単でドヤれない内容だった(とはいえ水は冷たいし岩は脆いしで十分厳しかったが。右手のクラックにキャメ0.1が決まることに早く気づいていればもっと楽だった)。
F3一段目を登る丸ちゃん。昔は無かった岩が頭上に…(写真:イデ)
F3二段目を登るナベ(写真:イデ)
F3・二段目をフォローするイデ
3段目のネイリングピッチは丸ちゃんが担当。ナベ土台のショルダーで少し距離を稼ぐ。上部でハーケン打ってもいないのに時間をかけていたので「残置が悪くて踏ん切りがつかないんだろうなあ」と思っていたが、フォローしてみたら凄いことになっていた。なお、ビレイ点も作りづらく、ロストアローが活躍していた。
(ちなみにフォロー時に丸ちゃんが打ったハーケンが抜けてナベは以降ユマーリング)
ネイリングする丸ちゃん
これがナッツの使い方や!
F3~F4は広河原らしいが、田中・成瀬ペアの記録通り全然広河原ではない。
一番増しそうなのがF4のかなり近くで、寒いしゴツゴツしているしでまあまあ最悪のテンバであった。
とはいえイデヤンが頑張ってMを集めてきてくれたおかげでTが出来てそれなりにハッピー。
最悪だけど最高のスイートホームとF4(登攀ラインもモロ分かり)
9月3日
06:30テンバ発→09:15 F4上→10:30 茶臼ノ頭北西のコル→10:55 奥又白池→13:05 徳沢→15:05
上高地BT
<F4>
朝起きて幕を畳むと即、登らないといけない滝・F4が見える。
滝身左のスラブを登り、右上するルンゼをナベリード。40mくらいだったか。簡単。
2P目が曲者だった。
下からオブザベした感じでは水流をトラバースできそうだったが全然そんな感じではなく、記録にある正面の小ハングは脆そう。イサミが行ったらしい左手のバンドは全然行く気がしない。イデヤンが小ハング越えにトライするが脆過ぎて引き返す。水流沿いから巻いて小ハングの上に出るのが沢屋的には美味しいということでナベがリード。
内心では、これを登れば「あれえ~、あんなとこ巻いちゃったのお~」とイサミにドヤれるしMVPだなと思ったが、この後リードしたのを後悔した。
出だしはタワシフル活用でヌメリを落としてキャメ2番とナッツを決めてシャワーを乗り越す。しかしその上は全然簡単ではなく、キャメ0.1番を下向きに決めた後、飛沫を浴びながら相当長時間躊躇する。真上は今越えたよりも難しそうなヌメヌメシャワーが続いており、せめてもっといい支点が取れないと無理。右トラバースも形状的に厳しい。やむを得ず左トラバースに活路を探す。とにかく届く範囲のスタンスをすべてタワシで磨いて、下向きに決めたキャメ0.1番を横に引いてのA0でトラバース。で、腹を決めてキャメを掴んでいる手を放してスラブに入り、滑るなよと祈りながら1歩踏み出すと向きが最低ながらも一応サイドホールドがあって助かった。その後も、逆層なので全然カチやガバがなく向きの悪いサイドばかりだけど悪いながらもスタンスとの組み合わせでまあまあなんとかイケる感じで、3mほど必死こいて上がるとトーテム黒が決まって安堵した。さらに2mほど進んで都合のいい沢床の割れ目にキャメ0.4と0.5を決めてビレイ。
丸ちゃんはザイルに騙されてトラバースの所を直上してしまい、ヌメヌメとシャワーに負けてゴボウ。イデも騙されて同じようにヌメヌメとシャワーに負けテンションし、そのままトラバースしてスラブを登ってきた。このピッチ15m・Ⅴ+・A0くらいか。これなら巻いたとはいえフリーのイサミの方がよほどスマートでは…
2P目、水流沿いライン。この一段上で行き詰った。
F4・2P目をフォローする丸ちゃん(イデが1P目ビレイ点から撮影)
F4・2P目をフォローする丸ちゃん
(2P目ビレイ点からナベ撮影、ちょうどトラバースを無視して直上しヌメリとシャワーでハマっている所)
次のピッチは丸ちゃんが担当し、水流を右に横断して右壁を直上。
フォローすると油断はできない感じ。ロストアローの回収が大変なくらい効いていた。
なぜかボールナッツも使っていてバッチリ決まっていたがここは普通のナッツも決まったかも。
30m・Ⅳ-くらいか。
F4・3P目。スラブに砂が乗ってフリクションが悪いので見た目より悪い。
これにて核心は終了。巨大CSのあるF5は左の本流側から巻いて簡単に登れた。
あとは茶臼ノ頭北西のコルまで詰めて、そこからはピンクテープと踏み跡を辿って奥又白池へ。大休止の後徳沢まで下りまた大休止。
丸ちゃんは、イサミと盆に来た時に気になっていたソフトクリームを注文、満足していたようだ。
帰りはいつもの温泉(混むと嫌なのでヒミツだ!)で汗を流し、ラーメン大学で〆ようと思ったが…なんとラーメン大学が閉店。ナベ「やっと見つけた俺の上高地だったのに!」
代わりに入った麺屋壱。立地はいいし味もいい店で腹を満たして帰宅した。
【使用ギア】
タワシ、クライミングシューズ、カム(キャメ0.1~3番までとトーテムの黒)、ナッツ、ナイフブレード、ロストアロー、ペッカー
今回全員ネオプレンのウェットスーツは使わず全身カッパ。晴れてたので良かったが晴れてなかったらウェットが欲しかったかも。
【感想】
打倒イサミを目指してサクッと登ろうとしたけどやっぱり難しかった。
(ナベ)
ムズい、脆い、寒いと三拍子揃ったロケーション最高の沢でした。
池が最高のテン場なので、ここへ行くなら4日くらい日数取ってのんびり継続でやりたいところです。
(イデ)
ナベさんイデさんは、渋すぎる滝も脆すぎる岩も人間に優しくなさ過ぎるとかで二度は来ないっすね。だな!と言っていましたが笑、喧騒の上高地にありながらひっそりとした静寂を保っている険峻な前穂東面が僕は結構好きです。
しかしF4の2Pなどもし水量多くてラインを選べなければ登れてたか怪しい…。と思うと確かにちょっと渋すぎる滝達なのかもと思いました。
(丸ちゃん)